あらためて想いを馳せてみると、マイケル・ジャクソンに対して、個人的に特別な思い入れはほとんどないってことに気が付いた。
世の中的には「キング・オブ・ポップ」なんだろうし、いろいろなスキャンダルでもメディア賑わせてきたから、すごくポップな存在みたいで、そういうカタチの報道が続いてるけど、そういう報道を見れば見るほど違和感を感じたりして。
個人的には、やっぱりマイケル・ジャクソンってミュージシャン、もっというとソウル / R&B のシンガー・ソングライター以外の何者でもなくて、それは、すなわちジャクソン 5 〜ソロ初期ってこと。あらためてディスコグラフィを見返してみると、わりと熱心に聴いたのは "Off the Wall" 以前だったりする。
もちろん、クインシー・ジョーンズ・プロデュースの "Off the Wall" はキャリアを代表する名盤だと思うし、ソウル / R&B のシンガーからポップ・ミュージックのアイコンになったって意味でも、モータウンのヒット量産システムの中で活躍するモータウン・アーティストから、ひとりの自立したアーティストになったって意味でもターニング・ポイントになったアルバムであることは確か。実際、"Rock With You" とか好きだし。でも、それほど熱心に聴いたかっていうと、そういう記憶はなくて。まぁ、個人的にクインシー・ジョーンズのスキがなさ過ぎるプロダクションが得意じゃないってのもあるし、あの時代特有のサウンドがそれほど得意じゃないってのもあるんだけど。
その後の "Thriller" とかになると、もちろん、"Thriller" も "Billie Jean" も "Beat It" もフツーに聴いてはいたけど、別に好きだったかっていうとそんなこともないし、むしろ、ちょっとカッコ悪いって思ってたし。まぁ、これは個人的なタイミング的なことが原因だったりするんだけど。"Thriller" がリリースされた 1982 年ってのは 10 歳の時なんだけど、まぁ、フツーに学校の廊下でムーンウォークのマネとかしてたってレベルでは話題になってたけど、キチンと音楽をマトモに聴くようになるにはもう 3 〜 4 年必要になるわけで。つまり、リアルタイムでマトモにマイケルの音楽を聴くようになったのは 1987 年リリースの "Bad" 以降ってことになるんだけど、その時期にリアルタイムの音楽で熱心に聴いてたのは主にイギリスのロック、つまりパンク〜ニュー・ウェーヴだったりするんで、モッズ〜ネオ・モッズのルーツとしてモータウンは後追いで聴いてたりはしたけど、同じ時期のアメリカのブラック・ミュージック、つまりディスコ〜ブラック・コンテンポラリー的なサウンドはもっとも毛嫌いすべきモノだったし、MTV に代表されるアメリカのメインストリーム・ポップ・ミュージックみたいのも忌み嫌ってたりしたんで。だから "Bad" 以降のマイケルなんてまったく興味がなかったし、もちろんイヤでも耳には入ってきたけど、その印象はその後も基本的には変わってない。あの時期に、MTV 的なメインストリーム・ポップ・ミュージックみたいのにハマってたら印象は違ってたんだろうけど、幸か不幸かそうはならなかったんで。
だから、"Off the Wall" も後追いで聴いてて、まぁ、キライではないもののそれほどハマったわけじゃなくて、やっぱり個人的にはジャクソン 5 〜 "Off the Wall" 以前の「瑞々しく、溌剌とした歌声のモータウン・アーティスト / シンガー」としてのマイケル、具体的には "Got to Be There" とか、その辺りが一番好きってことになるんだけど、じゃあ、どのアルバムだって言われると、実はあまりないというか、典型的なモータウンのアルバムって、アルバムとしてシッカリ作り込むような感じもなかったし、フツーにベスト盤的なコンピレーションで十分だったりして、実は "Free Soul: Jackson 5" とかが一番好きだったりして。やっぱりキチンとツボを押さえてて。
まぁ、ポップ / ショウビズ・アイコンとしてのマイケルには興味がないんで、スキャンダルのこととかはどうでもいいんだけど、やっぱりシンガーとしては抜群だし特別。ラヴリィすぎるこどもの頃ももちろんそうだけど、ちょっと大人になってきた時期の、少年と大人の境目のすごく微妙な時期にしか出せないような切なさを感じさせるヴォーカルもスゴイ味があって。今、あらためて聴き直してみると、幼い頃のほうが年齢なりのソウルフルさが感じられて、キャリアを経るごとにどんどんソウル・シンガーではない「何か」になっていったんだなぁ、なんて思ったり。
享年 50 歳。キャリアのスタートが異常に早いから、ちょっと変な感じがするけどまだ 50 歳だったんだなぁ。っていうか、大人になって以降のマイケルはどんな手段を使っても、それこそ機械の身体を手に入れてでもずっと生きてるようなイメージすらあったんで、ある意味ですごく人間臭い「死」ってイメージとなかなか結び付かなくて、今でも、なんか、リアリティが感じられなかったりするんだけど。 ー R. I. P.
"Michael Jackson: The Soulful Years" (Mixed by DJ JAYCEE From Mic Check)
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