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ブダモンク(BUDAMUNK)とマバヌア(MABANUA)のコンビによるユニット、グリーン・バター(GREEN BUTTER)が 2011 年 12 月にリリースしたファースト・アルバム。ユニット自体は別にパーマネントなモノではなくて、ある種の単発企画的な感じなのかな?
プロダクション面の特徴としては、サンプリングをメインに作られたブダモンクのトラックとマバヌアの生楽器の演奏がオーガニックに融合してる点で、全 13 曲のうち、女性ヴォーカルが 2 曲(と言っても、そのうち 1 曲はコーラス的に 薄く入ってる程度だけど)とラップが 1曲フィーチャーされてる以外はすべてインストゥルメンタル・トラックとして仕上げられてる。
前評判では「メロウでリラックスした」的な感じのことを聞いてたんだけど、実際に聴いた印象としては「メロウでリラックス」ではあるんだけど、決してヌルくなくて、むしろ選りすぐられた最小限のサウンドで作られたミニマルなインストゥルメンタル・ヒップ・ホップって印象。決して派手ではないんだけど、聴けば聴くほどジワジワと効いてくるグルーヴ感がなかなかアディクティヴで、けっこういろんなシチュエーションとか気分にもフィットするんで、気が付くと何度も繰り返し聴いちゃってる。
下のプレーヤーで約 6 分間のアルバムのティザーを聴ける。
Green Butter "Get Mad Relax" teaser mix by jazzysport
聴いての通り、かなり地味と言っても差し支えないサウンドではある。でも、それが個人的には絶妙にツボだったりもする。紛うことなきヒップ・ホップ・トラックでありながら同時にすごく音楽的で洗練されてて、ミニマルでありながら同時にすごくファット且つファンキーで、でも、そこには熱くなりすぎない心地いいクールさも共存してて。個人的には派手に装飾されたようなサウンドとか勢いで押し切る(ごまかす?)ような BPM の速いトラックよりも、必要最低限の研ぎ澄まされたサウンドでなければ生み出せない '間' の醸し出すグルーヴ感みたいなモノがメチャメチャ好みで、特にインストゥルメンタルが好物なんだけど(中途半端なラッパーやシンガーなら要らないって意味でもあるし、そもそもインストゥルメンタルとして成立しているモノが好きだったりもする)、まさにそんな感じのサウンドで、無駄を極限まで削ぎ落とした、ボクサーとかランナーの鍛え上げられた身体のような、そんな力強さが感じられる。
あと、個人的に大事なポイントとして、洗練されてるんで一聴すると耳馴染みがすごくいいんだけど、決してそれだけじゃないって点がある。すごく音楽的で洗練されたサウンドではあるんだけど、同時にメチャメチャファットで、巷にたくさんあるヌルいだけのモノとは大きく一線を画してて。闇雲に音数を増やしたり、サウンド・プロダクションやミックスのレベルで極端な音作りをすることでヌルさを回避するってのはわりと王道なやり方だけど、限られた音数のシンプルなプロダクションでファットなサウンドに仕上げてる点は本当に見事で、普通に耳馴染みのいい BGM としても機能しつつ、同時に聴けば聴くほど刺激的でもあったりして。
個人的には、ディアンジェロ(D'ANGELO)、特に "Untitled (How Does It Feel)"(Link: YouTube)辺りがその系統の最高峰で、他にも、ジャンルは違うけど砂原良徳の "Lovebeat" とか、4HERO(4 ヒーロー)の "Creating Patterns" の日本盤(Link: Amzn)のボーナス・トラックの "B-Side Track"(たぶん他の形態ではリリースされてない)なんかがそのタイプの傑作だと思ってるんだけど、その辺の音にちょっと近い印象かな(さすがに "Untitled" 並みってのはちょっと褒め過ぎだけど)。
それこそ、砂原良徳の "Lovebeat" を聴いたときから「こういう感じで 1 枚聴き通せるようなヒップ・ホップ・アルバム、誰か作らねぇかな? できればフル・インストゥルメンタルで」って思ってたくらいなんで、そういう意味では、個人的には「こういうのが聴きたかった!」って感じの 1 枚だと言えるかな。まぁ、決してメインストリームなヒップ・ホップではないし、退屈だっていう人もいそうだけど。
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GREEN BUTTER: MABANUA (left) and BUDAMUNK (right) |
一方のマバヌアは、オーバル(OVALL)のメンバーとしても活躍するオリガミ(origami)所属のマルチ・インストゥルメンタリスト / プロデューサー。ソロとしても 2008 年にマバヌア名義で "done already"(Links: iTS / Amzn)をする傍ら、チャラ(CHARA)やツイギー・アル・サラーム(TWIGY AL SALAAM)のプロデュースを手掛けたりしている実力派として知られてる。
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個人的には、マバヌアもちょこちょことチェックしてきたアーティストだったし、ブダモンクは 2011 年に最も熱心にチェックしたビート・メーカーの 1 人だったし、つながり的にも決して遠い 2 人ではない感じはしてたけど、さすがに 2 人だけでガッチリアルバムを作るとは思ってなかったんで、かなり嬉しいサプライズだったかな。
まぁ、このグリーン・バターのハナシを聞いた時点で相性は良さそうだなと思ったけど、正直言うと、(いい意味で)こんなにミニマルで、実験的とも言いたくなるような、それでいて完成度の高い作品になることは予想できなかったんで、聴いた後もやっぱりビックリしちゃったかな。1 + 1 が 2 以上になるケミストリーが発生してるっていうか。実際、年末から年明けにかけて、何度も何度も聴いてるし、聴けば聴くほどジワジワ効いてきて、なかなか中毒性が高い。けっこういろんなシチュエーションとか気分にもフィットするし。
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