『ブログ 世界を変える個人メディア』
. :ダン・ギルモア 著
. :平 和博 訳(朝日新聞社) ★★★★☆
だいぶ前に買って、ちょこちょことつまみ読みはしてたんだけど、あらためて通して読みました。アメリカのジャーナリストによる、メディア / ジャーナリズムとしてのインターネットとブログの可能性と危険性の両面について、インターネットとブログに対してポジティヴな姿勢で記したもの。原書の出版元は、今ではすっかり懐かしい言葉になった 'Web 2.0' という言葉の生みの親、ティム・オライリーのオライリー・メディア(O'Reilly Media)。クオリティの高い書籍で知られる会社だけあって、なかなか読み応えのある内容でした。
ただ、オライリー・ジャパンは技術系の書籍をメインにしてるのか、読み物系の本書の日本語版は朝日新聞社からの発売。"We the Media" という原題も微妙なタイトルに変えられてて、ニュアンスが台無しにされてたり、2005 年 8 月の発売(原書の出版は 2004 年)という時期もあってか、帯にホリエモンの顔写真と推薦表記があったりして(画像は帯のないモノを使いました)、これまた微妙な装丁デザインも含めて(原書の装丁が決してカッコいいわけではないけど)、書店で目にしても手に取る気が失せること甚だしい、そういう意味ではとても不幸な一冊です。
原書のタイトルになっている "We the Media" ってタイトルは、アメリカ合衆国憲法前文の書き出しの部分、'We the people'(我々人民は)から取られているようだけど、名は体を表すという言葉があるように、根底にあるのは「誰もがジャーナリストになれる」インターネットとブログの時代のジャーナリズムの在り方を、とても注意深く、でも、すごくポジティヴに捉えるという、ある意味とてもリベラルなアメリカ人インテリらしい姿勢。日本でインターネットに触れているとなかなか感じられない、すごくポジティヴで建設的にインターネットとブログを捉えてて、なんか、ちょっと、読んでて元気が出ました(本当はそういう類いの本ではないとは思いますが)。インターネットの世界ってすごく混沌としてて、ある意味アナーキー(だからこそ、面白かったりもする)で、その社会の実情を(面識がなかったり、匿名だったりするが故に実社会以上に)如実に(赤裸々に)映し出す鏡のようなモノだと思うんだけど、全てに諸手を挙げて賛成なわけではないものの、こういう本が出ること自体、アメリカという社会の良い面の表れだと思うし、その本をこのタイトルで、帯に変な写真を載せて、この装丁で出してしまうのが日本の大手新聞社というのも、また、日本の社会の表れなのかな、と。悲しいかな。
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