2009/02/24

Sound souvenirs from Brasil.

"Gilles Peterson in Brazil" (Ether)  Link(s): Amazon.co.jp
"Gilles Peterson Back in Brazil" (Ether)  Link(s): Amazon.co.jp


前のエントリーでレビューした "Black Rio" と同様に、ブラジル音楽を掘る上でいいガイドになるコンピレーション。選曲を手掛けてるのはお馴染みジャイルス・ピーターソン(そういえば、最近では「トーキング・ラウドの」って言っても通じないことが増えたなぁ。BBC Radio 1 とか、ブラウンズウッドとかのほうが馴染みがあるのかな。っつうか、DJ としても十分お馴染みだけど)。やっぱり、イギリス人はこういうのが得意らしい(特にジャイルスはその中でも屈指のコンパイラーのひとりなのは言うまでもない)。見ての通りシリーズモノなんでまとめてレビューを。それぞれ 2 枚組で、1 作目が 2004 年、2 作目が 2006 年のリリース。

ジャイルスの偉いところというか、このコンピレーションの素晴らしいところは、過去だけじゃなくて現在のブラジルのシーンにも目を向けてるところ。2 枚組のディスクはそれぞれ 'Clássico' と 'Da Hora' って名付けられてて、1 枚目はブラジル音楽のクラシックを、2 枚目は今のシーンを代表するトラックがセレクトされてる。

1 作目の 'Clássico' 盤には、映画『シティ・オブ・ゴッド』のサウンドトラック(映画もサウンドトラックも素晴らしい)でもお馴染みのティム・マイアの "No Caminho Do Bem" やウィルソン・シモナルの "Nem Vem que Não Tem"、セルジオ・メンデス & ブラジル '77 などのクラシック・トラックが、'Da Hora' 盤にはパトリシア・マークス & 4 ヒーローや DJ マーキー & XRS フィーチャリング・ヴィクター・デュプレ等が収録されて聴き応え十分な仕上がり。2 作目も基本的には同じ方向性なんだけど、ややコンセプトを拡大解釈して(?)、'Da Hora' 盤にはバグズ・イン・ジ・アティックやジェイ・ディー名義のブラジリアン・フレイヴァーなトラックなんかも入ってる。もちろん出来は悪くないんだけど、最初に聴いた時のインパクトとかまで含めると、どっちかっていうと 1 作目に分がある感じはする。もちろん、2 作目も聴いて損するような内容じゃ全然ないけど。

まぁ、もともとジャイルスはアシッド・ジャズ〜レア・グルーヴの萌芽期からブラジル音楽には造詣が深かったんで、当然って言えば当然だけど、やっぱり、こういう仕事をさせるとセンスは抜群。コンセプトというか、シーンの捉え方みたいなモノが、日本のいわゆる「ラテン音楽好き」が持ちがちなの閉鎖的で理屈っぽくて内向きな(印象を受ける)コンテクストとは一線を画す、すごくフラットでニュートラルでイーヴンな関係で、新旧のジャンルを超えたいろいろなブラジル音楽とつきあってるような感覚がすごくシックリくる(ブラジル音楽は好きなんだけど、日本のいわゆる「ブラジル音楽好き」のコンテクストにはイマイチ馴染めないんで)。

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