これまでにも、前にレヴューした『銀輪の巨人 ジャイアント』のレヴューや『自転車はここを走る!』のレヴューをはじめとして、自転車関連のエントリーでたびたび触れてる通り、残念ながら日本は自転車文化後進国で、なかなか気持ちよく自転車で走ることができないのが現状なんだけど、そんな中で、(個人的に知る限り)数少ない '良い施策' のひとつが、右の写真の自転車専用レーン。存在はちょっと前から知ってたし、評判は割と良かったんだけど、実際に走ってみたら、思ってた以上に走りやすくてビックリした。
見ての通り、特別なことをしてるわけじゃなくて、道路交通法で定められてる通りに車道の左端を走りやすくするように、白線を引き、ブルーに塗られ、自転車専用と書かれてるだけ。たったこれだけのことで、ビックリするくらい走りやすい。幅もこれだけあれば十分だし、他の道路でよくあるように(車道の左端ではなく)路肩に追いやられる心配もない。ズバリ、コレが正解なんじゃないかって思っちゃうくらい。
具体的な場所は以下の地図の通り、都道 431 号線(通称・水道道路)の西新宿4丁目 〜 泉南の交差点の間の区間。
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初台のオペラシティの 1 本北側を、甲州街道と平行して伸びてる道路で、Google Maps で計測したところ、距離は約 2.7km。実際の様子は、以下のようにストリートビューで見るとよりわかりやすい。
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色が塗られてることが功を奏してるのか、走ってて走行中の車から大きなプレッシャーを感じることは全然なかったかな。すごく快適に走れる。
ただ、もちろん、パーフェクトではなくて、何が問題かっていうと、右の写真のような状況がわりと頻繁に起こるってこと。つまり、路上駐車。他にも、タクシーやバスが左側に寄ってくるケースももちろんあるけど、タクシーやバスの停車はある程度、仕方ないとしても、路上駐車は論外。せっかくのレーンが無意味になっちゃうんで。
つまり、問題はシステムじゃなくて、ユーザー(ドライバー)の意識だってこと。せっかくの優れた仕組みなのでもったいない限り。
でも、まぁ、この問題を除けば、すごくシンプルだし、それほど大きな工事(予算)も要らなそうだし、見た目も悪くないし。実は、たまに線だけ書いてある道もあるんだけど、わりと車が無視して(気付かずに?)走ってることがあって怖かったりするんだけど、色が塗られてると、ドライバーにもかなりわかりやすいだろうし、このレーンに入ってくるのはそれなりに抵抗がありそうだし。
まぁ、ドライバーの意識の問題と、たった 3km 足らずだって点がありつつも、現状、わりと取り入れやすくそうで、それでいて効果がありそうな、かなり正解に近い、現実的でいい仕組みなんじゃないかな。
* * *
あと、関係ないけど、すごくナゾというか、むしろ危ないと思えるのが山手通りの中野坂上 〜 東中野近辺。どこからどこまで区間なのか詳しく確認はしてないけど、車道の左側に線だけが引いてある区間があるんだけど、ずっと引いてあるわけでもなく、下の 1 枚目の写真のように途中でなくなったりしてる。
同時に、2 枚目の写真のように、拡張した歩道内にも自転車用と思われるレーンがわざわざ作ってある。ちょっと広めだし、自転車マークが付いてるから自転車はついここを、それなりのスピードで走っちゃいそう。
自転車事故で最も多いケースは自転車と歩行者の接触なのに、こんなものを作ったら、その傾向を助長するだけな気がしてならないし、メチャメチャ危ないんじゃないかって真剣に思う。いや、マジで。車道では自転車は最弱者だけど、歩道上では一番危険な存在になるんで。
3 枚目の写真は緩い下り坂部分なんだけど、「スピード落とせ!」って文字の方向からわかる通り、道路の右側の歩道を自転車が走ることを認めてる。つまり、この '歩道内自転車レーン' は進行方向が決められてないってことになる。
これじゃ、普通に自転車同士の衝突事故を誘発しかねないし、当たり前だけど、衝突事故は通常の接触事故以上に衝撃がかかるので、事故った場合の怪我等は通常の接触事故以上に酷くなる。危険極まりないって言わざるを得ない。
しかも、さらにタチが悪いのは、この歩道拡張工事は首都高の中央環状線の工事に合わせて行われたってこと。つまり、あまり自転車のことなんか考えてないような昔に作っちゃって、直すに直せなくて今に至ってるわけではなくて、ここ数年の間に工事が行われていながら未だにこんな認識がまかり通ってて、予算(税金なのか?)を使って実際にやってるってこと。暗澹たる気持ちにならざるを得ないっつうか、上で紹介した水道道路のブルーのレーンと、この山手通りはすごく近くなのに、なんでこんなにも違うのか、もう、理解不能だな、と。まぁ、責任の所在がどこなのか詳しく調べてないから、これ以上の言及はできないけど、ある意味、'自転車文化後進国' っぷりをすごくわかりやすく示してる例ではある。
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世界に君臨する自転車業界の '巨人'、ジャイアントについて綴った書籍。同時に、日本の自転車産業の没落にも言及してて、自転車文化について考える上でも、いろいろと参考になる。
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'自転車文化後進国' の日本の都市部で安全に自転車に乗るための実践的なムック。ルールにキチンと触れつつ、ルールだけではどうにもならないグレーな部分も現実的に紹介されてる。しかもリーズナブル。
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