『チェ・ゲバラ ― リウスの現代思想学校』
. :リウス 著
. :西沢 茂子 / 山崎 満喜子 訳 (晶文社) ★★★★☆
著者のリウス(本名エドワルド・リウス)はメキシコの国民的な風刺漫画家。シニカルで愛嬌のある独特の作風がとても味がある。このチェに関する作品以外にも、マルクス、毛沢東、パレスチナ、フェミニズム等、さまざまな思想や社会問題について、自身の考えを率直に且つユーモラスに表現してて、中途半端にお茶を濁すような小賢しさが一切なくて潔い。
メキシコと言えば、バチスタにキューバを追放されたカストロが革命の準備を進め、チェと出会った運命の地。アメリカと国境を接していながら、そういう人間が集まり、活動が可能だったっていう素地がある地だったということだし、革命後にはキューバに招かれてチェと親交を持ち、死のときまでサポートし続けたリウスは彼らの革命に対してどういう想いを持っていたかを想像するのは難しくない。
内容は、生い立ちから死までの彼の人生と活動、そして思想を彼独特のユーモアを交えながら、わかりやすくまとめられていて、入門編としてもとてもいいし、こういうカタチでこういうテーマを、自らの思想を率直に表現できるアーティストがいて、しかもマスな存在であるという辺りは、過小評価されがちだけど忘れちゃいけないラテン・アメリカの懐の深さだなぁ、とも思う。
ちなみに、原題は "ABChe"。このセンス、素晴らしい。抜群。サイコー。なんで邦題に反映させなかったのか、スゲェナゾ。
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