May 27, 2009

Inconvenient truths.

知られざる真実 ー 勾留地にて ー

. :植草 一秀 著 イプシロン出版企画)

知ってる(覚えてる)人もいれば、別に知らない(覚えてない)人もいるだろうけど、以前はいろんな TV 番組にコメンテーターとして出演してた経済学者・経済評論家で、ニュースやワイドショーを賑わせた事件での逮捕をキッカケに、そういった場では姿を見なくなった(閉め出された?)著者が、サブ・タイトル通り、拘留中に東京拘置所で綴った手記をまとめて 2007 年に出版されたモノで、
タイトルは現在、著者が本書の出版後に始めたブログのタイトルと同じ。内容はもちろん、同名のブログ人気(「人気」って表現が適切なのか、ちょっと微妙な感じがするというか、違和感を感じなくもないけど。別に穿った意味じゃなくて、「人気」って表現が持つ無邪気な感じとはちょっと違う、もっとシリアスなニュアンスが強い気がするので)、さらには著者自身の知名度や事件当時の報道の異常さのインパクト・記憶のせいもあってか、すでに 5 刷を重ねてるらしい。著者のオフィシャルなプロフィールは、現在、代表取締役を務めてるというスリーネーションズリサーチ社のサイトで確認できる。

ニュースやワイドショーを賑わせた事件での逮捕」ってのは、2004 年に手鏡で女子高生のスカートの中を覗こうとしたという容疑で逮捕された事件(この事件報道の中で、1998 年に電車内で痴漢事件を起こしてたことも報じられた)と、2006 年に電車内で痴漢の容疑で逮捕された件のこと。特に、2004 年の事件は、ワイドショーを中心に異常なまでに取り上げられてた(ワイドショーに「報道」って表現を相応しくない。ヤツらはただ「取り上げて」るだけだから)し、その頃は当時働いてた会社を辞めてフリーランスになってたから、多少は TV を観たりもするようになってたんで、それなりには覚えてる。

とは言いつつも、個人的には著者に対してはそれほど強い印象も特別な感情も抱いてなかった。別に好きでもキライでもないというか、そういう感情を抱くほど知らなかったというか。著者がマス・メディアで活躍してたのは 90 年代末から 00 年代の初め頃の数年間だと思うけど、その頃は個人的にメチャメチャ忙しくて、TV とかほとんどちゃんと観てなかったから、見かけることはあっても、どういうことを主張してたのかも、それがどういう意味だったのかもほとんど理解してな かったし、考えてもなかったんで。だから事件のことを聞いたときも、ポジティヴな印象でもネガティヴな印象でもなく、ただ単純に、事件自体に「何それ?!」って思っただけで。

だって、事件が事実なら、用件が用件なだけに
それはそれで「何それ?!」だけど、なんか不自然というか、単純にそうとも思えなくて。普通に考えて、いい大人(しかも、それなりに見識があり、顔が世間に知られてる)がやることとは思えないし。もし、本当に覗きたいと思ったとしても、もうちょっと利口な手があるだろ、って。酔っぱらってたりしたならともかく、昼間に素面でやることとは思えない。それに、ヒネクレ者だからか、どいつもこいつも見事に著者を悪者扱いする取り上げ方(特にただ印象だけでもっともらしい顔して「つまんねぇ正論」を振りかざしながら、肝心な事件では単にお茶を濁してるだけの自称「キャスター」とか「コメンテーター」のコメント)にも違和感というか、本能的な気持ち悪さを感じたし。あと、捜査で著者の自宅の屋根裏から痴漢モノのエロ DVD が発見されたなんて、あまりにも安直過ぎだし。まぁ、なんか気持ち悪い後味があった、と。判決の「罰金と手鏡没収」ってのも「何それ?!」だし。

ただ、
別に好きでもキライでもなかったわけで、「こんなこと、絶対おかしい!」とか憤ったわけでもなく、「こんなことするなんて、ガッカリ」って落胆したわけでもなく、なんか気持ち悪い後味のまま、過ぎていったって感じだったんだけど。その後、2006 年の事件で逮捕されたことがこの知られざる真実』の執筆につながってるんだけど、この時点でも、やっぱり著者自身には特別な印象はなくて、ただ「何か変な感じだなぁ」って思っただけで。その後も、鮮明に覚えてたわけでもないし、積極的に追いかけてたわけでもないし。

この知られざる真実』を読むキッカケになったのは、おそらくこの本の多くの読者と同様に著者が公開してる同名のブログ、植草一秀の「知られざる真実」。何かの機会(何だか覚えてないけど)にブログを見る機会があって、それで事件のこと(特に本人の言い分)とか、今の政治・経済・社会についての考え方とか提言とかを読んで、それ以来、RSS を登録してチェックするようになった、と。このブログは更新頻度はかなり高くて、文章量も参照先のリンクも多いし、けっこう専門的な内容だったりもするんで、キチンとタイムリーにフォローしていくのは決して楽じゃないんだけど、でも、まぁ、内容としては十分興味深いし、ちょうど、日本でもインターネット / ウェブサイト(もちろんブログも含めて)が既存のマス・メディアとは違うメディアとしての役割をちょっとずつ発揮するようになってきてるかなって感じだしてた時期だったりもしたんで(=既存のマス・メディアが笑えないレベルでヒドイことになってきた時期ってことも言える)。で、そこで紹介されてた知られざる真実』にも興味を持った、と。

だいぶ前置きが長くなったけど、そういう経緯で書かれた本なんで、著者自身の巻き込まれた事件(及び巻き込まれることになった理由)
についての「知られざる真実」を具体的且つ詳細に、その背後関係まで含めて綴った本なんだと勝手に思ってたんだけど、そういう側面ももちろんありつつも、それだけではなかった。中身自体は、第 1 章「偽装」・第 2 章「炎」・第 3 章「不撓不屈」の全 3 章の構成。第 1 章の「偽装」は、これまでの日本で行われてきた数々の「偽装」、例えば、郵政民営化、りそな銀行問題、タウン・ミーティング問題、天下り、小泉政権の数々の失政、さらにはメディアの問題等々を取り上げてる。第 2 章の「炎」は、著者の生い立ちから始まって、職歴に沿ったエピソード、例えば、野村証券から大蔵省に派遣されてたときに、どんな仕事をどういう目的でしていたか等に触れてる。第 3 章の「不撓不屈」は、タイトル通り、現在〜これからをどういう心境で生きるのかみたいなことが述べられてる。さらに、巻末資料として、著者自身が巻き込まれた 3 件の事件について、詳細に記されてる。

まぁ、内容的には、著者がブログでたびたび言及してる「政・官・業・電・外」(政治屋 / 特権官僚 / 大資本 / 御用メディア / 米国)の「悪徳ペンタゴン」 につながる話なんだけど、まぁ、最近のマス・メディアによる「世論調査」という名の「世論操作」とか、一連の小沢一郎の秘書の逮捕のニュースとかを考えれば、まぁ、呆れながらも頷ける話ばかり で、そういう場所の近くにいた人ならではの説得力もある。例えば、国民を IQ で分類して、IQ の低い層を政権支持層と設定して、その層に特化した PR を徹底的に行った話とか、著者がテレビ東京の『ワールド・ビジネス・サテライト』を外された経緯とか、著者が大蔵省に派遣されてた時期に関わった(消費税の前身とも言える)売上税導入のための PR で、世論に影響力を持つ政界・財界・学会の人物を 3000 人リストアップして、大蔵省職員が執拗に説得を行ったって話(メディアや講演での発言はすべて検閲され、説得されない人物はブラック・リスト入りなんだとか)とか。

本書で私は真実をありのまま記述した。私の心に一点の翳りもない。
エピローグにはこんな言葉が記されてる。こういうことをストレートに表現してる本ってのは、ありそうでなかなかないし、そういう状況に追い込まれちゃったからこそなのかもしれないけど、テーマがテーマだけに、相当リスクがあるだろうし、勇気も要っただろうことは容易に想像できる。激しく揺れ動きながらも理不尽に抗おうって強い意志とアティテュードには、ホント、素直に敬意を表したいと思う。

個人的には、日常的にブログを購読したり、この知られざる真実』を読んだ後でも、著者の熱烈なファンとか全面的な支持者になったわけじゃない(そんなことは著者も望んではいないだろうけど)し、この知られざる真実』が今後も何度も読み返すに違いない名著だとも思ってない。まぁ、その理由は、別に何から何まで共感できるわけではないってこともあるし、経済の専門家の経済の話ってそもそも胡散臭くてイマイチ共感できないってこともあるし、あと、個人的な部分での相性というか、考え方とか文体とか比喩とか引用とかのセンスみたいな部分がイマイチシックリこないってこともある。あと、特定のテーマについてもっと深く掘り下げた感じのルポタージュ的な内容(つまり、一連の事件がいわゆる「冤罪」であるだけでなく、その裏に大きな力が働いてる「陰謀」であるか否かについての詳細な検証とか、具体的に何がその呼び水になったのかとか)を期待してたから、ちょっと期待と違ってたって側面もあるし(まぁ、著者は当事者だし、ジャーナリストやルポ・ライターじゃないから仕方ないのかもしれないけど。でも、そういうのが読みたいなぁ、とは思う)。それに、著者の心情的な部分も含めて、メチャメチャ共感したとか感動したとか、そういう類いの感想を抱いたわけでもないんだけど、でも、こういう本とかブログの存在自体はすごくポジティヴだと思うし、吟味すべき情報ソースのひとつとしてすごく貴重だな、とは思う。
国民は「郵政民営化」の裏事情を知らずに「郵政民営化賛成=改革勢力」「反対=抵抗勢力」というデマゴギーを鵜呑みにした。日本人は嘘話という意味でデマという言葉を使うが、これはデモクラシーのデモと同じで「民衆」という意味を持つ。西部邁氏は「ギリシャ・ローマの時代から、デモクラシー=民主主義政治にはデマゴギーが付きまとうのは常識だった。民衆が前面に出て暴れまくる時代というのは、大なる可能性でデマゴーグが出る。民衆扇動家という意味だが、扇動するためには嘘をつくことが多いから、デマ=嘘ってことになった」(「座談会・日本の指導者像」『表現者』2006 年 11 月号 / イプシロン出版企画)と指摘する。西部氏は「ギリシャ・ローマの昔から、デモクラシーはデマゴギーに振り回される根強い傾向があった」とも述べている。
これも本書からの引用なんだけど、まぁ、言い得て妙というか、歴史的にもいろんな例もあるし、マトモな感覚で今の日本を見てれば、郵政民営化に限らず、いろんなことについて(ホントにいろんなことについて!)、ほぼ「実感」って言っても間違いないと思う。特にマス・メディア(著者の言葉を借りれば
悪徳ペンタゴンのひとつ、御用メディア)はヒドくて、実態・実感との乖離はどんどんヒドくなってると思うけど、まぁ、インターネットの世界が(遅ればせながら日本でも)その隙間を埋める役割をちょっとずつ果たしつつある感じはしてるし、ここで指摘されてる問題だけじゃなく、いろんな「知られざる真実」について、もっとチェックしてかないとな、なんて思ったりもしてる。それこそ、"Loose Change"(セカンド・エディションの日本語版はここで観れる / ダウンロードできる)とか『911 ボーイングを探せ』とか『暴かれた 9.11 疑惑の真相』でも語られてる通り、9.11 に関しても疑問だらけだし、世界がインフルエンザ・パニックに陥ってる中、タミフルの特許を持ってるギリアド・サイエンシズ社の元会長で現在も株主なのがラムズフェルドだったりすることとか、安易に陰謀説とかを唱える気はないけど、やっぱり何かあるのかな、って思っちゃうし。あと、はっぴいえんど販売中止とか、明らかに意味不明なのは言わずもがなだけど(iTunes Store だけは何喰わぬ顔して売ってて、超好感持ったけど)、一連の大麻報道(及び大麻行政)とかも意味わかんなすぎだし(そういえば、大麻じゃないけど、槇原敬之が覚醒剤取締法違反で逮捕されて CD が回収されたとき、キヨシローさんは「じゃあ、ビートルズもジミヘンも回収しろよ」って、すごく真っ当なことを言ってたね)、まぁ、長くなるから細かくは書かないけど、タレント(才能がないヤツがタレントって呼ばれてること自体おかしいんだけど。同じように、芸のないヤツを「芸人」と呼ぶこともおかしい)が安易に TV CM に出てること(そして、それを当たり前のこととして受け入れてること)とか、明らかにおかしいし。まぁ、他にも、したり顔でつまんねぇ正論を振りかざすヤツが多かったりもするし、やたらと数値化できる価値だけに囚われてるヤツも多いし、もう、それこそ挙げればキリがないくらいナゾだらけなんだけど。本書にも、奇しくもこんなことが書かれてたけど。
私は科学では説明できないことが多く存在すると思う。動物行動学者の日高敏隆氏は『人間はどこまで動物か』で「科学とは主観を客観に仕立て上げる手続き」と述べる。また、「科学とは部族の神話と真実との区別がつかぬようにする自己欺瞞の体系」と主張するアメリカの論文を紹介する。「科学」の貢献は大きい。だが、科学が万能だとは思わない。
まぁ、こういう時代に生きてるってことが幸せなのかどうか、かなりビミョーだとは思うし、インターネットってツールがあることが恵まれてることなのかどうかもイマイチビミョーな感じだと思うけど(インターネットには功罪があることは否定できないし。もちろん、どんなツールにも功罪はあるけど、インターネットの場合、簡単に扱えるわりにそのどちらもが強烈なので)、幸か不幸かこういう時代に生きてるわけだしインターネットもあるわけで、それはそれとして、人生は続くわけで、いろいろ自分で考えながら生きてかなきゃなわけで(そういえば、関係ないけど、日本人の 20・30 代の死亡理由の 1 位は自殺なんだとか。日本人の年間自殺者数は常に 30000 人以上だし。一緒にブラジルに行った知り合いが「日本人って自殺するんだって?」ってスゲェ不思議そうに聞かれたって話を聞いたときにも思ったけど、これって異常以外の何モノでもない)。そのためのツールのひとつというか、参考資料としてこの知られざる真実』とかブログがあるんだと思うし。あと、もうちょっと具体的な話、これまたタイムリー且つ意味不明な問題として、裁判員制度との絡みで考えても決して他人事じゃなかったりもするし。

この知られざる真実』とは直接関係ないけど、やっぱり BGM は "Fuck The Police"。もちろん、N. W. A. のクラシックでもいいんだけど(それにしてもいい名前だなぁ、'Niggaz with Attitude' って)、ここはあえて J DILLA かな。12" インチのアートワークにはムミア・アブ・ジャマールロドニー・キングの写真が使われてたし。


J DILLA "Fuck The Police" (From "Exclusive Collection" by DJ RHETTMATIC)









May 26, 2009

Vintage beats. Vintage groove.

"Dirty Old Hip Hop"

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MARC MAC Presents VISIONEERS(bbe)

昨日のエントリーでレビューした DJ カム・カルテットの "Rebirth of Cool" を聴いてた流れで、ナズの "The World Is Yours" のカヴァー繋がりな 1 枚を。

ディーゴと共に 4 ヒーローのメンバーとして UK クラブ・ミュージック / UK ブラック・ミュージック・シーンを牽引してきたマーク・マックが、前にレビューした "Influences: Compiled and mixed by DJ MARKY" をリリースしたイギリスの bbe からヴィジョニアーズ名義で 2006 年にリリースしたジャズ・ヒップ・ホップ・アルバム。生演奏を全面にフィーチャーしながらも、全部生ってわけでもライヴ・レコーディングってわけでもなく、生演奏とヒップ・ホップのプロダクション手法を有機的にいい感じで融合してるアルバムで、ヴィンテージ感溢れるサウンドの質感がすごくいい。

ナズの "The World Is Yours" やファーサイドの "Runnin'"といったヒップ・ホップ・クラシックスに加えて、アイザック・ヘイズの "Ike's Mood I"、ハワード・ロバーツ・カルテットの "Dirty Old Bossa Nova" 等、サンプル・ネタとしてお馴染みな曲のカヴァーが原曲に忠実なカタチで再現されてたり、ディーゴともテック 9 の "Simply" で共演してたフィラデルフィアの MC、キャピタル A がオールド・スクール・フレイヴァー溢れるフロウを披露してる "Funk Box" も楽しいし、絶妙なツボを押さえてるっていうか、「わかってる」って感じの仕上がり。マーク絡みの作品はけっこう好きなモノが多いんだけど、その中でもトップ・クラスの 1 枚かな。


MARC MAC Presents VISIONEERS "Dirty Old Bossa Nova" (From "Dirty Old Hip Hop")










May 25, 2009

Whose world is this?

"Rebirth of Cool"

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DJ CAM QUARTET(Inflamable)

昨日のエントリーでレビューしたジャズ・リベレーターズを聴いてて思い出したんで、いわゆる「ジャジー・ヒップ・ホップ」的な流れなモノを連投。

今となっては懐かしさする感じるフレンチ・ヒップ・ホップの代表格的な DJ / プロデューサー、DJ カムが 2008 年にリリースしたアルバム。ヒップ・ホップ・クラシックスをジャズでカヴァーするっていう企画モノで、もともとは "Saint Germain des Pres Cafe, Vol. 9" っていう 2007 年リリースの企画盤のディスク 2 として発表されたモノを集めて "Rebirth of Cool" って直球なタイトルでアナログをリリースして、後に CD でもリリースされたモノなんだとか。本人にジャズ・ミュージシャンを加えた DJ カム・カルテット名義でのリリース。

サウンドは、いい意味で想像以上にキレイな仕上がりで、コモンの "Resurrection" 等がカヴァーされてる。個人的には、女性ヴォーカルをフィーチャーしたナズの "The World Is Yours" が気持ちいい仕上がりでお気に入り。タイトル通りの "Tribute To J Dilla" もいい感じだし、アートワークもなかなかクール。あんまり期待せずに聴いたんだけど、期待を上回るオシャレな 1 枚で、さすがはジャズ・リテラシーの高いフランス(パリ)な作品って言えるのかも。


DJ CAM QUARTET "It's Yours" (From "Rebirth of Cool")










May 24, 2009

In a jazzy mood.

"Fruit Of The Past"

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JAZZ LIBERATORZ(Kif)

70 年代のスピリチュアル・ジャズの名門レーベル、ブラック・ジャズ・レコーズを模したアートワーク+ジャジーなヒップ・ホップ・サウンドを展開した 2008 年リリースのアルバム "Clin d’oeil" の評価が高かったパリのヒップ・ホップ・ユニット、ジャズ・リベレーターズの編集盤で、"Clin d’oeil" 以前の、2003 〜 2006 年リリースの 5 枚の 12" インチに収録されてたアルバム未収録トラックに新曲を加えた作品集。全 26 トラックっていうお腹一杯な内容になってる

ジャズも大好きだしヒップ・ホップも大好きなんだけど、こういう、いわゆる「ジャジー・ヒップ・ホップ」(的な呼ばれ方をしがちなモノ)って、実はあまり好きじゃなかったりすることが多い。たぶん、好きなモノほど、「近いんだけどビミョーにズレてる」モノの「ズレ」に過敏に反応できちゃって、しかも気になりすぎちゃうからなんだと思うんだけど。キライか? って言われればそんなこともないし、鳴ってて気に障ったりするわけじゃないんだけど、なんか、積極的に聴かなかったりしてて。でも、なんか、ジャジーな上モノとヒップ・ホップっぽいビートを安易にくっつけただけで、有機的に噛み合ってないモノも多いと思うし。実は "Clin d’oeil" もその 1 枚で、それこそ、サウンドといいアートワークといい、無邪気と思えるほどのジャズへの愛情は感じつつも、それほど強い印象が残ったわけじゃなかった(かと言って、ご多分に漏れず、悪いわけでもない)んだけど、この "Fruit Of The Past" はわりとシックリきちゃった。まぁ、サウンド自体は良くも悪くも予想の範疇からハミ出すものではないんだけど、全体としてクオリティは高いし。

個人的には、ハイライトはやっぱりモス・デフが参加した新曲の "Mountain Sunlight" かな。まぁ、もうすぐ出るモス・デフの新譜 "The Ecstatic" が楽しみすぎるせいもあるんだけど。トラックだけじゃなくてヴィデオもヤバそう。これまでに、"Words" と "Flowers" って 2 本の超ショート・ヴィデオと、バンダ・ブラック・リオの "Casa Forte" ネタの "Casa Bey" って曲のヴィデオが公開されてるんだけど、どれも相当ヤバくて。個人的には PV って好きじゃないんだけど、今回のアルバムに関しては、ヴィデオ込みのプロジェクトなのかと思うくらいの出来映えで、今後の展開が楽しみ。


JAZZ LIBERATORZ "Mountain Sunlight (Feat. MOS DEF)" (From "Fruit Of The Past")










May 21, 2009

A Brazilian rare groove classic.

"O Som do Copa 7"

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COPA 7(Top Tape)

しばらくブラジル音楽のエントリーはなかったけど、別に聴いてなかったわけじゃなく、相変わらず 70 年代頃を中心にこの辺ばっか掘ってるんだけど、そんな中でもお気に入りの 1 枚が、1979 年リリースのコパ 7 のファースト・アルバム。アートワークもサウンドもとてもラヴリィ。

コパ 7 といえば、前にレビューした "Black Rio" にもメチャメチャファンキーな "Copa 7 No Samba" が収録されてたけど、いわゆるブラック・リオ・ムーヴメントを代表するバンドのひとつ。ブラック・リオ・ムーヴメントってのは、同時期のアメリカのソウル〜ファンクにインスパイアされたブラジル音楽、言ってみればブラジリアン・レア・グルーヴなわけで、まぁ、元も子もない言い方しちゃえば悪いわけがないわけで。この "O Som do Copa 7" もご多分に漏れず、とてもラヴリィ且つとてもファンキー。40 分弱くらいの短いアルバムなんだけど、曲ごとのメリハリも利いてるし、全体として完成度が高い。ちなみに、アルバム・タイトルは "The Sound of Copa 7" って意味で、翌年に続編 "O Som Do Copa 7, Vol. 2" も出てる。

昔と違ってあまり本とかには頼らずに、ブラジル人とか海外のブラジル音楽好きのブログなんかを見ながらいろいろと手探りで聴いてみてるけど、どうも、個人的にはこの辺のファンキーなヤツとフォーキーなヤツがすごくツボらしい。



COPA 7
"Fofoqueira" (From "O Som do Copa 7")










May 20, 2009

Cycling blues.

自転車の安全鉄則

. :疋田 智 著 朝日新書)

新書は好きじゃないと言いながらもちょこちょこと新書をレビューする、しかも(良くも悪くも)すごく新書っぽい本をレビューするのは個人的にはどうかと思うけど、まぁ、最近すごく気になってたトピックについてのモノだったんで、ついつい読んじゃった。タイトル通り、「自転車についての基礎知識」についての一冊。自転車好きの目から見ても、
最近、いろいろ目に余ることが多いんで、人に文句を言ったりどうあるべきか考える前提として、まずは自分が、あらためてキチンと整理しておこうかな、と。

著者はメディアでも目にすることの多い「自転車ツーキニスト」(この呼び名はどうかと思うけど)で、自転車に関する著書も多い疋田智氏。この人のルックスを見ると、ついついライムスターのMC、宇多丸を思い出しちゃうし(別にいい意味でも悪い意味でもないけど)、TV 局勤務だからか、広い意味でのスタイリング(ネーミングとかアート・ディレクションとかの部分で)というか、センス的な部分がピンとこないからか、ビミョーに胡散臭さを感じちゃう部分もあるんだけど、NPO 法人・自転車活用推進研究会の理事だったりもして、各種メディアで訴えてることは一理あることも多かったりする。

日本にはまだ未発掘の大きな油田がある。しかもその油は、燃やしても京都議定書に引っかかるような地球温暖化ガスを出さない。その油とは、多くの人が腹に抱える皮下脂肪である。
第 1 章の冒頭にはバルセロナ・オリンピックの自転車競技代表の江原政光氏のこんな言葉が引用されてるんだけど、まぁ、言い得て妙というか、すごくナイス・パンチ・ライン。皮下脂肪を燃焼させて「自転車」を交通手段として活かす、つまり、スポーツやリクリエーションとしてだけでなく、あくまでも日常の移動・交通手段、車(特に自家用車)やバイクの代替手段として自転車を活用することができる、と。しかも、渋滞緩和によるビジネス効率の向上、交通死亡事故の現象、健康の維持と医療費の減少、そして化石燃料使用の軽減という 4 つのメリットが得られる。まぁ、言ってみればいいことずくめってこと。

ただ、日本の現状はというと、散々たる有様というか、ヒドイ状態。これは日常的に自転車に乗ってて実感してることだけど、その辺のことがあらためて確認できる。ママチャリにしても、自転車が歩道を走ってるのも、ケータイをいじりながら走ってるヤツとか傘をさしながら走ってるヤツがいるのも、日本だけだし。その結果として、さもありなんって感じだけど、自転車事故発生率は過去 10 年以上に渡って先進国で不動のトップなんだとか。曰く、「世界一事故が多く、世界一交通法規を守らず、世界一平均性能が低く、世界一保護されてなくて、世界一野方図で、世界一邪魔にされてる」のが日本の自転車だ、と。理由は単純ではなく、いろいろな要素が複雑に絡まってると思うけど、それを「インフラ」・「法整備」・「教育・啓蒙」という面からまとめてるのが本書。つまり、自転車の楽しさとか自転車から得られるメリットみたいな部分ではなく、あくまでも問題点の面にスポットを当ててるわけで、まぁ、読んでて面白い本かというとビミョーだったりもするんだけど、知ってて当たり前だけど、実は(恐ろしいことに)ほとんど知られてない(もしくは実践されてない)ことがわかりやすくまとまってる。

具体的には、日本ならではの問題であるママチャリと歩道通行の問題から始まって、(自転車側だけでなくドライバーを含む)一般社会のコンセンサスとしての自転車に関する交通法規の無理解及び交通法規の矛盾、ナゾだらけの自転車政策、さらには、ちょっと前に話題になったママチャリの 3 人乗り(お母さん+こども 2 人)から(彼の本業でもある)マス・メディアの取り上げ方まで、多岐に渡るんだけど、まぁ、根本的な問題としてはやっぱり社会としてのリテラシーの低さ、意識の低さに起因するのかな、と。

例えば、そもそも自転車は「速く遠くまで」移動できる性能を持ってることが不可欠で、そうでなきゃ車の代替にはならない(=エコロジカルではない)し、健康的でもない。でも、実際には日本の自転車のほとんど(その多くはママチャリ)その性能を備えてないし。他にも、車道の左側通行を徹底するだけで、事故の頻度を減らし、事故の被害を小さくなるらしいんだけど、でも、現状は車道の左側通行を大きく妨げてる要素として路上駐車の問題もあったりする(ホントにどうにかして欲しい)。それに、ママチャリが車道を走れる性能がないことも明らかだったりもするし(想像するだけで恐ろしい)。すごく簡単で効果は絶大なのにも関わらず、実践するのが難しい状況だったりもしてるってこと。やっぱり、個々人で取り組めるレベルと同時に、それとは別の次元でもっと大きな取り組みも不可欠だな、と。それには社会全体としてのリテラシーを高めていかないと。

そういう「問題」の部分を一通り検証しつつ、トリアージ(医療現場で優先順位をわかりやすく示す色分け)のカタチでまとめてるのが本書で、わかりやすくまとまってるって意味ではアリなんだけど、こういう「問題」だけまとめても、読んでて面白いわけでもワクワクするわけでも便利なわけでもないし、こういう問題にそれなりに興味を持ってないと手にも取らないわけで、アリではあるけど十分ではない感じがする。最近は自転車関連の本とか取り上げる雑誌も多くて、ちょうどさっきもコンビニで『smart』別冊の『smart バイシクル 2000』を立ち読みしてたんだけど、オシャレなチャリとかグッズはたくさん載ってるけど、最低限のルールとか決まりに関しての記事・記述は必ずしも十分じゃない感じがするし。そういう入り口の部分でキチンと伝えたり理解させていかないと、いつまでたっても限界があるよなぁ、なんて感じたりもした。むしろ、楽しさとかカッコよさとか便利さを伝えるときにこそ、リテラシーを高めるチャンスだと思うので。ルールや決まりだけじゃなく、スキルやコツみたいなことも含めて(例えば、ちょっと手とかで合図するだけで、ドライバーの対応はけっこう違う、とか)。あと、自転車ショップで売るときも大事っぽい気もする(ディスカウント店とかじゃ、期待はできないけど)。

思い返してみれば、こどもの頃のヘンテコなチャリ(なんか、変なライトとかいっぱい付いてたヤツ。アレは何チャリって呼ぶんだろ?)を除いても、高校時代は MTB で通学してたし、東京で働き始めてからももう、かれこれ 10 年近く自転車生活をしてる。何がいいかっていうと、たぶん、本質的にはランニングとかトレッキングとかと一緒で「動力=自分」っていうのが、なんかシンプルですごくいいな、と。自分のエネルギーで、頑張っただけキチンと進みから。それに、自力で動くと距離感とか地形とかもリアルに感じられるし、日頃見落としがちなモノが見えたりもする。実は、都内で乗るようになった当初は、自由な感じ(「アナーキーな感じ」と言ってもいいかも)がすごく気に入ってたんだけど。歩道も車道も走れるし、一方通行も関係ないし。終電も気にしないでいいし、都市部なら所要時間も電車と変わらないし。でも、昨今の自転車の流行の悪影響もあるし、ちょっとはオトナにもなったんで、まぁ、さすがにそんなアナーキーなことを言ってられないのが現状なのかな、とは思う。

だからこそ、実際に自転車に乗ったこともないようなヤツが決めた変なルール(規制)ができちゃう前に、チャリンコ乗りひとりひとりがちょっと意識を高めないヤバイんじゃないかな、ってちょっと危機感を感じてたりする。このままの状況が続くと、いろいろ規制しようとするヤツが出てくるから。そいつらはエラソーに車を乗り回してチャリを邪魔者扱いする(ホントにジャマなヤツらも多いのが大きな問題なんだけど)ヤツらだし。最近は新宿とか渋谷でもヘンテコな駐輪場が増えてる(イコール、フツーに駐輪してると撤去される)し。2008 年 6 月の改正道交法で話題になった「ヘッドフォン・ステレオを聴きながらの運転禁止」に関しても、それ以前から禁止だったんだけど、個人的には、そもそもなんで「禁止」なのかナゾだったりするし。もちろん、周りの音が聞こえないほど大音量で音楽を聴きながら乗ってたら危ないけど、そんなのわざわざ「禁止」するまでもなく当たり前だし。でも、周りの音が聞こえる程度の音量で聴くこともすべて危ないから「禁止」するなら、車やバイクだって禁止されて然るべきだし。密閉型のヘッドフォンかイヤフォンかによってもだいぶ違うし。要するに、ひとりひとりが考えて適切な方法を採れば問題ないことを、法律とかで取り締まろうとすると白か黒か、つまり「禁止」するかどうかってカタチでしか規制できないわけで。しかも、それを決めるヤツに自転車リテラシーも想像力も皆無で、マス・メディアもロクに考えもせずにトンチンカンなことを言いまくるとくれば、もう愚の骨頂というか、お先真っ暗なわけで(なんか喫煙規制に似てるような気がするんで、すごくキケンな気がする)。免許だの車検だの罰金だの、いくらでもつまんないことをやりかねない。ヘンテコなことをされちゃう前に、いろいろ考えなきゃいけないことが、すごく多そう。

さすがに、もう、それほどアナーキーなことは言ってられない感じだけど、それでもやっぱり自転車は「自由」であるべきで、その「自由」ってのは、自分で考える(考えなきゃいけない)ってこと、自分で考えて実践するってことを(さらにいえば自己責任ってことも)含んでるわけで。日本人は「自由」がキライというか、苦手というか、なかなか難しいことも多いし、まぁ、ある意味で、日本の社会としてのリテラシーの問題が自転車にも象徴的に表れてるとも言えるのかもしれないけど。まぁ、状況は、キヨシローさんの曲じゃないけど、まさに「サイクリング・ブルース」って感じで、何とかしないとヤバイっぽい。まぁ、とりあえず、個人的にはヘルメットについてちょっと真剣に考えてみようかな、と思ってるけど。

「サイクリング・ブルース」っていえばキヨシローさん曲と著作のタイトルなんだけど、前に『TV Bros』でキヨシローさんが自転車の連載を持ってて、そこで「坂道を上るときは立ちこぎじゃなくてギアを低めに設定して背筋を伸ばす」って言ってたのを毎日坂道を上るときに思い出す、って知り合いの S さんが言ってたんだけど、それを聞いて以来、坂道を登るたびにこの「サイクリング・ブルース」とともにキヨシローさんのことを思い出してる(あと、自転車クラシックと言えばエレファント・カシマシの『Baby 自転車』も忘れがたいけど)。


忌野 清志郎 "サイクリング・ブルース" (From "GOD")









May 19, 2009

La Bandiera.

闘争人 ― 松田直樹物語

. :二宮 寿朗 著 三栄書房)

ちょっと前に
名波浩の夢の中まで左足』のレビューでも書いた通り、日本人のサッカー選手の本ってほとんど読まないんだけど、他でもない、我らがマリノスのバンディエラ、我らがマリノスの魂であり、ミスター・マリノスこと松田直樹が主人公だって言われるとハナシは別なわけで。これまでにありそうでなかった松田直樹本。まぁ、これは読まないわけにはいかないな、と。思った以上に売れてるのか、新宿周辺の書店では、軒並み品薄だったりしてる。

「出さなきゃ殺すというオーラがある。」
エキセントリック(というか、選手に対して強圧的)だったことでは歴代監督の中でも群を抜いてた印象のある 2002 年のワールド・カップ時の日本代表監督、フィリップ・トルシエにこう言わしめた男が松田直樹であり、帯には自筆の文字で「俺は J リーグ最大の問題児でした」なんて書いてあったりする。まぁ、タイトルからして『闘争人』なくらいなわけで。まぁ、暴れん坊だ、と。

そんな松田直樹を一言で表現するなら、やっぱり「日本サッカー史上最高のディフェンダー」。そして、同時に「もっとも愛すべきフットボーラー」でもある。つまり、脳ミソとハートの両方に、強烈に訴えかけてくるフットボーラーだ、ってこと。いい選手って、だいたいそのどちらかが突出してるんだけど、両方を兼ね備えてるヤツはそういない。

もちろん、「史上最高」なんて絶対的な基準はないわけで、当然、異論はあるだろうけど。ただ、かなり客観的且つ引いて冷静に見ても、その候補を数名挙げればそのひとりに入ることには異論はないはず。マリノスではルーキー・シーズンから開幕スタメンだったし、若い頃から各年代の日本代表として活躍。アトランタ・オリンピックではブラジルを破った世紀のジャイアント・キリング、いわゆる「マイアミの奇跡」のメンバーでもある。2002 年のワールド・カップのメンバーでもある。J リーグでも、順調に行けば今シーズン中に 350 試合出場を果たすんで、実績的にも申し分ない。能力的な面でも、速さ・強さ・高さを高次元で兼ね備えてて、なおかつライン・コントロールや相手との駆け引きにも秀でてる。足下の技術やフィードの精度も高く、抜群の攻撃力も備えてる(特に、自らボール奪ってそのまま攻撃参加する姿は、もう、横浜名物。自陣からドリブルで攻め上がってループ・シュートなんて離れ業をやってのけたりする)。そして、強い気持ちを前面に出して強いリーダーシップも発揮する。一般的には、このうちのいくつかを持ってるだけで、十分優れたディフェンダーって評価されると思うけど、これだけ兼ね備えてる選手は他にいない。

強いて挙げれば、冷静さがちょっと欠けてる感はあるけど、そここそが「愛すべき」理由になってたりするのが松田直樹の松田直樹たる由縁というか、魅力だったりもする。たしかにメンタルの波は大きいし、試合中にもブチ切れたりするし、イエロー / レッド・カードもよくもらうし、まぁ、多分こどもっぽいところがあるし。でも、小さく、行儀良くまとまった松田直樹なんて松田直樹じゃないわけで、本人も「どれだけ経験を積んで駆け引きを覚えても、それだけじゃなく、身体ごとブッ飛ばすようなプレーもできる選手でありたい」みたいなことを言ってる通り、そういうプリミティヴな衝動みたいな部分を忘れてないことの表れでもあったりする。それをプレーや言動、行動などでストレートに表現するので、いろいろ諍いを起こすことも多かったし、チームに迷惑をかけたりすることも少なくはなかったけど、その分、サポーターにもその想いはストレートに伝わってきたし、その両面を含めて、不器用なまでに真直ぐで熱い。そして、だからこそこれほどまでに愛される。

この『闘争人』では、リフティングが 16 回しかできなかったという少年期から、栄光も挫折もイヤというほど経験して 30 代になった現在まで、様々なエピソードや関係者の証言で綴られてて、本の作り自体はオーソドックスな内容ではあるんだけど、ひとつひとつのエピソードが強烈なんで十分読み応えがある(それにしても、よくも、まぁ、これほど問題を起こしてきたもんだ)。さらに、本人の手記とインタビューに加えて、前橋育英高校の山田耕介監督、マリノスの大先輩の井原正巳、仲のいい友人でありライバルでもある安永聡太朗と佐藤由紀彦、クラブ・代表での元チームメイトの三浦淳宏、そしてマリノスで松田直樹の後継者となるべき栗原勇蔵(あと、オマケとしてマリノスのスタッフ)のインタビューが要所に挿入されてるんだけど、これが絶妙の人選で、すごく利いてる。時として、本人の言葉やエピソードよりも、近い人間の発言のほうが人物像を浮き彫りにすることってあるから。

それにしても、なんで松田直樹はこれほどまでに愛されてるんだろう? なんて思っちゃう。たしかに「バカな子ほどカワイイ」って面はあるけど、ただの「バカな子」ってわけでもないし、それだけでは松田直樹の魅力は語れない。こどもじみたエピソードの数々だけじゃなく、カヌやロナウドといったワールド・クラスの化け物と会敵する度にモチベーションを上げちゃうところとかもフットボーラーとしてすごく正しいし、時にはビックリするようなスーパー・プレーも見せてくれるし。30 歳を過ぎて、人間的にもプレーヤーとしても円熟する部分はありつつも、変わらない部分、譲れない部分は頑として譲らない。そういう不器用さも魅力的だし、とかく小粒な優等生タイプが増えてる(もてはやされてる)気がする昨今(サッカーの世界だけではなく、社会全般の傾向として)なだけに、余計に魅力的に感じられる。やっぱり、松田直樹は脳ミソにもハートにもガンガン容赦なく訴えてくる希有な存在で、だからこそこれからも目が離せないし、見れば見るほど好きになる。いろいろ回り道しちゃった部分もあるけど、だからこそすごく魅力的なプレーヤーになったんだと思うし、こういう選手がこれからどういうキャリアを重ねていくのかにもすごく興味があるし。

実は、ちょっと前に本人に話を聞いて写真を撮らせてもらう機会があったんだけど、一番印象的だったのは眼。眼力(めぢから)がメチャメチャ強くて。もちろん、メチャメチャオトコマエ(気が付いたらついつい 2GB 以上撮ってた。ひとりの人物を 2GB も撮ったのは初めて。被写体がカッコイイと、やっぱり、ついついシャッターを押しちゃう)なんだけど、それだけじゃなくて、眼の印象がメチャメチャ強烈で。撮ってるときも感じてたけど、撮った写真をあらためて見直してみても。もちろん、ひとつひとつの質問に悩みながらも真摯に答えてたことも印象的だったけど。仕事柄、会った人はついつい好きになっちゃうみたいなところは別にないんだけど、やっぱり、松田直樹は、すごく真直ぐで、なんかどっかチャーミングで、メチャメチャ愛すべき男だな、と。

May 18, 2009

Tank, tank, tank.

機動戦士ガンダム MS イグルー 2 - 重力戦線 - 3 オデッサ、鉄の嵐!

. :今西 隆志 監督(バンダイビジュアル

前に第 1 話「あの死神を撃て!」第 2 話『陸の王者、前へ!』をレビューした、フル 3DCG で描かれたガンダムの 1 年戦争のサイド・ストーリーで、「ガンダムが出てこないガンダム」としても知られる MS IGLOO シリーズの「重力戦線」の最終話。これまでのエピソード 2 話はジオンが優勢だった時期のヨーロッパ戦線の局地戦だったのに対して、今回はタイトル通り、舞台はジオンが地球上で劣勢になってる時期の地球戦最大規模の激戦、オデッサ。主役はアートワークに描かれてるようにガンタンクなんだけど、さすがは MS IGLOO シリーズって感じのちょっと驚きの展開だったりする。

主役のガンタンクは RTX-440 陸戦強襲型ガンタンク。本来、通常知られてるガンタンク(RX-75)ってのは長距離支援用の機体なわけで、陸戦強襲用ってことは全く別の目的を持った機体ってことになるわけで、名前こそ同じ「ガンタンク」ではあるけど、実際には全く別の機体って感じ。その圧倒的な機動力と運用のされ方は、いわゆるガンタンクのイメージとは(いい意味で)かけ離れてる。まぁ、それでも陸戦強襲型なわりに射程が長くて取り回しにくそうなキャノン砲が付いてたり、ナゾな部分はあるんだけど。ともあれ、遠吠えは落日に染まったでヒルドルブを変幻自在に扱ったソンネン少佐といい勝負しそうな、なかなか強力なマシンではある。

あと、
この「重力戦線」シリーズは、前の「1 年戦争秘話」と「黙示録 0079」シリーズと違って連邦軍目線で描かれてるのが最大の特徴なんだけど、舞台がオデッサなんでジオン側にはザクだけじゃなく、グフやドムも登場する。特に、地上戦でのドムの機動力は圧倒的で、こないだレビューした『ジオン軍の失敗』じゃないけど、もっと早く投入できてれば我がジオンがオデッサを明け渡すことにならなかったんじゃないかと思うほど。まぁ、それほど大きくフィーチャーされてるわけじゃないんだけど。あと、今回のヤマというか、キモのひとつはジオンの陸戦艇、ダブデがメチャメチャカッコよく描かれてること。これまでに一度もスポットが当たったことがない(と思われる)ダブデをこれほどカッコよく描いちゃうあたりは、さすがは MS IGLOO シリーズっていうか、他ではありえない MS IGLOO シリーズならではの魅力かな、と。

とりあえず、「重力戦線」シリーズはこれで完結。次のシリーズの有無については今のところ何のアナウンスもないんだけど、どこをどう切り取っても成り立ちそうなのも MS IGLOO シリーズならではの特徴なんで、次作にも期待したいところ。できればジオン目線がいいけど。

いつも書いてるけど、発売が通常の DVDブルーレイがあるってのはやっぱり面倒くさい DVD ってフォーマット自体、かなりウサン臭いし。

*既発巻:
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 1 年戦争秘録 - 1 大蛇はルウムに消えた
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 1 年戦争秘録 - 1 大蛇はルウムに消えた(ブルーレイ)
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 1 年戦争秘録 - 2 遠吠えは落日に染まった
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 1 年戦争秘録 - 2 遠吠えは落日に染まった(ブルーレイ)
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 1 年戦争秘録 - 3 軌道上に幻影は疾る
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 1 年戦争秘録 - 3 軌道上に幻影は疾る(ブルーレイ)
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 黙示録 0079 - 1 ジャブロー上空に海原を見た
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 黙示録 0079 - 1 ジャブロー上空に海原を見た(ブルーレイ)
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 黙示録 0079 - 2 光芒の峠を越えろ
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 黙示録 0079 - 2 光芒の峠を越えろ(ブルーレイ)
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 黙示録 0079 - 3 雷鳴に魂は還る
機動戦士ガンダム MS IGLOO - 黙示録 0079 - 3 雷鳴に魂は還る(ブルーレイ)
機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 - 重力戦線 - 1 あの死神を撃て!
機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 - 重力戦線 - 1 あの死神を撃て!(ブルーレイ)
機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 - 重力戦線 - 2 陸の王者、前へ!
機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 - 重力戦線 - 2 陸の王者、前へ!(ブルーレイ)

May 13, 2009

Organic vibes.

"Above the Bones"

.
MISHKA(J.K. Livin Records)

気がつけば 30 代の半ばを過ぎても 1 年の半分くらいをショーツ・パンツで過ごしてるわけだけど(温暖化に伴ってその傾向は強くなってる)、ここのところすっかりショート・パンツ向きな季節になってきてて、当然、聴きたい音楽もそういう気分を反映したようなモノになったりする。そんな最近のヘヴィー・ローテーションのひとつがちょっと前にリリースされたミシカのサード・アルバム。俳優のマシュー・マコノヒーの主宰する J. K. リヴィン・レコーズの第 1 弾リリースなんだとか。ハリウッドのこととか疎い(というか、興味がない)んで、よく知らないけど。

ミシカといえば、カリブ海のボートの上で育ったっていう異色の経歴を持つカナダ人のアーティスト(同じ境遇で育った姉はヘザー・ノヴァだったりする)。仕事で行ったフジ・ロックでライヴを観たことがある。1999 年にクリエイションからファースト・アルバム "Mishka" がリリースされた後だったかな。レーベルがクリエイションだったからか、ちょっとロックっぽいプロモーションがされてたようなイメージがあって、でも、ライヴはシンプルでアコースティックな、まぁ、言っちゃえば地味な感じで、レゲエの印象がけっこう強かった。そんなギャップのせいもあったのか、はたまた知名度が低かっただけだったのか、あまり人が集まってなかったような記憶がある。でも、個人的にはそれが逆に良かったんだけど。ボケッとノンビリ楽しめて。ライヴ自体はすごく良かったし。(最近は行ってないから、どうなのかわかんないけど)フジ・ロックみたいなイベントって、どうしてもネーム・ヴァリューがあって、ヒット曲のあるアーティスト(=ビッグ・ネーム)に有利に、新人に不利になりがち(実力とは別の次元で)。ステージがひとつのイベントならどんなに知名度のない新人でもとりあえず観て(聴いて)はもらえるから、ライヴが良ければ「勝てる」けど、ステージが複数あるイベントだと観てすらもらえないから。ちょっとハナシがズレちゃったけど、そんなわけで、ミシカにはわりといい印象があって、メチャメチャ好きってわけではないものの、まぁ、リリースがあればちょっと気になる存在だった。

アルバムとしては、2006 年にリリースしたセカンド・アルバム "One Tree" 以来のリリースになるんだけど、ルーツ・レゲエ / ロック / フォーク / ブルース / ソウルなんかの影響を消化したアコースティックでレイド・バックしたサウンドもソウルフルなヴォーカルも健在。メチャメチャ名盤ってわけじゃないし、特にキャッチーな曲が入ってるわけではないけど、アルバム全体に貫かれてるオーガニックなグルーヴがなかなか心地いい。最近は、ジャック・ジョンソンなんかに代表されるようなサーフ・ミュージック的な文脈でとらえられてるみたいだけど、まぁ、その気持ちもよくわかるかな。演ってることはファーストの頃から全然変わってないけど。


MISHKA "My Love Goes With You" (From "Above the Bones")









May 12, 2009

Universal century studies.

ジオン軍の失敗

. :岡嶋 裕史 著 講談社 アフタヌーン新書)

連続でガンダムネタのレビューってのもどうかと思うし、新書ってあまり安易に買わないようにしてるんで、いつもだったらもうちょっと警戒する類いの本なんだけど、わがジオン軍の失敗の原因についてなんて言われたら、ついつい手に取っちゃった。

この
ジオン軍の失敗』は、ジオン軍のモビルスーツ開発の失敗に、製品開発に共通する課題や、そこに潜む落とし穴を見出し、考察することで教訓にしようって本で、著者は 1972 年生まれで、電子政府やウェブ・サービス、分散ネットワーク等を専門とする関東学院大学経済学部准教授。まぁ、同世代のインテリなら十分考えそうなことだし、同世代として親近感も持てる。それなり(もしくはそれ以上)の内容になる(できる)こともイメージできるし。現在、「機動戦士ガンダム UC」連載中の福井晴敏も「こどもの頃に本当の戦争についてキチンと学ぶ機会がない中で、それを補うような機能をガンダムが果たしてた」みたいなことを言ってた(例えば、戦争はどういう状況になったときに勃発するのか、とか)けど、確かにそういう側面もある。なかなか具体的にイメージできないモチーフで説明されるより、ガンダムのほうがよっぽど理解しやすかったりするから。

ガンダムをネタにすればいろんな面から語れるけど、ここでのテーマは政治やイデオロギーではなく、あくまでもモビルスーツ(とモビルアーマー)という「製品開発」(歴史や思想についても最低限、説明はされてるけど)で、具体的に取り上げられてるのは、ザク II、高機動型ザク、グフ、リック・ドム、ゲルググ、ゴッグ、アッガイ、ズゴック、グラブロ、ビグ・ザム、そしてジオング。本編の映像内には出てこない高機動型ザクまで触れられてるところがなかなかマニアックだったりする。単にスペックだけではなく、それぞれのモビルスーツの開発の基となった発想から生産プロセスやタイミング、コスト、さらにはそこに絡んでくる政治的な意図や思惑等まで、さまざまな面からその特徴を考察しつつ、そこから教訓的なモノを導き出すというカタチでまとめられてる。例えば、アッガイを「使う人がいない製品」と呼び、そんな製品が何故できちゃうのか、とか。

読んでて頭に浮かんだのは、例えばアップルの製品開発、特に iPod mini とか G4 Cube みたいに、「すっかりなかったことにされてる」ような製品についてだったりするんだけど、他にもウォークマンの迷走ぶりとか、ウィンドウズ・マシンとか日本車のナゾだらけな製品ラインアップだったりとか、けっこういろんなモノに当てはまったりするから、あながちバカにできない感じもある。もっと言うと、「製品」(=プロダクト)に限らず、もっと広義での「モノづくり」について、例えばソフトウェア的なモノ、コンピュータのアプリケーションって意味(だけ)じゃなく、サービスとかコンセプトとかまで含めた広い意味での「モノづくり」にも当てはまるハナシだったりするし。「モノづくり」って、できたモノをアレコレ言うのとはまったく次元が違う難しさがある、特殊な作業だと思うので。それがクリエイティヴってことなんだと思うけど。やっぱり、そこには無限の試行錯誤があるし、単純な正解なんてないんだろうし。だからこそ、いろんなモノを見て、研究して、咀嚼して、自分のモノにしないとな、と。

まぁ、ガンダムモノに限らず、もともとこの手のモノ、例えば『スラムダンク 勝利学』とか『キャプテン翼 勝利学』なんかも好きだったりするし、「たとえ警視」好きなもんで、上手い比喩や例え話には目がないんで、個人的にはけっこう楽しめた。まぁ、ガンダム好きであることがデフォルトな本なんで、決して万人向けではないんだろうけど。でも、福井晴敏曰く「ガンダムは義務教育だった」んで、そういう意味では、オトナの嗜みとしてアリなのかな、と。それに、こういうカタチで、わりと馴染みやすいモノをモチーフにしていろんなことを、例えば近現代史とか思想とかを教えてくれると、もっと学びやすいと思うし。そういう意味では、ガンダムってすごくいいマニュアルだし、いっそのこと、ガンダム学ってのがあればいいってことなんだけど。そんなハナシもあった気がするし。

ちなみに、アフタヌーン新書ってのは「漫画雑誌から生まれた日本一カンタンな新書!」なんだとか。なんか、個人的には解せない感じ。新書って、それこそ昔は岩波新書とか中公新書とかに代表されるような感じだったのに、なんか知らぬ間に全然違うモノになってて、その傾向がどんどん増長されてて、新書売り場とか見てるとすごく気持ち悪い。テーマも内容も、どんどん軽くなってるし。悪い意味で。このジオン軍の失敗』も数時間で読めちゃったけど、早く読める内容であることを、なんで世の中、こんなにありがたがってるんだろう? コスト・パフォーマンスが悪くて、(出版社にとって)利益率が高いだけなのに。なんか騙されてる気がするんだけど。

May 11, 2009

A space between the earth and the moon.

機動戦士ガンダム UC 8 宇宙と惑星と

. :矢立 肇 / 福井 晴敏 / 富野 由悠季 著 角川グループパブリッシング)

前にレビューした 4 巻5 巻6 巻7 巻に続いて、相変わらずテンポよく発売されてる福井晴敏による小説版ガンダム、「機動戦士ガンダム UC」の最新刊。コミックと同じ装丁で発売されてるんだけど、コミックにしては分厚く感じるくらいのヴォリューム(最近、特に厚くなってる気がする)で、これで小説、しかもすでに 8 巻。まぁ、それだけの情報量だってことで、やっぱり宇宙世紀を総括するにはこのくらいのスケール感が必要なんだな、と。この 8 巻はゴールデン・ウィーク前に発売されてて、とっくに読んでた(というか、厳密には毎月、月刊『ガンダム A』で読んでるのをまとめて読み直してるってことなんだけど)んだけど、レビューし忘れてたんで、ちょっと遅ればせながら。ちなみに、マスター・グレード・シナンジュの別パーツ付きの特装版も発売されてる。

もし、シャア・アズナブルがいまも生きているとしたら…、それはもう人ではなくなっているのではないかな?
帯にはこんなセリフが踊ってる。このセリフだけで、語ろうと思えばいくらでも語れちゃうくらい、いろんな伏線が張られた意味深な言葉なんだけど、そのセルフの主、フル・フロンタルが表紙のイラストでマスクをしてないことにまずビックリ。タイトルに「宇宙(そら)と惑星(ほし)と」とある通り、物語の舞台は再び宇宙。やっぱり決着は宇宙でつけるらしい。ガンダム全体の特徴として「単純な勧善懲悪の図式ではない」ってのがあるけど、機動戦士ガンダム UC」は特にいろんな利権とか思惑が複雑に絡み合ってて、それがストーリーの面白さになってるんだけど、そういう部分が徐々に整理されてきて、まさに佳境に入ってきてるって感じ。この巻を経て、それぞれが、それぞれの想いを胸に、ある場所に集結する、と。

ちなみに、この巻の発売と同時に待望のアニメ化が正式に発表された時期は冬。TV なのか映画なのか OVA なのか、フォーマットはまだ未発表。ぜひ、この世界観を存分に映像化できるフォーマットで、できれば、それこそ大河ドラマみたいに 1 話 45 分 x 4 クールとかでやって欲しいもんだけど。福井晴敏作品の映像化の難しさは終戦のローレライ 上巻 / 同 下巻』と『亡国のイージス 上巻 / 同 下巻』で(悪い意味で)実証済みなので。今年は 30 周年だし、夏にはお台場に等身大のガンダムが降臨予定だったりするけど、そんなメモリアル・イヤーを締めくくるに相応しい作品になることは間違いない(っていうか、なってもらわないと困る)

*既発巻:
機動戦士ガンダム UC 1 ユニコーンの日(上)
機動戦士ガンダム UC 2 ユニコーンの日(下)
機動戦士ガンダム UC 3 赤い彗星

機動戦士ガンダム UC 4 パラオ攻略戦
機動戦士ガンダム UC 5 ラプラスの亡霊
機動戦士ガンダム UC 6 重力の井戸の底で
機動戦士ガンダム UC 7 黒いユニコーン

May 10, 2009

Art of change in public.

THIS DAY OF CHANGE Photo Exhibition

(クーリエ・ジャポン編集部 / 講談社)

COURRiER Japon 2009 年 3 月号』と写真集『ディス・デイ「希望の一日」』のレビューでも触れた写真展。
'THIS DAY OF CHANGE' は、2009 年 1 月 20日、つまり、バラク・オバマの大統領就任という「希望の日」の世界の様子を、世界中の 100 名を超えるフォトグラファーが 'HOPE' をテーマに撮影するって企画で、雑誌特設サイト写真集とこの写真展で構成されてる。この写真展は 4 月 29 日から 5 月 31 日まで新宿高島屋 2F の JR 連絡口、ペデストリアン・デッキで写真展も開催されててて、オープン・スペースなのでもちろん入場無料。高島屋側と東急ハンズ側にそれぞれ告知があって、バラク・オバマとマーティン・ルーサー・キング Jr. の言葉がフィーチャーされてる(写真の黄色いテキスト)。一応、許可なしの写真撮影は NG ってことだったんで、写真は高島屋側の告知部分で。

場所は、高島屋から東急ハンズにかけてのデッキ部分(紀伊国屋へ渡る橋の手前まで)で、JR の線路沿いのガラスの部分に写真とテキストが掲示されてる。点数はかなり絞り込まれてるんだけど、その分、1 枚 1 枚がかなり大きなサイズなので、ジックリと写真と向き合えて、なかなかの見応え。もうちょっと点数があったらもっと良かったけど。

写真自体ももちろん素晴らしいんだけど、掲示の仕方もシンプルだけどすごくキレイで、細かい部分までキチンとこだわりが感じらる全体のアート・ディレクションも秀逸。オープン・スペースでこういう展示をやるって、海外なんかではよくあるけど、日本で、しかもこれだけキチンとしたコンセプトとアート・ディレクションでやることってなかなかないし、すごく面白くて意義のある試み。この手の企画って、行ってみるとけっこう、手抜きというか、企画はいいんだけど細かいところがイマイチ頑張り切れてない、残念な感じのモノが、特に日本では多いんだけど、そういう意味でも完成度が高くて、素晴らしい企画なんじゃないかな、と。もちろん、雑誌特設サイト写真集を含めた 'THIS DAY OF CHANGE' も素晴らしいし。

ただ、みんな、買い物とかに夢中でそれどころじゃないのか、思った以上に通行人は意識してないというか、見てなかった感じなのがちょっと残念だけど。リテラシーというか、意識の問題なのか? アートとか、政治とか、社会とか、生活とか、いろんな意味で。

脳内 BGM はやっぱり "A Change Is Gonna Come"。1995 年の "The Promised Land" ってドキュメンタリーのサウンドトラックに収録されてる、今となっては懐かしい孤高の天才、テレンス・トレント・ダービーがブッカー T & MG'S と共演した美しいカヴァー・ヴァージョンで。


TERENCE TRENT D'ARBY + BOOKER T & MG'S "A Change Is Gonna Come"
(From "Do You Love Me Like You Say: The Very Best of Terence Trent D'Arby")









May 9, 2009

Sunshine folk music.

"When Love"

.
GABY HERNANDEZ(Armed Orphan)

ビルド・アン・アークやザ・ライフ・フォース・トリオ、アモンコンタクトなどの作品にフィーチャーされてる LA 出身の女性シンガー・ソングライター、ギャビー・ヘルナンデスのソロ・アルバムで、プロデュースは前に "Suite For Ma Dukes" をレビューしたカルロス・ニーノ。ちょっと前にリリースされたカルロス・ニーノの "High With A Little Help From" も素晴らしい出来映えだっただけに、期待してたんだけど、いい意味で期待を裏切ってくれたアルバムかも。

何が期待を裏切ったかというと、そういう文脈だったんで、もうちょっとクラブ・ミュージック寄りだったり、ディープでスピリチュアルなフリー・ジャズ寄りだったりするのかと思ったら、どちらでもなかったんで。音は、アートワークの写真のイメージそのままというか、すごくドリーミーでフォーキーなアコースティック・サウンドで、ギャビーのヴォーカルもとても幻想的で、黒さはほとんど感じられない。もっと「濃い」感じなのかと予想したけど、思いの外、あっさりとした仕上がりで。ただ、出来はすごくよくて、派手でポップな曲は全然ないけど、シンプルで出しゃばらない音作りとヴォーカルがすごく心地いい。まさかこういうディレクションだなんて思いもしてなかったんで、いい意味で驚いたし、彼女の資質もあるんだろうけど、カルロスのプロデューサーとしての懐の深さも感じられるかな。

ポップさとか派手さは全然ないし、すごくジャンル分けがしにくかったりもするんだけど、内容はなかなか良心的。いい意味でジャマにならない音というか、トゥ・マッチな主張をしない音というか、いろんなシチュエーションにわりとマッチする音だったりするんで、BGM にもなりやすい。何だかんだ言って、けっこうちょくちょく聴いてたりする。まぁ、平日よりは休日、都市よりは郊外な音であることは間違いない。


GABY HERNANDEZ "There Can't Be More Than This" (From "When Love")









May 8, 2009

3 feet high and running.

"Are You In?: NIKE+ Original Run"

.
DE LA SOUL(NIKE+ / iTunes Store)

これまでにも沖野修也さん、ファンタスティック・プラスティック・マシーンクリスタル・メソッド等が手掛けてきた NIKE+ のオリジナル・ミックス・シリーズ、'NIKE+ Original Run' の新作で、担当してるのはなんとデ・ラ・ソウル。なんで「なんと」って思ったかっていうと、単純に 3 人ともランニングとかしなそうだから。なんか、似合わなねぇ、って。まぁ、これまでこのシリーズを手掛けてきた他のアーティストが走りそうかっていうと、それはそれでビミョーなんだけど、デ・ラの 3 人が走ってる姿を想像すると笑っちゃうというか、微笑ましいというか、なんかそんな印象を持っちゃったんで。

NIKE+ ってのは、ナイキの専用スニーカーにセンサーを、iPod nano にレシーバーを装着して音楽を聴きながらランニング / ワークアウトすることで、タイムや距離、消費カロリー等を計測し、そのデータを iTunes と専用サイトを使って管理できるナイキとアップルのコラボレーション・プロジェクト。もちろん、自分の手持ちの音源を聴きながら走ってもいいし、音楽を聴かなくてもいいんだけど、より楽しくワークアウトを楽しむために、'NIKE+ Original Run' っていうワークアウト用のオリジナル・ミックスを iTunes Store エクスクルーシヴで提供してたりもする。これまでのモノだと、個人的にはハラカミレイさんの "River: NIKE + Original Run"(なぜかアートワークの写真を撮ってたりします。もちろん賀茂川。ハラカミさん的にはホントは鴨川のほうがピッタリなんだけど、絵的には賀茂川かな、と)と DJ AKi くんの "NIKE+ Basic Run [LSD]" がお気に入りなんだけど、デ・ラのこの "Are You In?: NIKE+ Original Run" もなかなかの出来映え。

まぁ、デ・ラ・ソウルといえば、浮き沈みの激しいヒップ・ホップ・シーンで 20 年(!!)のキャリアを誇るアーティストなわけで、
ビックリするくらい変わらないルックスもキャラクターと同様に、サウンドのクオリティも保ってる、いい意味でとてもマイ・ペースなグループ(デビュー当初よりは骨太になった気がするけど)。"De La Soul Is Dead" とか "Stakes Is High" とかは個人的にもかなり好きなアルバムだし。そんなデ・ラなので、この "Are You In?: NIKE+ Original Run" もけっこうユルくてレイジーでデイジーな感じなのかと思いきや、最初はウォーム・アップってことでゆったり始まりつつも、中盤〜終盤はけっこうアゲてきてて、ちょっとエレクトロな感じだったりして、なかなか本気な感じ。さすがに MC だけあって、けっこう声で煽って(励まして?)きやがるし。あんなにユルキャラなくせに。まぁ、思った以上にワークアウト・ミュージックとして考えられて作られてて、同時に、普通にミックスとしても楽しめる。

音楽を聴きながら走る、もっと言うと、走ることを目的として音楽を選ぶって、やってみるとけっこう奥が深いというか、やったことない人にはピンとこないかもしれないけど、音楽のすごくプリミティヴな魅力を再発見できて面白かったりする。耳から入ってくる音にフィジカルに反応する感じが。アメリカでNIKE+ が発売された当初から、自ら実験台になって(?)いろいろ試したんだけど、どうも、考え方的には 2 種類あるっぽい。ひとつは、普通に音楽を聴くのと同じように、単純に好きな曲、モチベーションが上がる曲を選ぶって考え方。これは別に難しいことはない。もうひとつは、音楽をわりとファンクショナルにとらえて、走るピッチと音楽の BPM、自分の BPM(=心拍数)と
音楽の BPM のシンク(同期)を意図的にとらえる考え方。それこそ、極端に考えると、テクノのようなシンプルな 4 つ打ちのビートで自分の走るピッチとピッタリ合ってたりすると、自分の身体もそのビートの一部になったような機械的な感覚で、すごく高揚感があったりするし。とは言いつつも、ただ機械的なだけなのもやっぱり味気ないもんで、機能の面と同時に、エモーショナルな面にも訴えてくるのが音楽なわけで、その辺が両立してるとすごくシックリくるし、理屈じゃないレベルで、フィジカルな快感だったりする。

そういう面も踏まえた上で、それぞれのアーティストが考えたワークアウトの在り方を表現したのが 'NIKE+ Original Run' ってことになるんだけど、このデ・ラのヤツも、ハラカミレイさんの "River: NIKE + Original Run" と DJ AKi くんの "NIKE+ Basic Run [LSD]" とともに、個人的には愛聴(愛用)しそうなミックスかな、と。

関係ないけど、デ・ラといえば "3 Feet High and Rising" 時代の貴重な(?)EPK の映像を発見。ある意味、ドープ過ぎ。

May 7, 2009

Too dope to pop.

"Closer to You: The Pop Side"

.
CASSANDRA WILSON(Blue Note)

自らの可能性を狭義の「ジャズ」の様式美の枠に押し込めることなく、意欲的にフォーキーでブルージーでエクスペリメンタルなジャズの可能性をドープな歌声で表現してるリアル・ジャズ・シンガー、カサンドラ・ウィルソンのカヴァー集。新録モノではなく、既発アルバムに収録されてたモノを集めたコンピレーションなんで、真新しさは感じないけど、まぁ、あらためてこうやってまとめて聴くと、曲の良さは活かしつつも、オリジナルのイメージにとらわれずにその曲を自分のモノにしちゃうカサンドラのカヴァーのセンスの良さは楽しめる。ドープ過ぎて取っ付きにくいところもあるカサンドラを聴くキッカケにって意図の企画盤なんだと思うけど、そういう意味では十分アリなんじゃないかな、と。アートワークもらしくないくらい(失礼!)いつもよりオシャレだし。まぁ、それでも、音自体は十分ドープ過ぎなんだけど。

個人的には、名盤 "Blue Light 'Til Dawn" に収録されてたヴァン・モリソンの "Tupelo Honey"、マイルスへ捧げた "Traveling Miles" に入ってたシンディ・ローパーの "Time After Time" のカヴァーが文句なくクラシックなんだけど、他にも U2 の "Love Is Blindness"、スティングの "Fragile"、ニール・ヤングの "Harvest Moon"、ザ・バンドの "The Weight"、ティナ・ターナーの "I Can't Stand The Rain"、ボブ・ディランの "Lay Lady Lay" 等、なかなか渋い選曲で、期待を裏切らない仕上がり。

カサンドラのカヴァーっていえば、この "Redemption Song" のカヴァー(大学のときに初めて観て以来、ライヴも何度か観てるけど、ライヴもメチャメチャドープ!!)も忘れることができないけど、やっぱり、どんな曲でも自分のサウンドにしちゃうカサンドラの存在感は圧倒的で、あらためてすごく希有で貴重なアーティストだってことを再確認させられる。


CASSANDRA WILSON "Tupelo Honey" (From "Closer to You: The Pop Side")










May 6, 2009

The Paris match.

"Visions of Dawn"

.
JOYCE with NANA VASCONCELOS & MAURICIO MAESTRO
.(Far Out Recordings)

パーカッショニストのナナ・ヴァスコンセロス、マルチ・インストゥルメンタリスト / プロデューサーで、ジョイスの前夫でもあるモウリシオ・マエストロ、そしてもちろん言わずと知れたブラジル音楽のミューズ、ジョイス。この 3 人が 1976 年にパリで行ってたセッションが 33 年の時を経て発掘された。リリースはジョー・デイヴィスが主宰するファー・アウト。相変わらず、いい仕事してくれる。この時期、このメンツってだけで、まぁ、十分期待しちゃうんだけど、その期待を裏切らない仕上がりで、文字通り、お宝音源って呼ぶのが相応しい。

1980 年リリースの名盤の誉れ高いジョイスの "Feminina" に収録されることになる "Banana" とか "Clareana" もレコーディングされてて、そういう意味ではプロト・タイプ的な意味合いもあったのかも? サウンドはフォーキーで、レイド・バックしてて、ポップ過ぎずシンプルで、ある意味ミニマルな、抑制の利いたかなり渋いプロダクション。ジョイスのヴォーカルもとても瑞々しいし。個人的には "Feminina" よりも好きかも。ジョイスのアルバムでは 1971 年の "Nelson Ângelo e Joyce" が一番気に入ってるんだけど、それに勝るとも劣らない 1 枚。それにしても、こんなのが埋もれてたなんて。よくぞ見つけてくれたと思いつつ、なんか、まだまだありそうな感じもする。ブラジル音楽に関しては。掘れば掘るほど奥が深い。


JOYCE with NANA VASCONCELOS & MAURICIO MAESTRO
"Clareana"
(From
"Visions of Dawn")










May 5, 2009

Astral years.

"Astral Weeks: Live at the Hollywood Bowl"

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VAN MORRISON(Listen To The Lion Records)

ワン・アンド・オンリーの存在感を放ち続けるアイリッシュ・ソウル・マン、ヴァン・モリソンが 2 枚目のソロ・アルバム(実質的には 1 枚目と言える)にして不朽の名盤の誉れ高いアルバム "Astral Weeks" をリリースしてから 40 周年を記念して、去年の 11 月に行った「アルバム再現ライヴ」を収めたライヴ盤。なんでも、"Astral Weeks" のアルバム全曲をライヴで演ったのは初めてなんだとか。でも、リハーサルは 1 回しか演ってないらしいけど。

まぁ、"It's Too Late to Stop Now ..." とか "A Night in San Francisco" のようなライヴ盤を聴けばわかる通り(残念ながら一度も来日してない、文字通り「最後の大物」なんだけど)、もともとライヴには定評があるし、年を感じさせない最近のライヴっぷりも YouTube のオフィシャル・チャンネルで確認できるヴァン・モリソンだけど、その期待をまったく裏切らない見事な仕上がりで、聴き応え十分。

本人曰く、"Astral Weeks" の曲を今までライヴで演らなかったのは、リリース当時、"Astral Weeks" は全然プロモーションされなくて、アルバム自体があまり売れなかったからなんだとか。確かに、ヒット曲満載の "Moondance" に比べればそれぞれの曲の知名度は低いけど。まぁ、アートワークについてはどうかと思ったりもするけど、内容的にはバッチリ。ソウルフルで、ブルージーで、ジャジーで。それにしても、御年 63 歳にしてこのパフォーマンスって。ただただ脱帽。

基本的には「昔の名前」を惰性でありがたがるような傾向はなくて、「過去の業績」と「現在のクオリティ」についてはけっこうドライに考えてるんで、キャリアを通じてずっと好きなアーティストって実はそれほど多くないんだけど、その数少ないアーティストのひとりがヴァン・モリソンだったりする。今でもアルバムは必ずチェックしてるし。しかも、ザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズと同世代だったりするって、あらためて考えてみると、スゴイことだなぁ、と。円熟はしてるけど、決して老け込んではないし、惰性で懐メロを垂れ流してるわけでもないし。


VAN MORRISON
"The Way Young Lovers Do [Live Verssion]"
(From
"Astral Weeks: Live at the Hollywood Bowl")











"Astral Weeks"

.
VAN MORRISON(Warner Bros)

これが "Astral Weeks: Live at the Hollywood Bowl" のもとになった1968 年リリースのセカンド・ソロ・アルバムにして、クラシック中のクラシック・アルバム。決してわかりやすいアルバムでもないし、ヒット曲が収録されてるわけでもないのに、ロック史に残る名盤として高く評価されてる希有な作品と言える(これがロックなのかどうかは、大いに疑問の余地があるけど)。

もともとはゼムのフロント・マンとして、ザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズに代表される60 年中期のブリティッシュ・ロック・シーンで活躍してたヴァン・モリソンは、リズム & ブルース / ソウルの影響が強かったシーンでも人一倍「黒い」個性を放ってたシンガー・ソングライター。この "Astral Weeks" がリリースされた 1968 年ってのは、ザ・ビートルズが "The Beatles"(ホワイト・アルバム)、ザ・ローリング・ストーンズが "Beggars Banquet" をリリースした年。つまり、"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band" や "Their Satanic Majesties Request" はもうリリースされてるわけで、ビートの利いたストレートなロック〜ポップだった 60 年代のブリティッシュ・ロックが、サイケデリックだったり、ハード・ロックだったり、いろいろな方向に拡散していった時期だった。

そんな中で、ゼムを解散してソロになったヴァン・モリソンはよりディープにルーツを掘り下げるような方向に向かった。一応、1967 年にリリースした "Blowin' Your Mind!" ってアルバムがファースト・ソロ・アルバムってことになってるんだけど、これはヴァン・モリソン本人の許可を得ずにレーベルがシングルを寄せ集めて作ったモノなんで、1968 年リリースの "Astral Weeks" が実質的なファースト・ソロ・アルバムってことになる。

サウンドはジャジーで、ブルージーで、フォーキーで、ソウルフル。実質的なソロ 1 作目にして、一言でロックと片付けることが困難な(というか、もはやロックじゃない)、ヴァン・モリソンならではとしか言いようのな世界観を確立してる。なんと、この時、まだ 23 歳。声はもともとオヤジ声だったけど、この渋すぎるサウンドにはビックリするばかり。シングル向きなポップな曲こそないけど、アルバム全体の完成度は抜群で、タイムレス・クラシックと呼ぶに相応しい。個人的にはいつも iPod / iPhone に入ってる 1 枚で、今後もずっと聴き続けるに違いない。


VAN MORRISON "Slim Slow Slider" (From "Astral Weeks")









May 4, 2009

Do the right sh*t.

くう・ねる・のぐそ ― 自然に「愛」のお返しを

. :伊沢 正名 著(山と渓谷社)

去年の 12 月に発売されて、そのシンプル且つインパクト十分なタイトルのせいもあって、一部でわりと話題になってるっぽい一冊。要するに、排便行為、特にトイレを使わずに自然の中で排便する行為、つまり「野
グソ」についての本ってこと。

個人的には、「野グソ」っていうと頭に浮かぶのはパンチ・ライン職人こと NIPPS(ブッダ・ブランド)のパンチ・ライン中のパンチ・ライン、「I drop da funk like a 冬場の野グソ」("Funky Methodist")くらいなんだけど、もちろんそれは全然関係なくて、山の屎尿問題と絡んでちょっと気になってた問題で。富士山とか特にそうだけど、山のトイレの問題ってすごく深刻で、でも、じゃあ、何ができるのか、どうすればいいのか、ってのはけっこうナゾだったんで。アウトドアの本なんかだと「穴を掘って埋める」ってサラッと書いてあったりはするんだけど、実際のところ、どうなのさ? ってのがイマイチわかってなかったんで、ヒントになるかな、と。まぁ、あまりにも直接的な言葉なのもアレなんで、ここではナチュラル・シットと呼ぶことにするけど(もちろん、こんな言葉はないと思うんだけど)。

著者は自ら「糞土師(ふんどし)」と名乗る人物で、1974 年からナチュラル・シットに取り組み始めて、21 世紀に入ってからは一度もトイレを使ってないっていう強者。もともとは自然保護活動をしてて、その頃にキノコに魅せられてキノコの写真を撮るカメラマンになったって人なんだけど、たまたま屎尿処理場建設反対運動に接したことから屎尿処理について考えるようになったら、キノコとも密接な関係にあった、と。つまり、林の中でのナチュラル・シットはキノコの強力な分解力によって自然に還り、優れた養分になるだとか。だったら積極的にナチュラル・シットに取り組もう、しかも自ら実践しながらあるべき姿を模索して、推進していこうっていう 35 年に渡る壮大な(?)取り組みの記録をまとめたのが本書で、場所は日本全国(しかも渋谷とか上野とかまで含まれてる)はもちろん、南米やニュー・ジーランドといった海外までに渡ってる。回数にして 10000 回以上。内容が内容なだけじゃなく、人間のナチュラル・シットの実物の写真が載ってたりする(袋とじになってるんだけど。絶対に載せたいってこだわった著者と、懸念を示した出版社側が折り合ったのが「袋とじ」だったらしい)って意味でも、他に類を見ない本に仕上がってる。タイトルも装丁もわりといい感じだし。

ヒトが生きていくために絶対に欠かせないのが、食べることと眠ること、そしてウンコ(排泄)をすることだ。食べものは、肉でも魚でも野菜でも、すべて命ある生きものだ。他の多くの命をいただいている私たちが、自然に感謝して何かお返しをするのは当然のことだろう。しかし、ヒトが自然に返せるものといったら、ウンコしかない。ウンコはトイレに流せば厄介なゴミに成り下がるが、じつはヒト以外の生きものにとっては、たいへんなご馳走なのだ。
プロローグにはこんな風に書かれてる。これがそのままタイトルとサブ・タイトルになってるんだけど、まぁ、この主張自体は感覚的にはすごく合点がいくハナシだったりはする。実際に昔は肥料として使われてたってこともハナシとしては知ってるし、水洗トイレの先がどうなってるかなんて全然知らないけど、まぁ、有効利用されてなさそうな感じはするし、水を大量に使ってることは間違いないし。ただ、問題は感覚的にはわかってても、具体的には全然わかってないことなわけで。

この本がスゴイのは、キチンと記録を取りながらその方法を試行錯誤してるだけじゃなくて、土の中で分解されていく過程とかまで調べてたりすること。そこからわかったのは「ナチュラル・シットは、正しい方法でやれば問題ない」ってレベルじゃなくて、「人間が自然に還元できる(おそらくは唯一の)有益な行為」だ、ってこと。土の中での分解過程がすさまじくて。キノコだけじゃなく、いろんな動植物・菌類がナチュラル・シットに群がって、大変な饗宴を繰り広げてる。そう言われると、だいぶ考え方も変わってくる。

まぁ、実践するかって言われると、やっぱりなかなか難しいけど、でも、実際問題として、トレッキング中とかなら自分にも十分ありえるハナシだし、どういう風にしたらいいか、しかもオッケーなだけじゃなくて、好ましいかがわかったのはなかなか面白いな、と。例えば、分解能力を超える量のナチュラル・シットは逆に良くない、つまり、ただ埋めればいいってわけじゃない、と(一ヶ所にできるのは 1 年に 1 度ってのが「掟」なんだとか)。あと、場所も大事だったり。特に標高が高いところとか川の近くとか。山で問題になるのはこういうところかな。

ちなみに、「街路または公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」は、軽犯罪法違反になるんだとか。まぁ、そこら中で無闇にするなってことだ。そりゃあそうだ。


BUDDHA BRAND "Funky Methodist" (From "病める無限のブッダの世界")











May 3, 2009

Whole lotta Love.

忌野 清志郎 Kiyoshiro IMAWANO (1951 - 2009) - R. I. P.

レビューではないけど、こないだバラク・オバマのプラハでの演説のレビューにキヨシローさんがカバーした『イマジン』を貼ってたり、ちょっと前に訳あって RC サクセションやタイマーズ、ソロの作品をいろいろ聴き直す機会があって、あらためて、なんてカッコイイんだろうって思ってた矢先だっただけに、昨日の夜にニュースを見てすごくビックリしたし、ショックだったし、悲しいんで。もちろん、癌に患ってて闘病中だったってのは知ってたけど。

実は、個人的には
キヨシローさんにハマったって経験はなくて、世代的にも、物心ついたときにはもういた人なわけで、『雨あがりの夜空に』とかは知らぬ間に聴いてて、なんか頭に残ってたけど(「こんな夜に お前にノレないなんて こんな夜に 発射できないなんて」だからね。こどもには刺激が強いね)、一番インパクトが強かったのは、こども心に度肝を抜かれた坂本龍一さんとのコラボレーション『い・け・な・い ルージュマジック』だったりするから、決して王道の、熱心な RC / キヨシローファンではない。

リアルタイムでキチンと自覚的に聴いた記憶にあるのは、たぶん RC の『カバーズ』辺り。高校生だったかな? 「素晴らしすぎて発売できなかった」なんてニュースもあったり(「
放射能はいらねー 牛乳を飲みてー」で知られる『ラヴ・ミー・テンダー』とかね)、当時は洋楽のほうが聴いてたから洋楽のカヴァーってのグッときたし。その後は、タイマーズも含めてわりとマメにチェックしてるけど、RC よりもソロとか別プロジェクトとかのほうが好きだったりして。やっぱり直球なキヨシローファンじゃないらしい。

忘れられないのは大阪で目撃した
キヨシローさん。もう 10 年以上前のことだけど、FM 802 が主催してる野外イベントに仕事で行ったときのこと。炎天下の万博記念公園が会場で、バックステージでモニター見てたら目の前に短パン+タンクトップ+ビーサン+頭にタオルを巻いたむさいオッサンがいると思ったら奥田民生だったとか、そういう状況で。まぁ、メチャメチャ暑いし、どのアーティストもアコースティックだったり、わりとシンプルでユルい感じで進行してたんだけど、陽が沈んだ頃にトリとして登場したのがキヨシローさんで。ピンクの 3 ピースのスーツでバッチリキメてて、超ノリノリで、もう、ハンパじゃなくくらい、メチャメチャカッコよくて。うわっ、ヤバイな、この人、って。

昨日、訃報を聞いてから、(たぶん、日本中の多くの人と同じように)YouTube でいろんな映像を観てるんだけど、やっぱり
キヨシローさんは、もちろん名曲も多いんだけど、同時にカヴァーもコラボレーションも素晴らしくて、名パフォーマンスも多いなぁ、ってあらためて思う。しかも若い頃だけじゃなくて、わりと最近のモノも素晴らしくて。すごくいい年の取り方をしてた。『上を向いて歩こう』ももちろんだし、ウルフルズと共演したこの『デイドリーム・ビリーバー』もメチャメチャいいし、隠れたキヨシロークラシックとしては井上陽水さんとのコラボレーションの『帰れない二人』も最高だし(「もう星は帰ろうとしてる」って、なんて美しい歌詞なんだろう)。個人的にはライムスターと共演した『雨あがりの夜空に 35』もけっこう好き。おもしろそうなことならやっちゃうっていうオープン・マインドなスタンスも清志郎さんっぽいし、キング・オブ・ロックとキング・オブ・ステージの共演っつうのもバカっぽくていいし。まぁ、要するに "Walk This Way" ってことなんだ、と。「ビンビン且つ不謹慎なエネルギー発射!」ってのもナイス・パンチ・ラインだし、ヴァースに入ってる「ガッデム!」もピッタリだし。それに、ヒップホップ・マナーの煽りって、実はキヨシローさんにすごく似合ってるし。DJ JIN のヴァースで見せるスクラッチの振りとアウトロのフロウも微笑ましい(そして、キヨシローさんに名前をシャウトされてる DJ JIN が羨ましい)。もちろん、他にも『スロー・バラード』とか『パパの歌』とか『世界中の人に自慢したいよ』とか、もう、ホントに名曲は数知れず。

あらためて、なんてカッコイイんだろうって思ってた」って書いたけど、わりとグッときちゃう感じになってきたのは自分がオトナになってからで、なんでだろうなぁって最近すごく思ってたんだけど、最近、なんかわかった気がした。たぶん、この人の声と言葉には愛が溢れてるからなんだろうなぁ、って。しかも、薄っぺらなヤツじゃなく、スケールがデッカイ愛。奇抜さも過激さも毒もストレートなメッセージもユーモアもイナタい腰つきも、全部含めて、愛が溢れてて、なんかチャーミングで。しかも、難しくて大切なことを、頭デッカチにならない絶妙なサジ加減で、脳ミソにもハートにも訴えてくる。だから、ビンビン伝わってくるし、心に染みちゃうんだと思うし。そういえば、「愛しあってるかい?」って昔から言ってたし。「最近のアーティストは…」なんてオッサンみたいなセリフだけど、まぁ、もうすっかり立派なオッサンなわけで、それを承知で言うと、なんか最近は、品行方正というか、優等生というか、TV 向けというか、キヨシローさんみたいに放送できないようなホントのことを歌っちゃう、歌えちゃう(しかも、ユーモラスに)アーティストっていないよなぁ、なんてすごく物足りなく思ったりしてて。そんな矢先の訃報だったんで、よけいにショックだったんだけど、同時に、やっぱり希有な存在だったんだなぁ、って再確認したし、こういう日本語の音楽を聴くと、日本人で良かったなって思うし。まさに日本人による日本人のためのブルースであり、ソウル・ミュージックであり、もちろん最高にロックンロールだなぁ、と。

Remember You すべて忘れたとしても
Remember You 君を覚えているよ
ボクの目が 耳が 口が 胸が どうやっても君から離れない

Remember You すべて失くしたとしても
Remember You ボクは覚えているよ
ボクの目を 耳を 口を 胸を そうさ 今も忘れられないのさ
昨日から、『GOD』ってアルバムに入ってる『Remember You』って曲のフレーズが頭の中で鳴り続けてる。写真はやっぱピンク。そして、ただただ、合掌。


忌野 清志郎 "Remember You (Feat. 甲本ヒロト)" (From "GOD")










May 2, 2009

Black and blue.

"White Lies For Dark Times"

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BEN HARPER & RELENTLESS7(Virgin)

ベン・ハーパーのトータル 9 枚目(になるのかな?)のスタジオ・アルバムはベン・ハーパー & リレントレス 7 という名義でのアルバム。リレントレス 7 についてはよくわからないけど、リレントレス 7 のオフィシャル・サイトを見ると、ベン自身もメンバーのひとりとしてクレジットされてるから、ベン+サポートのバック・バンドって感じではなくて、あくまでもひとつのバンドとしての作品ってことらしい。

聴いた印象としては、かなりシンプルでストレートなロック・アルバム。これまで一緒にやってきたイノセント・クリミナルズは大所帯だったのに対して、リレントレス 7 は「7」って付いてるけど 7 人ではなくて 4 人編成のバンドで、ベンのヴォーカル+スライド・ギターにギター、ベース、キーボード、ドラムスを加えた編成なので、当然と言えば当然だけど。ちなみにメンバーは "Both Sides of the Gun" に参加してたメンバーなんだとか。わりとハードでラフなロックあり、ブルージーな渋い曲もありで、骨太でいい感じの仕上がり。すごくロックで、すごく黒い。

ちなみに、実はアルバムの全曲を MySpace で試聴できちゃったりする(期間限定かも?)んだけど、さらにオフィシャル・サイトでは、アルバム収録曲以外にレッド・ツェッペリンの "Good Times Bad Times" とプリンスの "Purple Rain" のカバーも聴けちゃったりする。

実はベン・ハーパーはファースト・アルバムのリリースから常にリアルタイムでチェックしてきたアーティストの数少ないひとりなんだけど、個人的にはわりと地味で、ロック色よりブルース〜フォーク色の濃いアルバム、具体的にはファースト・アルバムの "Welcome to the Cruel World"、ライヴ盤の "Live From Mars" のディスク 2、ザ・ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマと共演した "There Will Be a Light"、"Both Sides of the Gun"(特にディスク 2)辺りが好みなんで、今回のアルバムはちょっとロックっぽすぎるかなぁ、なんてちょっと思う曲もないことはないけど、全体としてはやっぱりさすがの出来映え。ただ、アートワークは、ちょっとどうかと思うけど。

考えてみると、10 年以上のキャリアがあって、これだけのアルバムを出してきてて、常に一定以上のクオリティを保ち続けてるってスゴイことだし、今の時代にはすごく希有な、貴重なアーティストだなぁ、と思ったりもする。最近はジャック・ジョンソン辺りとの絡みで、ちょっとオシャレなサーフ・ミュージック的な人気もあるみたいで、それはそれで、音楽的なクオリティが低いわけでもないし、無闇に何かに迎合してるわけでもないから全然悪いことじゃないと思うし。ただ、個人的には、海のイメージじゃないような気はするけど。


BEN HARPER & RELENTLESS7 "Number With No Name"
(From "White Lies For Dark Times")










May 1, 2009

Surf your soul.

Coyote No.36 特集 海は学校 いまだ知られざる水の島、ハワイへ

(スイッチ・パブリッシング

これまでにも何度か取り上げてる『coyote』誌の最新号の特集は「海は学校」。
サーフィンを軸にした内容で、表紙にジェリー・ロペス、イヴォン・シュイナード、ナイノア・トンプソンなんて名前を並べられたら思わず、やっぱり手に取っちゃう。

特集のサブ・タイトルが「いまだ知られざる水の島、ハワイへ」ってなってる通り、特集のメインはハワイ。前半は、前に
レビューした★!!ホクレア 星が教えてくれる道』の著者、内野加奈子さんが取材するは、写真取るは、原稿書くは、さらには「クムリポ」というハワイに伝わる創世詞の翻訳もするはの大活躍。とてもいい仕事をしてて、素晴らしい内容。ハワイでも海を知らずに育つこどもが増えてて、そういうこどもたちに海について、ハワイについて教えるアフター・スクールのハナシも面白いし。実務的なことだけ教えてるわけじゃないのがポイントかな、と。ナイノアの記事は、内野さん自身もクルーであるホクレア号の次の計画について。3 年かけて世界・57000km を巡る航海を予定してるんだとか。なんとも壮大な計画。また日本にも来るのかな?

「学ぶ海、悟る海(Wisdom in the the waves)」ってタイトルの記事は、
前にレビューした(★!!ジェリー・ロペスサーフリアライゼーション』の訳者、岡崎友子さんによるもので、ジェリー・ロペスとイヴォン・シュイナードはここに登場する。メインはパタゴニアのサーフィン・アンバサダーでもあるクリスキースダンのマロイ兄弟。「プロサーフィンの世界に、コンペティション以外のサーフスタイルを確立させた」世代のサーファーということなんだけど、こういう感じは、サーフィンに限らずすごく興味があるというか、気になってたところだったりするんで、興味深く読めたというか、いろいろ考えさせられちゃった。サッカーにしても音楽にしても仕事にしても、なんか似たようなところがあると思うし、なんとなくモヤモヤだけど、そんなようなことを感じてる(考えてる)んで。知らなかった言葉なんで正確な定義はよくわかってないけど、「ソウル・サーフィン」ってすごくいい言葉だなぁ、なんて思ったり。写真も素晴らしいなぁ。ジェリー・ロペスサーフリアライゼーション』で述べられてたようなライフスタイルを具現化するためのプロジェクト、サーフリアライゼーション・フェローシップについてで、これもなかなか興味深い(あと、関係ないけど、ジェリーがヨガをしてる写真を使ってるパタゴニアの広告もカッコイイ)。他にも、医師のドリアン・パスコウィッツ(オフィシャル・サイトの URL が www.alohadoc.com。いい URL だなぁ)の言う、ホントの意味での 'recreation' のハナシとか、なかなかいい感じの記事と写真で、読み応え(見応え)があるというか、味わい深いなぁ、と。

あと、ハワイのモロカイ島のハナシがすごくいいなぁ。全然知らなかったんだけど。岩根愛さんの写真が素晴らしい。
名前はいろいろ見るけど、実はあまりキチンと知らなかった、というか、ちょこちょこ見たことのある写真はそんなに好みじゃなかった印象だったんだけど。あと、モロカイの記事の中に出てくる「サブシステンス(subsistence)」って考え方も面白いし。ここはもうちょっと掘ってみたい感じ。サブシステンスにしても、モロカイにしても。

他にも、『野性の呼び声』や『白牙』などで知られる作家、ジャック・ロンドンが 1911 年に発表し、アメリカにサーフィンを伝えたと言われる "The Cruise of the Snark" の一部の抜粋・抄訳も掲載されてて、なかなか読み応えがある。あと、2006 年 1 月に葉山の海に逝った佐久間洋之助の記事もすごく感慨深い。横須賀生まれなので、場所の雰囲気はイメージしやすいんで。個人的には決して「海育ち」ってイメージなわけではないと思うけど、やっぱり、海までチャリで 10 分くらいのところで育ったわけで、やっぱり地元をイメージするときに海はいつも出て来がちだったりはするんで、そういう意味でも、どの記事もいろいろとインスピレーションに富んだ内容で、なんというか、ゴールデン・ウィークの天気のいい昼間に、公園とかで読んじゃうにはもってこいな感じ。ただ、ノンビリしたり癒されたりするだけじゃなく、同時に考えさせられるところがすごくいい(ただの癒し、しかもホントに癒されてるのかもアヤシイ、「エセ癒し」みたいに見えるモノがやたらともてはやされてるように感じることがすごく多い昨今なだけに)。BGM はやっぱベタにジャック・ジョンソンとかで。まぁ、実はあまりゴールデン・ウィークとか関係ないんだけど。でも、混んでるところにわざわざ出掛けたりするより、公園とかでダラダラするほうがいいんじゃね? なんて。


JACK JOHNSON "Hope" (From "Sleep Through the Static")