『ダライ・ラマ、生命と経済を語る』
. :ダライ・ラマ / ファビアン・ウァキ 著
. :中沢 新一 / 鷲尾 翠 訳(角川書店) ★★★☆☆
最近、にわかに(望ましくない感じで)ニュースなどに登場することが増えたダライ・ラマが、ピンクのチェックに青い文字のロゴでお馴染みのフランスの百貨店、タチの 2 代目社長のファビアン・ウァキ氏と対談した一冊。別に昨今の騒動(決して暴動ではない)に影響されて読んだわけじゃないですが、まぁ、こういう機会であっても、あらためてダライ・ラマの考えに触れて、あらためて考えてみることは決して悪いことじゃない。
内容的には、本人が書いたモノではなく、対談であるが故に、日頃あまり語られない性のこととか金銭のことについて、かなり穏やかな口調でラディカルなことを言ってて、とても面白い。ファビアン自身は、まぁ、良心的なヨーロッパの金持ちのインテリだなぁ、って印象だけど、これだけの相手を前にして、真摯に、精一杯、なんとかしていいことを引き出そうと頑張ってる感じは伝わってくる。ビミョーにわかりにくい例えとかを使いがちなところもあるけど、まぁ、インテリ・フランス人だから仕方ない気もする。
前書きで、中沢新一は「認識においては徹底したペシミスト、行動においては途方もないオプティミスト」という思想家のグラムシの言葉を引用してるけど、中沢氏も、これほど大胆かつラディカルなダライ・ラマを見るのは初めて、と言ってるように、印象としてはペシミストというよりもラディカリスト。ラディカルに考えてオプティミスティックに行動する感じはすごくリスペクト。
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