『百年の愚行 ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY』
(Think the Earth Project) ★★★★☆ Links: Amazon.co.jp / Rakuten Books
100 枚の写真で、過去 100 年の人間の活動を振り返る、とてもシンプルな Think the Earth Project による写真集。まぁ、内容はタイトルの通り、とても強烈。いわゆる環境破壊のだけではなく、戦争や難民といった問題(これも広い意味では環境問題だけど)まで含めて、直視に耐えないくらい痛い現実を、1 枚のシンプルな写真がとても雄弁に語ってる。
思うところはたくさんあるけど、一番感じるのは「とても傲慢でアンバランスだ」ってこと。人間ってヤツは。傲慢で、バランス感覚が欠如してる。環境問題ってのは「地球に優しく」なんて上から目線で語ることじゃないのに。地球にとっては人間ごときに優しくされようがどーでもいいハナシで、自分勝手なことやってる人間って種がいなくなったって地球自体には何の関係もない、つまり、環境問題っつうのは、あくまでも人間って種が地球(=ガイアという生命体)の一部として生き残っていくためにはもっと利口で謙虚にならなきゃならない、っていう自己生存=サバイバルのハナシでしかないのに。そのことに気付けなかった結果が、ここに 100 枚の写真で紹介されてるようなバランスのとれてない状態を生んだんだし。まさに「愚行」。まぁ、残念ながらその傾向は全然変化してないみたいだけど。
それにしても、この本のデザインは秀逸。ある問題を提起して、メッセージを伝えるっていう目的を果たすための素晴らしいデザイン。もちろん、ここでいうデザインって意味は、単に装丁や見てくれだけのことじゃなくて、企画・編集も含んだレベルでのハナシ。余計なことを説明しなくても、パラパラとページをめくっているだけで、(よっぽど想像力が欠如してない限り)イヤでもメッセージが伝わってくるし、シンプルで硬派なデザイン・ディレクションも効果的だし、何より、ハードな内容であるにもかかわらず本(写真集)としてとても美しい。何かと軽くてポップな感じに仕上げたり、必要以上に刺激的に煽ったりしていないところがとても好感持てる。賞を必要以上にありがたがるつもりはないけど、2002 年の東京 ADC 賞と 2003 年のニュー・ヨーク ADC 賞を受賞してるってハナシも納得の出来映え。
ここで紹介してるのは普及版なんで ★ は 4 つなんだけど、豪華な装丁のオリジナル複写版も発売されてて(今では入手困難だけど)、オリジナル複写版なら ★ は 5 つで。
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