2009/06/30

For beautiful human life.

『「美の国」日本をつくる ー 水と緑の文明論』 
 川勝 平太 著(日本経済新聞出版社)  
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books 

前にレビューした『智慧の実を食べよう 学問は驚きだ。』にも出てる川勝平太氏の 2006 年の著作。別に最近読んだわけじゃなくて、発売時に読んでたんだけど、今、ちょっとした話題の人になってるんで、このタイミングで紹介しない手はないな、と。

その話題っていうのは、なんと川勝氏が今週末に投票を控えてる静岡県知事選挙に出馬してて、しかも有力候補のひとりだってこと。まぁ、わりと最近まで知らなかったんだけど、ちょっと前に Google Alert で来たメールを見たらオフィシャル・サイトができたってニュースで、
サイトを見てみたら県知事選に出馬してた、と。しかも静岡ってのもすごく興味深い。

川勝氏は歴史学者・経済学者で、文明論とか地方分権論とか、なかなか斬新で大胆なアイデアが個人的にはけっこうツボな学者。最近まで静岡文化芸術大学の学長を務めてたんだけど、今回の出馬に際して辞任したらしい。
著書も多くて、『文明の海洋史観』(Links: Amzn / Rktn)とか『富国有徳論』(Links: Amzn / Rktnとか『敵を作る文明 和をなす文明』(Links: Amzn安田喜憲氏との共著)とか『「美の文明」をつくる ー「力の文明」を超えて』(Links: Amzn / Rktnとか、主なモノはなるべく読むようにしてるんだけど、どれもなかなか面白くて。最近のモノで、あまり学術書っぽくなくて、わりとこれまで述べられてきたことが包括的にまとまってるのは同じく 2006 年の『文化力 ー 日本の底力』(Links: Amzn / Rktnか、この『「美の国」日本をつくる』だと思うんだけど、いろんな意味でより手に取りやすいのは文庫本の『「美の国」日本をつくる』かな、と。もちろん、智慧の実を食べよう 学問は驚きだ。』もすごく解りやすいけど、さすがにちょっと情報が足りない気もするんで。

2009/06/29

Funky Brazilian songbook.

"Tudo Ben: Jorge Ben Covered" (Mr. Bongo)   
 Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

サブ・タイトルに 'Jorge Ben Covered' ってある通り、ファンキーなサウンドでお馴染みの、ブラジル音楽を代表するアーティスト、ジョルジ・ベンの書いた楽曲をいろんなアーティストがプレイしてる音源を集めたコンピレーション。企画もいいし、アートワークもシンプルでいいなぁ、と思ったらやっぱりイギリス人の仕事だった。Mr. ボンゴのリリース。やっぱり、こういうのを作らせたらイギリス人はピカイチだな、と。

'tudo bem' っていえば、ブラジルに行ったときにたぶん一番よく使ったポルトガル語なんじゃないかって思うような言葉で 'Tudo bem?' は 'How are you?' みたいな意味。'Tudo bem.' って応えると 'Alright.' みたいな意味になるっていう便利な単語(たぶん)。まぁ、よくわかってないで使ってたけど、問題なかったっぽいからそれほど間違いではなかったんじゃないかな、と。

2009/06/28

A whole new world.

Barack Obama’s Speech in Cairo: A New Beginning (on June 4th, 2009) 
(BarackObama.com) 

ちょっと前のエントリーの WWDC 2009 のキーノート・アドレスに続いて、だいぶ時間が経っちゃったけど、やっぱり無視できないっていうか、個人的には衝撃的で、感動的でもあるような、歴史的な演説だと思うんで、備忘も兼ねて(時系列的には順番が前後しちゃってるけど)。なんか、聞けば聞くほど(観れば観るほど / 読めば読むほど)、そして考えれば考えるほど、いろいろなことが絡んでるように思えてきて、時間がかかっちゃったけど。

2009/06/27

Never can say goodbye.

Michael Jackson (1958 – 2009) - Rest in peace.

あらためて想いを馳せてみると、マイケル・ジャクソンに対して、個人的に特別な思い入れはほとんどないってことに気が付いた。

世の中的には「キング・オブ・ポップ」なんだろうし、いろいろなスキャンダルでもメディア賑わせてきたから、すごくポップな存在みたいで、そういうカタチの報道が続いてるけど、そういう報道を見れば見るほど違和感を感じたりして。

2009/06/15

Not only 'speed' but also 'something special'.

Apple WWDC 2009 Keynote Address (Apple Inc.) 

2009 年 6 月 8 日(日本時間では 6 月 9 日の未明)にサン・フランシスコで行われた WWDC 2009 でのキーノート・アドレス。今回のテーマは 'One year later, light-years ahead.' だとか。これまでにもアップルのキーノート・アドレスはエントリーしてるけど、今回もいつものようにオフィシャル・サイトでのストリーミング配信iTunes で Apple Keynotes を登録しておくとポッドキャストで配信されるカタチで公開されてる。ちょっと時間が経っちゃったけど、やっぱり触れといたほうがいいと思うので。

既にオフィシャル・サイトでも発表されてるように、3 代目の iPhone、'S' が付いた「シャア専用」こと iPhone 3G S が発表されて、すっかりそのインパクトで他の発表のことを忘れちゃいがちなんだけど、実は他にも、MacBook ProSafari 4OS X Snow LeopardiPhone OS 3.0 等、無視できない発表は相次いだ。そうは言っても、内容は既に報じられてるし、実際に触ったわけでもないので、発表内容には気になる部分だけある程度は触れつつも、ここではいつも通り、
キーノート・アドレスを「ライヴ」のようなエンターテインメントとしてレビューを。

2009/06/14

Vinte anos depois.

NARA LEÃO "Dez Anos Depois" (Universal)  Link(s): Amazon.co.jp

雨のパリの街にたたずむモノクロのアートワークが印象的なナラ・レオンの 1971 年リリースのアルバム。「美しきボサノヴァのミューズ」というステキな邦題が付いてて、収録曲もボサ・ノヴァのスタンダードばかりってことで、多作なナラのディスコグラフィの中でも評価が高いというか、人気のある作品だし、ボサ・ノヴァを代表する 1 枚だと思うけど、まぁ、ご多分に漏れずわりと好きなアルバムだったりする。最近、ちょうどいろいろとボサ・ノヴァについてあらためて勉強してみたりしてるんだけど、偶然か必然か、こないだ、宮沢和史さんの『BRASIL SICK』のレヴューでもちょこっとだけ触れた中原仁さんのブログで 6 月 7 日がナラの 20 周忌だったことを知ったので、あらためて取り上げてみようかな、と(そういえば、その 3 日前の 6 月 4 日は天安門事件から 20 年。全然関係ないけど)。ナラはすごく多作だし、日本でもいいコンピレーションがたくさん作られてるし、「ボサ・ノヴァのミューズ」と呼ばれながら、実はボサ・ノヴァと距離を置いて作ったボサ・ノヴァ以外の作品も多いから、どれにしようか悩んだけど、やっぱりというか、あえてというかわかんないけど、これかな、と。

2009/06/13

Camera talk.

BRUTUS 2009/6/15 号 写真がどんどん上手くなる 
マガジンハウス) 

BRUTUS』の最新号の特集は「写真」で、表紙に '…必要なのは「ルール」設定でした。' ってある通り、著名なフォトグラファーたちの「ルール設定」から学ぶ、みたいな内容。まぁ、写真好きとしては、ちょっと気になる内容ではある。

例えば、ライヴ写真でお馴染みのクボケンさんこと久保憲司さんの「ミュージシャンは売れる前に撮れ」とか、若木信吾さんの「人がいないと成り立たない風景を探す」とか、
どれもなかなか興味深いし、石川直樹くんの「タテ位置・真っ正面」とか、簡単そうで実は相当勇気が要るし。ヒラ・ベッヒャーの「曇りの日に撮る」もすごくいいし。「露出がウンヌン」「絞りがウンヌン」「シャッタースピードがウンヌン」みたいなハナシになってないところが個人的には気に入ってる。もちろん、基礎知識とかスキルはないよりあったほうがいいけど、やっぱ大事なのはアイデアと実行力だろ、と。究極的には、「その時、その場にカメラを持っていること」だと思うし、一番大事なのは。その時、その場にいられることも立派な能力だし。

我らがペンタックスも遂に K-7 なんてのが発売間近で、デジタル一眼もすっかり動画アリの世の中になってて、ますますいろんなことが出来るようになってるけど、まぁ、やっぱり大事なのはアイデアの部分と、あとはそのアイデアを実現するためのバカっぽいムダな労力を惜しまないことだな、なんて思ったり。バカっぽいことのほうが楽しいし。そういう意味では、バカっぽい、でも大事なアイデアがいくつも載ってて、なかなか参考になるというか、インスパイアされる。特集タイトルは「写真がどんどん上手くなる」より
「写真がどんどん楽しくなる」のほうが相応しいような気がするかな。

2009/06/12

To be ecstatic, gifted and black.

MOS DEF "The Ecstatic" (Downtown)  
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

ちょっと前にレビューしたジャズ・リベレーターズの "Fruit Of The Past" のエントリーの中でも必要以上に触れてたモス・デフのニュー・アルバムが遂にドロップ。先行して公開されてたバンダ・ブラック・リオの "Casa Forte"(アルバム "Maria Fumaca" 収録)ネタの "Casa Bey" と、"Words" と "Flowers" って 2 本の超ショート・ヴィデオでかなり期待を煽られてたんで、ワクワクしながら聴いてみた。

結論から言うと、決して悪くはないんだけど、期待したほどじゃなかったかな、アルバム全体の出来としては。期待しすぎだったのかもしれないけど。一応、ディスコグラフィ的には 4 枚目のソロ・アルバムで、"True Magic" 以来、約 3 年ぶりのリリース。まぁ、それだけ聞くとかなり久々な感じもするけど、その間にも客演とかは多かったし、日本にいるとあまり気付かないけど俳優としての活動もけっこう積極的にやってたりもするんで、たぶん、別にブランクがあった感じではないのかな。


2009/06/09

Dark side of the moon.

MOONLIGHT MILE 18 巻

. :太田垣 康男 著 (小学館)

前にも 16 巻17 巻をレヴューした
MOONLIGHT MILE』の最新刊。ここのところ、すっかり半年に一冊くらいのペースになってて、さすがに久々な感は否めない。まぁ、オトナ向けのコミックとしてはアリなペースではあるけど、年に 3 冊くらい読みたい感じはしちゃう。

今、あらためて
16 巻17 巻のレヴューを見直したら、MOONLIGHT MILE』自体の説明をキチンとしてなかったことに今さらながら気付いたので、一応触れておくと、舞台はアポロから数十年の時を経て、枯渇しつつある石油の代替エネルギーとしてのヘリウム 3 開発のために再び月を目指す時代。つまり、プラネテス』より近くて『宇宙兄弟』よりはちょっと先の未来ってこと主人公はクライマーとして名を馳せた日本人で、ザイル・パートナーとして地球上の極地を共に制覇してきたアメリカ人クライマーの友人と、お互いに違うルートでさらなる「極地」である宇宙、そして月を目指す。そこには次世代エネルギーの独占をもくろむアメリカの思惑や、それに対抗するもうひとつの大国・中国の台頭、イスラム圏の独自の動き、テロリズム、インドやパキスタンを含む核の問題等、ついつい現実社会と混同しちゃいそうになるような政治・経済・軍事の大きな力学が渦巻いてて、そんな状況の中で、魅力溢れるキャラクターたちが夢や野望や国益など、いろいろな「十字架」を背負いながらも宇宙という未踏の「極地」を切り開いていく。そんなストーリーがリアル且つダイナミックに展開されてるのが最大の特徴で、あくまでもリアリティに重点を置くことで、「宇宙とは?」「人間とは?」的な、SF / 宇宙モノでは避けては通れない、でも深入りしすぎるとドツボにハマる危険性を上手く回避しながら、エンターテインメントととして上手く成り立たせてて、読み応えは十分な作品。

現実社会の動きを鑑みつつ、現実社会の動向(さらに言えば、読者のリアクションも)と同時進行的に創作し、物語を進行していくという創作の方法は、たぶん連載で発表されるマンガ(もしかしたら小説も)ならではの制約であり、面白さでもあるわけで、特にある程度リアリティを感じさせる「ドラマ」を描く場合、決して簡単な制約ではないはずだけど、この作品はその点にとても自覚的で、しかもとても上手く活かすことができてる(作者もそうのようなことをトーク・ショーで言ってた)。だからこそ、読んでいて「ついつい現実社会と混同しちゃいそうになる」ようなリアリティを感じさせるんだし、同時に(決して作者の独りよがりではない)エンターテインメントとして成立してるんだ、と。

ちなみに、現在は第 2 部に突入してて、月面で生まれた「ムーンチャイルド」が幼少期を終えて少年期を迎えてるって時代。この
18 巻 でも主人公はすっかりムーンチャイルドの世代になってて、そんな時代の月の世界の闇の部分が垣間見える内容になってる。第 2 部に入ってからあまり描かれてなかった地球の状況とか、第 1 部主要な登場人物のその後なんかもチラ見せしつつ、いろんな意味で、どちらにとっても、待ったナシの相変わらず予断を許さない展開で、一気に読ませてくれるあたりはさすがかな、と。


*既発巻:
MOONLIGHT MILE 1 巻
MOONLIGHT MILE 2 巻
MOONLIGHT MILE 3 巻
MOONLIGHT MILE 4 巻
MOONLIGHT MILE 5 巻
MOONLIGHT MILE 6 巻
MOONLIGHT MILE 7 巻
MOONLIGHT MILE 8 巻
MOONLIGHT MILE 9 巻
MOONLIGHT MILE 10 巻
MOONLIGHT MILE 11 巻
MOONLIGHT MILE 12 巻
MOONLIGHT MILE 13 巻
MOONLIGHT MILE 14 巻
MOONLIGHT MILE 15 巻
MOONLIGHT MILE 16 巻
MOONLIGHT MILE 17 巻

2009/06/07

Hip hop sambista.

MARCELO D2 "A Procura da Batida Perfeita" (Sony / BMG Brazil)  
Link(s): Amazon.co.jp

最近、にわかにブラジルなエントリーが続いてるけど、これもやっぱり「ブラジル・シック」な BGM。別に新譜じゃないんだけど。

ブラジルのヒップ・ホップ・シーンをレペゼンするリオ・デ・ジャネイロの MC、マルセロ D2 が 2003 年にリリースしたセカンド・アルバム。もともとはプラネット・ヘンプってハードコアなグループで活動してたらしく、その頃はわりとサグな感じというか、アメリカのギャングスタ系っぽい感じとパンク / スケーター系っぽい感じのミクスチャーだったらしいんだけど、ソロになってからはわりとサンバ色の濃いオリジナルなヒップ・ホップを演ってて、なかなか面白い。セルジオ・メンデスの 2006 年の大ヒット・アルバム "Timeless" にも 2 曲参加してるんで、これが一般的には一番知られてるのかも。

2009/06/06

Roots sounds.

"Recycle 2009: DJ ROOTS Studio Mix" (DJ ROOTS)  Link(s): MySpace

昨日のエントリーでレヴューした DJ AKi くんの "mimo" シリーズの影の主役と呼んでも過言じゃない(と勝手に思ってる)サルヴァドールのドラムンベース DJ / プロデューサーの DJ ルーツが今年の 1 月にウェブ上で公開したスタジオ・ミックス。けっこう早い時期に発見してて、それ以来、愛聴してたんだけど、昨日のエントリーを書いてて思い出したので。

昨日のエントリーでもちょっと触れた通り、DJ ルーツはブラジルの古都・バイーア州サルヴァドールを拠点とするドラムンベース DJ / プロデューサー。2006 年に DJ AKi くんたちとブラジルに行ったときにサルヴァドールで出会ったアーティストで、その時に何曲かトラックを聴かせてもらったんだけど、そのクオリティの高さにみんなでブッ飛んじゃったっていう、なかなか思い出深いアーティストだったりする。しかも、大都会のサン・パウロじゃなくて、より北(南半球なので赤道に近付くってこと)の、ブラジルでも最も黒くてカポエイラを生んだ街、サルヴァドールだったってのも感慨深いし。まぁ、本人はアフロ・ブラジリアンじゃないっぽいけど(ブラジルは混血の進みっぷりがハンパじゃないんで、厳密にはもちろんわかんないけど)。

2009/06/05

In a 'mimo' mood.

"mimo 2 mixed by DJ AKi" (Music Mine)  
 Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

こないだ宮沢和史さんの『ブラジル・シック』を読んじゃって以来、すっかり、「ブラジル・シック」状態(ホームシックのブラジル版みたいな感じ)なんだけど、DJ AKi くんのミックス CD、"mimo" もそんな気分にピッタリな 1 枚。リリースは何年か前なんだけど、別に今聴いても全然楽しめるんで。

'mimo' ってのは、IT / 技術用語の 'multiple input multiple output' のことではもちろんなくて、たしかポルトガル語で「優しく抱擁する」ってニュアンスの意味だったかな? すごくラヴリィな響きの言葉。ここでは、DJ AKi くんと 06S クルーがブラジルへの旅で得たエモーショナルなフィーリングとかグルーヴを表現するコンセプトとして使われてて、サウンド的には DJ マーキーや DJ パチーフ(カタカナで書くと何か変な感じ)に代表されるブラジリアン・ドラムンベースを中心とした、ヴォーカル・トラックが多めのメロウでソウルフルなドラムンベース・スタイルで、そんなサウンドの風景とか空気感みたいなモノを DJ AKi くんがミックスしたのが "mimo" だ、と。

2009/06/04

Saudade do Brasil.

SEU JORGE "The Life Aquatic Studio Sessions" (Hollywood Records)  
Link(s): Amazon.co.jp

昨日のエントリーとは直接関係ないけど、個人的にメチャメチャ「ブラジル・シック」な BGM を。別に新譜じゃないんだけど。

ブラジルのシンガー・ソングライター、セウ・ジョルジが 2005 年にリリースしたアルバムで、デヴィッド・ボウイの曲をポルトガル語でアコースティックにカヴァーしたモノを集めたアルバム(1 曲だけオリジナル曲も収録)。もともとは、『ライフ・アクアティック』って映画のサウンドトラックに 5 曲収録されてて、それにさらに追加してアルバムにした、と。まぁ、映画自体には全然興味もないし、よく知らないんだけど。

2009/06/03

Quebra galho.

『BRASIL SICK』 宮沢 和史 著双葉社)  
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books 

これまでにも、自ら責任編集した『COURRiER Japon』のブラジル特集号とか、日伯移民 100 周年音楽事業テーマソングとしてリリースされたガンガ・ズンバの "足跡のない道" をレビューしたザ・ブームの宮沢和史がブラジルへの想いをまとめた書籍で、これも日伯移民 100 周年だった去年発売された。

帯には「ブラジル愛、ブラジル熱病(シック)」なんて書いてあるんだけど、タイトルの「ブラジル・シック」ってのは「ホームシック」のブラジル版みたいな感じなのかな。ブラジルが恋しくて仕方がない、みたいな。その感覚は、もう、メチャメチャよくすごくわかる。もちろん、宮沢さんのソロ・アルバムの『AFROSICK』とか、ガンガ・ズンバの母体となったソロ・プロジェクト「MIYAZAWA-SICK」(ソロでのベスト盤のタイトルでもある)との関連でもあるんだろうけど。

2009/06/01

Total football.

UEFA Champions League 2009 Final: FC Barcelona 2 - 0 Manchester United (May 27, 2009)

(UEFA) 


よくよく考えたらこのブログはレビュー・ブログなので、だったらマッチ・レビューってのもアリなんだなってことに気が付いたんで、今回はマッチ・レヴューを。ピック・アップする試合はもちろん、ローマのスタジオ・オリンピコで行われた UEFA チャンピオンズ・リーグ(以下、CL)のファイナル、FC バルセロナ(以下、バルサ)vs マンチェスター・ユナイテッド(以下、マン U)。つまり、間違いなく今シーズンの最重要ゲームであり、おそらくは前後数年間の中でもトップ・クラスに重要なゲームだったと言えるはずの一戦ってこと。まぁ、結論を一言でいうと、最高の結果になったな、と。いろんな意味で。この「いろんな意味」ってのがポイント。まぁ、もうちょっと打ち合いになっても良かったかな、とは思うんで、★ x 4 で。

試合結果は既に報じられてる通り、エトォとメッシのゴールで 2-0 でバルサの勝利。当然、バルセロニスタとしてはもちろん「
最高の結果」だったってのがまずひとつ。これは理屈じゃない次元で。ただ、これだけだったらレヴューでも何でもないし、「いろんな意味」でも何でもないわけで、もちろん、それだけじゃない。

戦前の予想ではマン U 優勢だった。今シーズンのマン U の強さは、個人の能力が高く個性的な(≒扱いづらい)選手を数多く擁しながら、厳格な規律でプレーヤーに献身的なハードワークを課し、速さ・強さを活かしたムダのないプレーをエゲツなく貫徹すること。もちろん、クリスティアーノ・ロナウドやルーニーといったスーパーな能力を持った選手もいるし、ギグスやスコールズのようにチームの魂というべきベテランもいる。ムカつくぐらい効率が良くて、バランスが取れてるのが今シーズンのマン U だ、と。アーセナルをこども扱いした CL のセミ・ファイナルはその象徴だって言える。今回のファイナルは
フレッチャーこそ出場停止だったけど、選手層の厚さは十分だし、プレミア・リーグも早々に優勝を決めてたから準備期間も十分で、当然、(今の CL の大会形式になってから)史上初の CL 連覇に向けて万全の状態でローマに乗り込んできた、と。

一方のバルサは、リーガ・エスパニョーラとコパ・デル・レイこそ盤石の戦いで優勝したけど、シーズン終盤にきて不安要素が出てきた。まず、守備の要のマルケスの負傷。しかも、両サイドバックのダニエル・アウヴェスとアビダルが出場停止で、イニエスタとアンリも怪我で出場が微妙な状勢と、まさに満身創痍の状態だった。ただ、シーズンを通して披露したサッカー自体は素晴らしく、高い技術をベースに徹底的にパスをつないで相手のディフェンスを崩すサッカーはまさに「これぞバルサ」って感じで、これで結果が伴えばヨハン・クライフ監督の率いた 90 年代はじめのエル・ドリーム・チームの再現と呼びたくなるような内容だった。もちろん、「
結果が伴えば」ってのが CL を穫るってことなんだけど。

CL って、基本的にはホーム & アウェイのガチンコ勝負ってのが醍醐味なんだけど、ファイナルだけは予め決められた場所で一発勝負になるから、当然、どちらのチームも慎重な試合運びになりがちで、実はあまり面白くないことも多い(クォーター・ファイナル〜セミ・ファイナルがいちばん面白い)。どちらかが点を穫ると試合は動くんだけど、それまでは硬い展開になることが多くて。だから、硬い展開の中で、マン U が先制、それこそセット・プレーなんかでソツなく先制でもした日には、フィジカルと勤勉さを前面に押し出してガチッと守ってカウンターみたいな感じのプレーをされるとさすがのバルサもキツイかな、と。バルサはパワー・プレー等の「力技」も得意じゃないだけに。逆に、バルサが早い時間に先制すれば、マン U も攻めに出ざるを得なくなるので、バルサ得意の打ち合いに持ち込めるし、観ていて面白いゲームになるとも言えるわけだけど。まぁ、それでも、試合展開に応じてある程度柔軟に戦い方が変えられるマン U に対して、バルサは良くも悪くもバルサのサッカーしかできないわけで、やっぱり、チームとしての戦い方の幅とかバランスの良さでは、悔しいけどマン U かな、と。

だから、バルサにとって幸いだったのはイニエスタとアンリが間に合ったこと。中盤のセンターに入るイニエスタとチャビがバルサのパス・サッカーの生命線であることは明らかだし、アンリがいないとイニエスタが前線のサイドの仕事をしなくちゃならなくなるんで、チャビの負担が増える。さすがに、ボージャンではまだアンリの代役はちょっと荷が重いし。圧倒的なボール・ポゼションを誇るバルサのパス・サッカーだけど、実はメチャメチャ上手いのはメッシ、アンリ、イニエスタ、チャビだけだと思うので(もちろん、他のメンバーも上手いんだけど、「メチャメチャ上手い」ってほどではないって意味で)。ちょっと難しいボールでも何喰わぬ顔してフツーに処理するし、簡単にボールを取られないから相手を引きつけられるし。だからこそ、パスが澱みなく流れるし、他のメンバーが余裕を持ってプレーできる時間とスペースを与えられる。特に、メッシとアンリが担うのは最後の仕上げなのに対して、中盤のセンターに入る
イニエスタとチャビの役割は試合そのものを組み立てることなので、ここが機能しないと試合にならないって言っても過言じゃないから。

イニエスタとチャビの役割は似てるんだけど、より前への
指向性が強いのがイニエスタの武器。チャビにはミドル・シュート(とフリー・キック)があるのに対して、ペナルティ・エリア周辺(もちろんペナルティ・エリア内も含む)で仕事をするのがイニエスタ。特に走るスピードが速いわけでもない(但し、風間八宏氏の言うところの「技術のスピード」はメチャメチャ速い)し、派手な技があるわけじゃないんだけど、ディフェンダーが触れない場所にボールを置きながら空いてるスペースにスルスルと入ってきてディフェンダーを引きつけるドリブルの効果は抜群で、この試合の前半 10 分の先制点もまさにイニエスタのそういう能力から生まれたゴールだった。あれだけ、ディフェンダーを引きつけて、時間とスペースを与えてもらえればエトォは万全の状態でボールをもらえるし、それを決める能力に関してはエトォはピカイチだし。しかも、試合開始以降はマン U がかなり押してた展開だった(クリスチアーノ・ロナウドのフリー・キックもあったし)だけに、試合の流れをガラッと変えたプレーだったって意味でもまさにビッグ・プレーだった。この試合のバルサのファースト・シュートだったし。今シーズンのイニエスタはシーズンを通じて素晴らしいプレーをしてて、(ルックスを含めたキャラクター的にはたぶんムリだけど)バロン・ドール級の働きをしてきたんだけど、そんなイニエスタの素晴らしさが大一番で見事に発揮された感じ。セミ・ファイナルのゴールも素晴らしかったけど、よりイニエスタらしさが表れたのは、あのゴールよりもむしろこのアシストだった。実際、このゴールの後、マン U に傾いてた流れが一気にバルサに来たし、結果的に(小さな揺れ動きはあったけど)そのままマン U は流れを取り戻せなかったし。

ゴールをキッカケに試合の流れが変わることはサッカーではよくあることだけど、前半 10 分のゴール以降、マン U に一度も流れを渡さなかったバルサのサッカーは見事の一言。やってることは至ってシンプルなのに。ボールを持ったらキチンとつなぐ。ボールを失ったらすぐに切り替えてボールを奪いにいく。そのときにディフェンス・ラインは高く保って、コンパクトはポジションを維持する。ボールを奪ってすぐにゴールに結び付きそうならゴールに向かうし、難しければムリをせずにしっかりつなぎながら、時間とスペースの緩急で崩す。ボールをつないでいるうちは相手に攻められることはないわけで、ボールをつなぐことは攻撃であるとともに、最高の守備でもある、と。言ってみればこれだけ。今シーズンのバルサを観てると、サッカーってなんてシンプルなんだろうって思う。まぁ、こんなこと、どこのチームもやろうとしてることなんだけど、それを今シーズンのマン U 相手にもできちゃうところがバルサのすごさなわけで。

あと、地味に効いてたのが懸案だった両サイドバックに入ったプジョルとシウヴィーニョ。まぁ、プジョルは言わずと知れたカピタン、バルサを象徴するアイコンだし、どこのポジションに入るかはともかく、バルサには欠かせない存在だけど、前半の立ち上がりにあれだけ気持ち良さそうにプレーしてたクリスティアーノ・ロナウドをサイドのエリアで簡単に仕事をさせずに、徐々にイラつかせていったプレーはさすが。同じことはシウヴィーニョにも言えて、特にシウヴィーニョは最近、それほど試合出場がなかったにも関わらず、シッカリとベテランらしい落ち着いたプレーでクリスチアーノ・ロナウドとルーニーを基点にしたカウンターの芽を摘みながら(バルサの場合、リードしていても攻めるので、常にカウンターを受けるリスクがある)、ボールの落ち着きどころとしてのサイド・バックの役割を見事に果たしてて。一番の懸念だったポジションなだけに、影のマン・オブ・ザ・マッチって言いたいくらいの活躍だった。

もっとも、苦しい中での選手起用、特にヤヤ・トゥーレをセンターバックに入れたこととか、ハーフ・タイムでクリスティアーノ・ロナウドへの対応をキチンと修正したグアルディオラの手腕も見事だった。エル・ドリーム・チームの中心メンバーだったとはいえ、バルセロナ B を 1 年率いただけの監督経験で、これだけの結果を出したんだから、まぁ、スゴイなんてモンじゃないんだけど。もっとも、エル・ドリーム・チームを率いたヨハン・クライフ曰く、現役当時からクライフのサッカーをもっとも理解して、まるで監督のような視点でゲームを見て、ピッチ上で監督のような役割を果たしてたらしいから、まぁ、ありえないハナシではないんだろうけど。

結局、マン U に二度と大きな流れを渡さないまま 60 分間試合を支配続けて、チャビの素晴らしいクロスからメッシのレアなヘディングでの追加点を決め、ますます優位に試合を進めたんだけど、これでメッシはバロン・ドールを決定的にしたって言える。CL の最年少得点王だし。正直、この試合に限らず、チャビやイニエスタのように常にゲームに関与してるわけではないし、消えちゃう時間もないわけじゃないんだけど、要所要所ではしっかりと決定的な仕事をして存在感を示すのはさすがだし、こういうゴールを決めちゃうあたりは、やっぱりスターだな、と。「最高の結果」のひとつは、メッシのようなプレーヤーがスターに相応しい仕事をこの大舞台でしたこと。これは、これからの世界のサッカー界にとって素晴らしいことだから。

あと、やっぱり、バルサのようなサッカーが頂点に立ったってことも、サッカー界にとってすごく貴重なこと。昔はワールド・カップだったけど、今、世界のサッカーの最新トレンドを決めてるのは明らかに CL なわけで、ここで優勝するのがバルサかチェルシーかでは、その後のサッカー界に与える影響とかムードが全然違うから。しかも、たまたまそうなったような付け焼き刃的な一過性の方向性じゃなくて、勝ってても、上手くいってなくても貫き通してきた「クラブとしてのポリシー」であればなおさら。そのポリシーってのは、選手・監督としてバルサの黄金時代を築 き、クラブとしてのアイデンティティまで作っちゃったヨハン・クライフが体現した「美しく勝利せよ」なわけだけど、それを貫き通して、全方位的にスキがないように見えた「今シーズンのマン U」に勝てちゃったことの意味は大きい。だって、マン U がまるで別のチームに見えちゃうくらい、「マン U、なんか、ショボくなかったッスか?」なんて声が聞かれるくらい、自分たちのプレーができてなかったわけで、それをさせなかったのが他ならぬバルサのサッカーだったわけで。

今シーズンのバルサのサッカーは、まぁ、 言ってみればアートの域に達してるような素晴らしいサッカーをしてたわけで、結果的に今シーズンのバルサを一番封じ込めたのは CL 準決勝の名将・ヒディンク率いるチェルシーだったわけだけど。正直、チェルシー戦の 2 試合を観た限りでは「やっぱり、これくらいレベルの高い選手たちがハード・ワークして守り倒すと、さすがのバルサでもこじ開けられないんだなぁ」って思ったから(その代償として、攻め手もドログバ以外はほとんどなかったけど)。ちょっと中途半端に色気を出すと、チンチンにされちゃうことはクォーター・ファイナルのバ イエルン戦で証明済みだったし。まぁ、プライドの高い(って言うと、日本語ではちょっとネガティヴな響きがあるから不思議。「誇り高い」ってニュアンスのほうが近いのかな)サー・アレックス・ファーガソンはあえて真っ向勝負をしてきたわけで、それはそれですごく潔いとは思うけど(しかも、最後はなりふり構わず、クリスティアーノ・ロナウドとルーニーとベルバトフとテヴェスを当時に使ったりして)。まぁ、今シーズンのマン U は、いわゆる「モダン・フットボー ル」(日本人はこういう言葉にすごく弱い。ほとんど盲目的なくらいに)としてすごく完成度が高いと思う。技術の高い選手は多いし、フィジカルも強いし、運動量も多いし、選手層も厚いし。実際、だからこそ見事な戦績で決勝まで勝ち上がってきたわけだし。でも、なんか、そんなのクソ喰らえ、そんな理詰めの正論 なんてクソ喰らえって気分もあって。で、それを体現してるのがバルサなわけで。

だって、けっこう理に適ってないところが多いし、バルサって。いわゆる「モダン・フットボール」的に言うと。まず、目につくのがセット・プレーを軽視 してるように思われる点。コーナー・キックとかショート・コーナーばっかりだし(まぁ、ターゲットになりそうな選手も少ないし)、直接ゴールが狙えるフリー・キックもそれほど大事にしてない感じ(外してもあまり悔しくなさそう)。それに、無闇にクロスとかロング・ボールも使わないし(まったく使わないわけではなく「無闇に」使わないっ てこと)。あくまでも、プライオリティは「ボールを持って、ボールを動かして、相手を疲れさせて、つないで、崩して、点を取る」と。まるで、それ以外の方法で点を取ってもイマイチ嬉しくないというか、「粋じゃない」とでも思ってる感じ。「現代サッカーにおけるセット・プレーからの得点率は…」みたいなつまんねぇ正論に対して「だから?」って言ってるかのようなプレーぶり。そこがバルサのバルサたる由縁だし、素晴らしいところなんだけど。理詰めでつまんねぇ正論が蔓延る昨今だからこそ、そういうロジックを超えたところにある「美学」ってすごく大事だし、それを貫いて勝ったことはすごく爽快だな、と。

もちろん、バルサだってディフェンスはするし、実際、今シーズンのバルサのすごさはオフェンスからディフェンスへの切り替え=プレスの速さとディフェンス・ラインの高さだったと思うし。あのアンリもエトォもメッシも切り替えのところではメチャメチャ頑張ってたし、ラインも勇気を持って上げてたし、ちょっとやそっとじゃ安易に下げなかったし。ただ、これって、別に新しいモノでもなんでもなくて、アリゴ・サッキが AC ミランで実践したゾーン・プレスだし。もっと言えば、リヌス・ミケルス〜ヨハン・クライフのトータル・フットボール、これぞまさにトータル・フットボールなんだろうし。日本のサッカー・メディア / ファンは、あれこれ机上の空論的な戦術論・システム論みたいのを繰り広げがちだけど(ほとんどフェチズム)、やっぱり、サッカーなんてそんなに難しく考えたって仕方ないよなって、今年のバルサを観てると痛感する。

あと、サッカー界にとってもうひとつ、すごく重要なこととして、バルサってクラブ自体の特徴もある。「クラブ以上の存在(Més Que Un Club)」と呼ばれ、巨大資本に頼ることなく運営されてるってことはもちろんだけど、それだけじゃなく、カタルーニャのアイデンティティのシンボルでもあるバルサが、カタルーニャ色が著しく濃い今シーズンのチームで勝ったことは、地域に根ざしたクラブ・チーム / サッカーの在り方として、すごく多くのことを示唆してると思うので。何と言っても、監督のグアルディオラからして、かつてヨハン・クライフに率いられた黄金時代=エル・ドリーム・チームを象徴したプレーヤーでカタルーニャ出身・カンテラ(下部組織)育ちだし、カピタンのプジョルもカタルーニャ出身でカンテラ育ち。チャビもそうだし、イニエスタはカタルーニャじゃないけどカンテラ育ち。アルゼンチン人だけどメッシだってカンテラ育ちだし。クライフが率いたエル・ドリーム・チームは多国籍軍だったし、監督のクライフはオランダ人だし、クライフが実践したのもリヌス・ミケルス監督が率いて「時計仕掛けのオレンジ」って言われたクライフを中心としたオランダ代表が披露したトータル・フットボールをルーツにするモノだし。まぁ、オランダってのは世界のサッカー界でブラジルと並んで美しいサッカーをする国なんだけど(特に代表チームのレベルは高い)、バルサもその系譜にあるわけで、エル・ドリーム・チーム以降のバルサでは実際にオランダ人プレーヤーが大切な役割を果たしてた。オランダ人のライカールトが率いて前回の CL 優勝(2005-2006 シーズン)のときは、もちろんチャビやプジョルはいたけど、実質的にはロナウジーニョとデコのチームだった。でも、今はクラブとしてのポリシーは失うことなく、監督まで含めてこれまで以上に「カタルーニャ主義」の純度を高めて、カンテラ出身の選手でそれを実践して、CL を含めて 3 冠を達成したわけだから。もちろん、バルサだってビッグ・ビジネス化した世界のサッカーの流れに完全に逆らえるわけではないけど(実際に、アンリやエトォのような選手ももちろんいるわけで)、チームの芯の部分は損なうどころか強化されてるわけで。これは現在のサッカー界では希有で理想的なカタチだと思うし、こういうカタチで結果を残したことの意義も大きい。バルサにとってだけじゃなく、世界のサッカー界にとって。それに、単純に、スゲェ嬉しいだろうなぁ、って思うし。長い期間観続ければ見続けるほど、思い入れが大きくなるのがサポーターってもんだし。もう、想像しただけでたまらない気分になるし、素直にメチャメチャ羨ましい。

他にも、日本でもっとイニエスタのプレーが注目されて、評価されるようになるといいなって思ってたんで、そういう意味でも「最高の結果」って言える。なんでかっていうと、日本人が見るべきポイントだらけの選手だから、イニエスタって。クリスティアーノ・ロナウドのスピードとか、メッシのドリブルとか、ドログバの身体能力とかは、スーパーすぎてマネのしようがないけど、イニエスタにはそういうスーパーすぎる特徴はないので。身長が大きいわけでもないし、走るスピードがメチャメチャ速いわけでもないし、すごいキックを持ってるわけでもないし、メチャメチャスタミナがあるわけでもないし。でも、あのレベルの中であれだけのプレーができてるんだから。その理由をキチンと考えることは、それこそトップ・レベルの J リーガーからこどもまで、どんなレベルのプレーターにも役に立つし、サッカーを観る上でもすごく勉強になる。ポイントはインテリジェンス、特に個人戦術だと思うけど。だからこそ、イニエスタに注目が集まることは選手のレベルを上げるためにも、サッカー・ファンのリテラシーを高めるためにも、すごくいいことだな、と。

あと、個人的にはアンリが待望のビッグ・イヤーを手にできたことも嬉しかったし。前回、バルサが CL を穫ったときに相手だったアーセナルのエースがアンリだったわけで、そのアンリが熱望してたのがビッグ・イヤーだったので。

CL が最先端且つ最高レベルのサッカーが展開される
世界最高峰の舞台である(少なくとも、現時点では)ことは、もう、疑う余地はないし、世界のサッカー界のその後の動向に与える影響は絶大なだけに、今回、バルサがこういうカタチで優勝したことは、やっぱり、ありきたりだけど、「最高の結果」だったな、と。


"Himne del FC Barcelona"