『星の航海術をもとめて ― ホクレア号の 33 日』
ウィル・クセルク 著 加藤 晃生 訳 (青土社) ★★★★☆
スター・ナヴィゲーションとも言われる古代の航海術を現代に蘇らせたナイノア・トンプソンが、実際にホクレア号の航海を通じてその技術を会得していくプロセスを詳細に記した 1 冊。
邦訳の出版は 2006 年だけど、原著 "An Ocean in Mind" の出版は '87 年なので、約 10 年の時を経ての出版ということになる。ちょうど去年、ホクレア号が来日したこととかが具体的な契機になってるんだろうけど、それだけじゃなくて、言葉にはしにくい(っていうか、するとすごく陳腐になる)もっと大きな流れの一環として(遅ればせながら)当たり前のように出版された感じがする。
星の名前や実務・技術的なハナシなど、難しくなりがちな部分も必要以上に端折ることなく細かく記すことで、臨場感とリアリティを生み出しててとても読み応えがあるし、わからないところをたびたび読み返したりしながらゆっくりと贅沢に時間を使いながら読むことで、ありきたりだけどまるで大海原にいるかのような開放的な気持ちになったりするから不思議。
最初にホクレア号とスター・ナヴィゲーションについて知ったのは、本書に解説も書いてる石川直樹の『全ての装備を知恵に置き換えること』か『いま生きているという冒険』だったと思うけど、文字通り「装備を知恵に置き換える」ことを実践してるスター・ナヴィゲーションには、航海術としてだけじゃなく、もっと大きな意味で大切なことをいろいろ示唆してる気がする(ちなみに「全ての装備を知恵に置き換える」とはパタゴニアの創設者、イヴォン・シュイナードの言葉だとか。すごくいい言葉)。
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