2009/05/01

Surf your soul.

Coyote No.36 特集 海は学校 いまだ知られざる水の島、ハワイへ

(スイッチ・パブリッシング

これまでにも何度か取り上げてる『coyote』誌の最新号の特集は「海は学校」。
サーフィンを軸にした内容で、表紙にジェリー・ロペス、イヴォン・シュイナード、ナイノア・トンプソンなんて名前を並べられたら思わず、やっぱり手に取っちゃう。

特集のサブ・タイトルが「いまだ知られざる水の島、ハワイへ」ってなってる通り、特集のメインはハワイ。前半は、前に
レビューした★!!ホクレア 星が教えてくれる道』の著者、内野加奈子さんが取材するは、写真取るは、原稿書くは、さらには「クムリポ」というハワイに伝わる創世詞の翻訳もするはの大活躍。とてもいい仕事をしてて、素晴らしい内容。ハワイでも海を知らずに育つこどもが増えてて、そういうこどもたちに海について、ハワイについて教えるアフター・スクールのハナシも面白いし。実務的なことだけ教えてるわけじゃないのがポイントかな、と。ナイノアの記事は、内野さん自身もクルーであるホクレア号の次の計画について。3 年かけて世界・57000km を巡る航海を予定してるんだとか。なんとも壮大な計画。また日本にも来るのかな?

「学ぶ海、悟る海(Wisdom in the the waves)」ってタイトルの記事は、
前にレビューした(★!!ジェリー・ロペスサーフリアライゼーション』の訳者、岡崎友子さんによるもので、ジェリー・ロペスとイヴォン・シュイナードはここに登場する。メインはパタゴニアのサーフィン・アンバサダーでもあるクリスキースダンのマロイ兄弟。「プロサーフィンの世界に、コンペティション以外のサーフスタイルを確立させた」世代のサーファーということなんだけど、こういう感じは、サーフィンに限らずすごく興味があるというか、気になってたところだったりするんで、興味深く読めたというか、いろいろ考えさせられちゃった。サッカーにしても音楽にしても仕事にしても、なんか似たようなところがあると思うし、なんとなくモヤモヤだけど、そんなようなことを感じてる(考えてる)んで。知らなかった言葉なんで正確な定義はよくわかってないけど、「ソウル・サーフィン」ってすごくいい言葉だなぁ、なんて思ったり。写真も素晴らしいなぁ。ジェリー・ロペスサーフリアライゼーション』で述べられてたようなライフスタイルを具現化するためのプロジェクト、サーフリアライゼーション・フェローシップについてで、これもなかなか興味深い(あと、関係ないけど、ジェリーがヨガをしてる写真を使ってるパタゴニアの広告もカッコイイ)。他にも、医師のドリアン・パスコウィッツ(オフィシャル・サイトの URL が www.alohadoc.com。いい URL だなぁ)の言う、ホントの意味での 'recreation' のハナシとか、なかなかいい感じの記事と写真で、読み応え(見応え)があるというか、味わい深いなぁ、と。

あと、ハワイのモロカイ島のハナシがすごくいいなぁ。全然知らなかったんだけど。岩根愛さんの写真が素晴らしい。
名前はいろいろ見るけど、実はあまりキチンと知らなかった、というか、ちょこちょこ見たことのある写真はそんなに好みじゃなかった印象だったんだけど。あと、モロカイの記事の中に出てくる「サブシステンス(subsistence)」って考え方も面白いし。ここはもうちょっと掘ってみたい感じ。サブシステンスにしても、モロカイにしても。

他にも、『野性の呼び声』や『白牙』などで知られる作家、ジャック・ロンドンが 1911 年に発表し、アメリカにサーフィンを伝えたと言われる "The Cruise of the Snark" の一部の抜粋・抄訳も掲載されてて、なかなか読み応えがある。あと、2006 年 1 月に葉山の海に逝った佐久間洋之助の記事もすごく感慨深い。横須賀生まれなので、場所の雰囲気はイメージしやすいんで。個人的には決して「海育ち」ってイメージなわけではないと思うけど、やっぱり、海までチャリで 10 分くらいのところで育ったわけで、やっぱり地元をイメージするときに海はいつも出て来がちだったりはするんで、そういう意味でも、どの記事もいろいろとインスピレーションに富んだ内容で、なんというか、ゴールデン・ウィークの天気のいい昼間に、公園とかで読んじゃうにはもってこいな感じ。ただ、ノンビリしたり癒されたりするだけじゃなく、同時に考えさせられるところがすごくいい(ただの癒し、しかもホントに癒されてるのかもアヤシイ、「エセ癒し」みたいに見えるモノがやたらともてはやされてるように感じることがすごく多い昨今なだけに)。BGM はやっぱベタにジャック・ジョンソンとかで。まぁ、実はあまりゴールデン・ウィークとか関係ないんだけど。でも、混んでるところにわざわざ出掛けたりするより、公園とかでダラダラするほうがいいんじゃね? なんて。


JACK JOHNSON "Hope" (From "Sleep Through the Static")












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