2009/09/12

Sky's the limit.

CéU "CéU" (Urban Jungle)  

昨日のエントリーのリジー・パークスのレヴューを書いてて思い出したんだけど、このセウもかなりの才色兼備なアーティスト。アートワークを見ての通り、カワイイというよりはちょっとカッコイイ感じの女性シンガー・ソングライター。実際、他の写真もすごくカッコイイし。ただ、ルックスだけじゃなくて、サウンドもなかなかカッコイイ仕上がりだったりするんだけど。

ポルトガル語で「空」って意味の名前を持つセウはサン・パウロ出身のシンガー・ソングライターで、かのカエターノ・ヴェローゾにして「ブラジルの新しい未来」と言わしめたんだとか。

このセルフ・タイトルのアルバムは 2005 年リリースのデビュー盤で、今年、セカンド・アルバムの "Vagarosa" もリリースしてるんだけど、個人的にはこの "CéU" のほうがお気に入りなんで。ちなみに、彼女の作品はアメリカではシックス・ディグリーズからリリースされてて、グラミー賞にもノミネートされてたりして、わりとブラジル以外でも知名度が高いアーティストだったりする。

特徴としては、スクラッチ・ノイズを効果的に使ったちょっとダビーでアブストラクトなサウンド・プロダクションとブラジルな歌の絶妙なバランスなのかな。クールで抑制が利いてるんだけど、暗くなくて、開放感もあって。ちょっと無機質なサウンドの直線的なイメージと、柔らかさのあるヴォーカルの曲線的なイメージが、両方感じられて。ヴォーカルも、適度にセクシーで、でもセクシーさやカワイさを過剰に打ち出してなくて、ちょっと力強さもあって。すごく都会的(っていうか、サン・パウロのイメージにドンピシャでハマる気がする)で、いい意味で、すごく現代的で、でも、しっかりブラジル音楽で。ベースにあるのはサンバかな、やっぱ。よくベベウ・ジルベルトと比較されるみたいなんだけど、個人的には、ベベウよりも好みかな。

本人は広い意味でのアフロ・アメリカン・ミュージックに強く傾倒してるらしい(ボブ・マーリーの "Concrete Jungle" をカヴァーしてたりする)んだけど、それをただ物マネしたりするんじゃなくて、自分の中で消化して、あくまでもオリジナルなカタチで表現しようとしてる感じも好感が持てるし。

一応、彼女も MPB ってことになるんだろうけど、まぁ、MPB なんて、メチャメチャ実体の掴みづらい言葉だったりするわけで、正直なところ、あまりにも「ブラジル歌謡」みたいな MPB はイマイチ苦手だったりするんだけど、こういうのだったら全然アリ。こういうのが、その言葉の意味通り「ポプラール」なんだったら、それはそれですごくいいことだと思うし。

* CéU "10 Contados" (From "CéU")









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