2008/04/30

Radical business.

ザ・ボディショップの、みんなが幸せになるビジネス。アニータ・ロディック 著 
トランスワールドジャパン) 
 
ボディ・ショップの創業者で、昨年 10 月に亡くなったアニータ・ロディックの著書。個人的には、ボディ・ショップ自体には特別に思い入れを持ってるわけじゃない(コスメティックとか、あんまり使わないし)けど、ブランドとしてはわりと好きだし、ちょっと前に『デモクラシー・ナウ』で彼女のインタビューを観て(字幕なしの動画はここで観れる)ちょっと興味が出たので読んでみた。

デモクラシー・ナウのインタビューでも感じたんだけど、思った以上にラディカル。実際に交流もあるらしいけど、パタゴニアのイヴォン・シュイナードの『社員をサーフィンに行かせよう』にも通じる、かなりラディカルで一貫した主張はすごく好感持てる。原題は "Business As Unusual" なんだけど、まさにそのタイトル通りで、期待以上の内容。また、女性の視点から描かれている点も新鮮。つい、うっかり、見過ごしがちなことが多いので。かなり示唆に富んだ一冊。

2008/04/28

Simple enough, soulful enough.

VAN MORRISON "Keep It Simple" (Lost Highway) ★ Link(s): Amazon.co.jp

年をとってもなおコンスタントに、クオリティの高いアルバムをリリースし続けている数少ないアーティストのひとりであり、全アルバムを持ってる現役唯一のアーティストでもあるヴァン・モリソンの 2 年ぶりのニュー・アルバム。

基本的には大ハズレの少ない人なんだけど、その中でもここ最近では出色の 1 枚。トラッド〜フォーク〜ブルース〜ジャズをベースにしつつも、一声出した瞬間にソウル・ミュージック以外の何ものでもない感じは、もう、ワン&オンリー。タイトル通り、とてもシンプルで、とてもソウルフルで、とても深くて、とても染みる。緩くないのに、和む。何度聴いても飽きないし、廃れない。しかも、この人は実はソングライターとしてもメチャメチャ優秀で、カバーされた名曲がすごく多い(本人が歌うとソウルフルすぎてメロディの良さに勝っちゃうので)んだけど、ソングライターとしての素晴らしさも光ってる。今後、何度も繰り返し聴くクラシックになりそう。

2008/04/26

Next phase

MOONLIGHT MILE 16 巻

. :太田垣 康男 著 (小学館)

どんどんと大河ドラマ化している『MOONLIGHT MILE』の 16 巻。ムーン・チャイルドの誕生というひとつのクライマックスを迎え、ハナシは一気に次のフェーズへ、というタイミングを描いている、つまりひとつのハナシのエピローグと、次のハナシのイントロダクションという位置にあたるので、そういう意味では読み応え的にはイマイチかも。ただ、このくらいの大河ドラマになるとそういうタイミングは必ずあるものだし、そうは言っても
MOONLIGHT MILE』に貫かれているリアリティと随所に見られるサプライズはあったりするので、決して不満ではないし、ますます次が楽しみになる。

WOWOW で OA されたアニメ版の DVD 発売時に開催されたトーク・ショーで作者のハナシを聞く機会があったんだけど、長い時間をかけて定期的に発表し、読者の反応を考慮しながら、時事的な要素も盛り込みながら創作されるマンガというアートは、内容的にも商業的にもものすごく臨機応変というか、曖昧な要素を孕みながら創られるという意味ですごく特殊な創作物で、作者の太田垣康男氏は、トークの中でも触れてたけど、いい意味でも下世話な意味でもその辺の特徴にすごく自覚的で、なおかつ上手く活かすことができる作家(他の作品は読んでないけど)。そういう意味では、すごくプロフェッショナルだし、すごくエンターテインメントな作品だと言えるかな。

MOONLIGHT MILE』は、いわゆる宇宙・近未来モノの SF コミックとしては、個人的には『プラネテス』と双璧。設定がリアルで、キャラクターが魅力的で。ガンダム世代としては、イヤでもグッときちゃうプラネテスがより詩的な、アーティスティックでアブストラクトな作品だとすると、MOONLIGHT MILE』はリアリスティックなエンターテインメント。プラネテスの青臭い感じもすごく好きだけど、エンターテインメントととしての完成度ではMOONLIGHT MILE』かな、と。まぁ、どっちも面白いんだけど。

*既発巻:
MOONLIGHT MILE 1 巻
MOONLIGHT MILE 2 巻
MOONLIGHT MILE 3 巻
MOONLIGHT MILE 4 巻
MOONLIGHT MILE 5 巻
MOONLIGHT MILE 6 巻
MOONLIGHT MILE 7 巻
MOONLIGHT MILE 8 巻
MOONLIGHT MILE 9 巻
MOONLIGHT MILE 10 巻
MOONLIGHT MILE 11 巻
MOONLIGHT MILE 12 巻
MOONLIGHT MILE 13 巻
MOONLIGHT MILE 14 巻
MOONLIGHT MILE 15 巻

2008/04/23

The roots study.

ガラパゴス諸島 - 世界遺産・エコツーリズム・エルニーニョ

. :伊藤 秀三 著 (角川選書)

進化論が生まれた場所として知られ、エコ・ツーリズムのルーツでもある世界自然遺産、ガラパゴス諸島について。当然、前から興味津々だったので、楽しみにして読んだんだけど、思ったほど楽しめなかった。内容が云々というよりも、目的が違ってた、って感じ。というのは、もうちょっと読み物として面白いことを期待してたんだけど、調査・研究資料的な内容だったので。書物にはどちらのファンクションもあるし、どちらも重要だから、まぁ、否定はしないまでも、決して読んでて
楽しいものではなかった。残念ながら。テーマというか、対象が素晴らしいだけに、両方狙うような欲張りな書き方をして欲しかったもんです。もちろん、資料として考えれば有用なんですが。

2008/04/18

Business as usual.

ルポ 貧困大国 アメリカ
. :堤 未果 著 (岩波新書)
個人的には、朝日ニュースターの「デモクラシー・ナウ」や
ニュースの真相 evolution」でお馴染みなんだけど、世間的にはそうでもないらしく、ちょっと前の結婚報道でも旦那さんのほうにスポットライトが当たってて、彼女に関してはそれほど触れられてなかった。まぁ、旦那は国会議員で、ある種、「パブリック」な存在なのに対して、彼女は「ジャーナリスト」という、「ある程度の公共性はありつつも、必ずしも前面に出るべきではない」存在だから、当然と言えば当然だけど。この本も、実はかなり売れてるらしいんだけど、売れてる新書にありがちな(特に、彼女のように才色兼備ならなおさら)帯に写真をドーンと出して、みたいなデザインじゃないところも、好感が持てる。

新書らしく少ない情報量で読みやすくまとまっていつつも、内容自体はかなりヘビー。ある程度はいろいろなところで見聞きしていた情報ではあるけど、実例が挙げられていて、生の声が取り上げられてるだけに、やっぱりリアルで、それゆえにヘビー。まぁ、アメリカなんて国を信じられなくなって久しいけど、それはそれとして、その先にあるもの、つまり、決して対岸の火事ではなく、かといって、日本だけの問題だけでもなく、って部分まで気をつけとかないと。

2008/04/15

The nature activist.

『森の聖者 - 自然保護の父 ジョン・ミューア』  
 加藤 則芳 著 (小学館ライブラリー)
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books 

「国立公園の父」として知られ、憧れのジョン・ミューア・トレイルの由来にもなったジョン・ミューアの足跡と功績を綴った一冊。ナチュラリストであり、ネイチャー・ライターであり、アクティヴィストでもあった彼が、どういう経緯で、国立公園のヴィジョンを持ち、実現したのかがよくわかる。

最近、いろんなところで目にしていた名前なので、とても気になってたけど、なかなか書店の店頭では目にする機会が少ない。結局、アマゾンのマーケットプレイスで買えたんだけど、こういうのを手に取って、中身を確認して買えないのはすごく不満だし、いい本なだけにとてももったない。

エコだの環境問題だの、いろいろ言われるわりに、目先のことばかりに振り回されてる感の強い昨今なだけに、こういう先人のことをキチンと知っておきたいもんです。

North bound. North life.

『極北』 石川直樹 (Photo GRAPHICA 2008年 04月号 付録) 
(インプレスコミュニケーションズ) 
 
インプレスの季刊誌『Photo GRAPHICA』の付録として付いていた石川直樹くんのミニ写真集。『極北』というタイトル通り、真冬の北極圏で撮影された写真ばかりで構成された 80 ページの写真集で、付録とは思えないほどの贅沢な一冊。

技術的にも写真自体はもちろん上手なんだけど、「その時に、その現場にいて、シャッターを切ってること」という、とてもプリミティブでとても大切なことを実践してて、とても羨ましくもあり、とてもリスペクトでもあり。家の写真ばかり並べたりしてるところも面白い。
Photo GRAPHICA自体も、もちろん面白いし、お得感のある一冊。

2008/04/13

Is it a small world?

スモールワールド・ネットワーク

. :ダンカン・ワッツ 著
. :辻 竜平 / 友知 政樹 訳(阪急コミュニケーションズ)

「ケヴィン・ベーコン指数」等で知られる、いわゆる「シックス・ディグリーズ(six degrees)」関連の、かなり研究書・学術書寄りの一冊で、原題は "Six Degrees: The Science of a Connected Age" なのにこのタイトルで、サブ・タイトルは「世界を知るための新科学的思考法」。この原題に対して、この邦題とサブ・タイトルなところに出版サイドの意図はなんとなく見え隠れしてる。

実際の中身は、わりと研究書的な内容で、ヴォリュームもそれなりにあるので、それほど読みやすいわけじゃないし、読み物として面白いわけでもない(少しずつ読んでいたらけっこう時間がかかったし)。やってる(書いてる)こと自体は面白いし、これからの世界を考えるときに、けっこう大事な視点だとは思うけど、もうちょっと噛み砕いてくれたほうがありがたいかも。

まぁ、それはそうと、「シックス・ディグリーズ」でチェ・ゲバラとつながれるのかどうかは、すごく興味がある。

2008/04/12

Surf your life.

"Surf 2008" Catalog (Patagonia) 

パタゴニアの 2008 年のサーフ・カタログ。パタゴニアのカタログは、単なる商品カタログではない、メッセージの込められた雑誌のようなもので、毎号楽しみにしてるんだけど、今回の "Surf 2008" はその中でも秀逸な一冊。横長の版型もいいし、表紙を含めて、写真も相変わらず素晴らしいし、コラムも読み応えがあるし、やっぱりエディトリアルとしてのクオリティが高い。

広告だらけの、今の社会の経済原理と消費者心理をカタチにしたような、でもチヤホヤされてるフリー・ペーパーなんかよりも、よっぽどフリー・ペーパーとしての質も高い。

Detroit soul spectacular.

"Sessions (Promo)"

. CARL CRAIG(K7)

デトロイト・テクノのみならず、エレクトロニック・ソウル・ミュージックのオリジネーター、カール・クレイグの 2 枚組作品集。オリジナル曲のセルフ・リミックスと、他アーティストの曲の彼のリミックスを集めたものなので、「寄せ集め感」は否めないまでも、いわゆる「リミックス集」(あるアーティストの楽曲の、いろんなアーティストによるリミックスを集めたモノ。当たり前だけど、とっ散らかった、統一感のないモノになりがち)よりは統一感が保たれてて、彼ならではソウルフルでスペイシーな世界観は壮観できる。今回用のニュー・ミックスも入ってるみたいだし。クライマックスは、やっぱりクラシックの誉れ高い "Bug in the Bass Bin" のニュー・ミックスかな。

2008/04/11

Backpacker's delight.

バックパッキングのすすめ

. :堀田 貴之地球丸) 

古本屋で発見したので買ってみた、わりとライトな一冊。すぐに読み終わっちゃう。いろいろと、一通りの装備等についてカバーされてるんで便利ではあるけど、10 年以上前の本のでそれなりに情報は古い(まぁ、古本だから仕方ないけど)。やっぱり、こういう情報は、それなりの期間で定期的にアップデートされないとだなぁ、と。ただ、その辺は差し引いても、入門編としてはそれなりに楽しめる。

2008/04/09

Reflect for yourself.

リフレック トレッキング アンブレラ (ブラック) (モンベル) 
Link(s): Rakuten

個人的に「脱ビニール傘」を考えはじめて数ヶ月。やっと、とりあえずの結論に辿り着いた。「とりあえず」だけど。

このモンベルのリフレック トレッキング アンブレラは、8 面のうちの 4 面にリフレックインクをプリントしてあるのが最大の特徴。迷彩っぽい柄がライトに当たると光る、なかなかクールな一品なのです。強度も、従来の鋼鉄の傘骨と比較して曲げ強度で 1.2 ~ 1.35 倍らしく、しかも軽量と、品質的にはさすがはモンベルかな、と。

ちょっと不満なのは畳んだ時のサイズ(25cm)がもうちょっと小さいといいな、ということと、「半畳み」の状態(完全に畳んである状態ではなく、とりあえず閉じた状態)のときに、グリップ側にストラップ的なものが何も付いていないので、電車なんかに乗った時に、ビミョーに扱いが中途半端なところ。ここは、もうちょっと考える余地があっただろ、と。先っぽ側にはヒモがついてんるんだけど。

2008/04/08

Think radically, act optimistically.

ダライ・ラマ、生命と経済を語る

. :ダライ・ラマ / ファビアン・ウァキ 著
. :中沢 新一 / 鷲尾 翠 訳角川書店

最近、にわかに(望ましくない感じで)ニュースなどに登場することが増えたダライ・ラマが、ピンクのチェックに青い文字のロゴでお馴染みのフランスの百貨店、
タチの 2 代目社長のファビアン・ウァキ氏と対談した一冊。別に昨今の騒動(決して暴動ではない)に影響されて読んだわけじゃないですが、まぁ、こういう機会であっても、あらためてダライ・ラマの考えに触れて、あらためて考えてみることは決して悪いことじゃない。

内容的には、本人が書いたモノではなく、対談であるが故に、日頃あまり語られない性のこととか金銭のことについて、かなり穏やかな口調でラディカルなことを言ってて、とても面白い。ファビアン自身は、まぁ、良心的なヨーロッパの金持ちのインテリだなぁ、って印象だけど、これだけの相手を前にして、真摯に、精一杯、なんとかしていいことを引き出そうと頑張ってる感じは伝わってくる。ビミョーにわかりにくい例えとかを使いがちなところもあるけど、まぁ、インテリ・フランス人だから仕方ない気もする。

前書きで、中沢新一は「認識においては徹底したペシミスト、行動においては途方もないオプティミスト」という思想家のグラムシの言葉を引用してるけど、中沢氏も、これほど大胆かつラディカルなダライ・ラマを見るのは初めて、と言ってるように、印象としてはペシミストというよりもラディカリスト。ラディカルに考えてオプティミスティックに行動する感じはすごくリスペクト。