(Apple Inc.) ★★★☆☆
6 月 18 日にリリースされた iPhone 用の OS のヴァージョン 3.0。リリース日にインストールしてちょうど 1 ヶ月使ってみたことになるので、レヴューしてみようかな、と。
まぁ、正直なところ、純粋に「レヴュー」として考えると、実はあまり意味がない気もするんだけど。っていうのは、「レヴュー」って、興味を持ってる人が購入するかどうかを決める上で参考になることとか、知らなかった人の興味を喚起することが主なファンクションだと思うけど、iPhone を持ってて(使ってて)未だに OS 3.0 にアップデートしてない人がいるとは思えないし、iPhone を持ってない人が OS のハナシにそれほど興味を持つことも考えにくいし。でも、まぁ、このブログはレヴューであると同時に、個人的に備忘も兼ねてるんで、まぁ、いいかな、と。
今回のアップデートは 3 月 19 日のスニーク・ピーク・イベントで発表されたもので、実際の内容はアップルのサイトにまとめられてる通り。まぁ、それぞれひとつひとつ触れても意味がないんで、個人的に引っかかったポイントを。
・MMS:
個人的に一番恩恵を享受してる(そう。「カット & コピー & ペースト」より!)機能。MMS ってのは 'multimedia messaging service' の略で、これまで搭載されてた SMS(short messaging service)の機能拡張版的なモノ。SMS がテキストなのに対して、MMS は名前の通り画像 / ムービー / オーディオ・ファイルやURL、コンタクト等も送れる、と。・「カット & コピー & ペースト」:
SMS / MMS 自体、海外ではけっこう前からわりと使われてるけど、日本ではイマイチな地味が薄いのか、ちょっと説明しても理解してもらえながちだったりするけど(別に iPhone じゃなくても使える機種はあるんだけど)、使用感的には iChat(もちろん、他のチャットでもいいんだけど、使ったことがないんで)と同じようなモノ。それが出先でできるだけなんだけど、これがなかなか便利で。まぁ、位置付け的には「電話 < SMS / MMS < メール」みたいな感じかな。電話ほどダイレクトじゃないけど、メールより手軽でダイレクト。例えば、待ち合わせに遅れるときとかに「ゴメン。遅れてる」とか「今、どこ?」みたいな感じで使いがちなんだけど、待ち合わせに遅れてるってことは移動中なわけで(自分にしても相手にしても)、電話は出にくいことのほうが多い(電車にしても車にしてもチャリにしても)から、すごくちょうどよかったりする。 MMS になったことで、写真とか URL をコピペして(そう、コピペして!)送れるようになった、と。
それはそれで便利なんだけど、個人的にはロケーション・データが送れるようになったことが大きかったりする。つまり、デフォルトで搭載されてる「マップ」アプリケーション(=Google Maps)のデータ(現在位置の情報も含む)を送れる、と。これは、実は、個人的にずっと欲しいと思ってた機能(もしくは、作ったほうがいいんじゃないかと思ってたアプリケーション)だったので。そのアプリケーションは仮の名前で「I'm here.」って呼んでたんだけど、ようするに自分の現在位置をパッと人に教えられるアプリケーション。
自分はわりと大丈夫なんだけど、世の中には地図を読むことと自分の現在位置を言葉で人に説明することが苦手な人ってのがいるわけで(別に非難してるわけじゃない。単に得手・不得手のハナシだと思うので)、そういう人と待ち合わせるときに便利だな、と。つまり、例えば新宿で待ち合わせたときに、電話で「新宿に着いた? 今、オレは●●にいるんだけど、来れる?」「●●ってどこ?」「じゃあ、いいや。そっちに行くよ。今、どこにいるの?」「えっと…、ここは…、△▲△▲…」「全然わかんないんだけど…」みたいなことって案外あるから。そういうときに簡単に現在位置のデータを送れて、受け取った相手に SMS くらいな感じでダイレクトに伝えられるといいな、と。
まぁ、同じようなことを思いついてる人はもちろん世界中にいたらしく、機能的にはこういうことができるアプリケーションはあったんだけど。でも、「機能的には」で。これのポイントは SMS くらいダイレクトに情報が送れる / 届くことだと思うんだけど、それまでにあったアプリケーションはメールで送るとか、ちょっと操作的に煩わしくて。でも、今回搭載された MMS なら「マップ」アプリケーションからダイレクトに送れるんで、問題は見事に解決された、と。まぁ、現在地の検出とか、もうちょっと速いといいけどね。
たぶん、巷では「待望の」新機能だと思われる「カット & コピー & ペースト」だけど、個人的には、それほど大騒ぎする感じじゃなかったりして。ないときもそれほど困ってなかったし、付いてからもそれほど使ってるわけじゃなかったりして。まぁ、もちろん、まったく使わないってわけじゃないから付いてよかったことは確かなんだけど。・ランドスケープ・モード:
ただ、「カット & コピー & ペースト」のさせ方は素晴らしい。すごく考えられてるし、使いやすいし。すごくアップルらしくていいな、と。たぶん、カット & コピー & ペーストなんて、技術的には全然難しくはなかったんだけど、あえて最初に搭載しなかったのは「iPhone らしいカット & コピー & ペースト」じゃなきゃイヤだったからだと思うし。煩雑な操作をユーザーに強いれば技術的には可能でも、「iPhone らしいステキなカット & コピー & ペースト」じゃない、中途半端な機能なら要らん、と。こういう割り切りって案外難しいし、すごくアップルらしいし。実は、未だに未搭載の FLASH に関しても同じようなことなんじゃないかと推測してるんだけど。
サイトには「横向きキーボード」って書いてあるけど、実際には、別にキーボードだけじゃなくて、多くのアプリケーションで、横に向けると画面が横向きになる「ランドスケープ・モード」が搭載された、と。iPhone 3G 自体のレヴューでも書いたように、iPhone の大きな特徴のひとつが「優れたビューワであること」だと思うので、その強味をより活かすって意味では、すごく自然だし、すごくナイスな機能追加って言える。・「iPhone を探す」「リモートワイプ」:
まぁ、幸運にもまだお世話にはなってないけど、MobileMe ユーザー限定の機能で追加されたのが「iPhone を探す」と「リモートワイプ」。まぁ、これはすごく真っ当で、でもけっこう大事な機能かな、と。ここまでは、特に良くなった点を挙げてみたんだけど、もちろん、良くない点というか、ビミョーな点とか手が付けられてない点もある。
「iPhone を探す」はその名の通り、iPhone を紛失したときに助かる機能で、MobileMe のサイトにブラウザからログインすると、ウェブ上の地図に自分の iPhone がある場所が表示されて、さらに自分の iPhone の音を鳴らしたり、メッセージを表示したりできる機能。前者は自宅でなくしたときとかにも使えて、後者は拾ってくれた人向けのメッセージを表示できる、と。地図は「おおまかな」って感じだけど、それだけでも自分が行った場所、なくした可能性がある場所を特定できるんで、十分便利。
「リモートワイプ」は、同じく MobileMe のサイトにブラウザからログインして、iPhone のデータをすべて消去できる機能。「リモートワイプ」のキモは、データを消せるだけじゃなくて、端末を見つめ(取り戻し)たり、買い替えたりしても iTunes で一回同期すればバックアップ・ファイルから簡単に復元できること。
どちらも、今まで(というか通常のケータイ)ならすごく煩わしい作業を強いられるところを、すごく簡単に、自分で、いつでも(夜中でも!)できちゃうってことのメリットはすごく大きい。もちろん、アップル(及びソフトバンク)的にも面倒な作業が減って楽になるって側面はあるだろうけど、ユーザーにとっても大きなメリットなんで、そういう楽はドンドンして頂けばいいんじゃないかな、と。
・メモのシンク:
あんまり気にしてた人はいないっぽいんだけど、これまでは iPhone 上の「メモ」のデータが同期されなくてすごく不満だった。だって、iPhone の「メモ」を見ながらパソコンで打ち直してるとか、メチャメチャナンセンスだから。実は、それが不満で「メモ」はまったく使ってなかったくらい。代わりに使ってたのが、「メール」の下書きフォルダにメモ用のメールを一通用意しといて、そこをメモ代わりに使うって方法。これは MobileMe のメールじゃないとできないのかもしれないけど、クラウド経由で常に同期してくれるんで、すごく便利。例えば、探してる本とか CD のリストとか、入力・編集するのはパソコンで、確認するのは iPhone みたいな使い方。Google Doc とか使ってもいいんだけど、圏外でも大丈夫だし、動作の速さを考えてもローカルにデータがある「メール」のほうがベターかな、と。・日本語入力操作の取り消し:
今回のアップデートで「メモ」のデータが同期されるようにはなったんだけど、これがまた、イマイチな出来映えで。だって、同期が iTunes 経由のみだから。人によって使い方はそれぞれなんだろうけど、個人的には、めったに iPhone をパソコンに接続してなかったりするんで。MacBook Pro ユーザーだからってこともあるのかもしれないけど、限られた USB ポートを常に iPhone のために使うってあまり便利じゃなくて(Time Machine 用も含めて外付け HD を複数つながなきゃならないことがすごく多いんで)。実際、オーディ / ビデオのデータ以外のデータで USB を使って有線で移動させなきゃならないようなデータってないと思うし、それほど重くないデータを同期させるのに iTunes / USB 経由が必須ってのはちょっとナンセンスかな、と。
そんなわけで、メモはいまだに「メール」を使ってたりするんで、「メモ」の同期に関してはちょっと不満かな、と。ちなみに、同期された「メモ」は「メール」内に「備忘録」の中に保存されてるんだけど、これもわかりにくいし。
これまた気にしてる人はほとんどいないっぽいし、サイトとかでも触れられてないっぽいけど、個人的にちょっと引っかかってることで。それは、日本語の入力操作の取り消しの所作がこっそり変わってたこと。あ、これはフル・キーボードでのハナシ。テンキー型キーボード(っていうのか?)はまったく使ってないんで。例えば、「こんな」って入力するとき、「konnna」って打つわけだけど、間違えて「ki」って打っちゃうことがある(「o」と「i」は隣りなんで。特に片手で操作してるときとか)。当然、「き」って表示されちゃうんで変換前に「戻る」で戻ってやり直すんだけど、前のヴァージョンのときは一回「戻る」と「k」って状態に戻った(「i」だけ消去した)んだけど、新しいヴァージョンでは「き」ごと消しちゃう。まぁ、マックと同じなんだけど。でも、前のヴァージョンの所作が個人的には便利だと思ってて、けっこう気に入ってたんで、ちょっと残念かな、と。まぁ、もう馴れたし、たいしたことじゃないけど。・インターネット・テザリング:
まぁ、不満点って言えば最大の不満点はインターネット・テザリングの未対応に尽きるかな、と。これはアップルじゃなくてソフトバンクの問題だけど。いろいろ言われがちだけど、個人的にはソフトバンクにはそれほどイヤな印象は抱いてなかったんだけど、こればっかりはただただガッカリ。OS 3.0 の目玉機能のひとつだと思うし、未対応な理由とか、今後の展望とかも公表されてないっぽいし。どーにかしろよ、と。まぁ、個人的にはこんなところかなぁ(また、思いついたり思い出したりしたら追加するかもしれないけど)。「Spotlight 検索」とか、今のところ実際にはほとんど使ってないし、「ボイスメモ」もそれほど使う機会がないし、マイクロソフトの Exchange も使ってないし、「YouTube へログイン」も、YouTube 自体を iPhone で観ることがあまりないからそれほど恩恵を享受してないし。「シェイクでシャッフル」とかシェイクでアンドゥとかも使ってないなぁ。面白いからいいけど。まぁ、もちろん、あること自体はいいことなんだけど、レヴューできるほど使ってはいないな、と。あと、Google Maps のログ・インの問題(マイ・マップを使いたい)とか、どうにかして欲しいけど。
ちなみに、「Wi-Fi へ自動ログイン」も未対応らしいけど、これはよくわからん。Wi-Fi は基本的には常にオフにしちゃってるから。Wi-Fiじゃなきゃできなくて、頻繁にやることなんてほとんどないし。
まぁ、内容は スニーク・ピーク・イベントと WWDC でのキーノート・アドレスとダブってはいるんだけど、そこで観てた(聞いてた)内容を実際に使ってみて、感じたのは以上のような印象。いい点に関しては概ね観てた(聞いてた)通りって感じかな(細かい部分は多少あるけど)。こう書くと、あんまり満足してないっぽく感じるかもしれないけど、期待してた通りってことなわけで、これってスゴイことだと思う。あと、ここが iPhone の最大のストロング・ポイントであり、魅力だと思うけど、ソフトウェアがアップデートされて機能が追加されたり改善されたりすること自体、素晴らしいことだから。これは、つい忘れられがちだけど、すごく大事なポイント。これだけでも、もう、今さらケータイになんて戻れない。
あとは、 スニーク・ピーク・イベントのレヴューと WWDC でのキーノート・アドレスのレヴューで書いてたような、OS 3.0 の SDK の特性(例えば、Bluetooth とかプッシュとか)を活かしたアプリケーションとかアクセサリーとかがもっと出てくれば、この OS 3.0 の本領がもっと発揮されるかな。そういう意味では、1 ヶ月くらいじゃ、まだまだポテンシャルが活かされ切ってはないってことなのかもしれない。
ちなみに、★ はホントは 4 つでいいんだけど 3 つなのはインターネット・テザリングの未対応だから。しつこいようだけど、これだけはどーにかして欲しい。ホントに。
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