2009/01/26

Being hungry. Being foolish. Being creative.

スティーブ・ジョブズ 偉大なるクリエイティブ・ディレクターの軌跡
 林 信行 著 アスキー)  

これまでにも『iPhone ショック』や『アップルとグーグル』を取り上げたことのある、マック系のライターの林氏が『MACPOWER』誌で連載していたモノをまとめた著作。B4 型(になるのかな? 長辺が 27cm で、A4 よりもちょっと小さい)っていう大型の版型で、写真を大きく扱ってるヴィジュアル・ブック的な装丁が特徴になってる。
これは、われわれがリベラル・アートとテクノロジーの接点に立つ企業で、それらふたつを、他の誰もマネできないくらいうまく融合できることを示している。


これは 2001 年の夏に iDVD 2 等を発表したときのキーノート・アドレスでジョブズが語ったセリフで、「これ」とは一連の iLife アプリケーションを指している。このセリフはアップルを、特にジョブズ復帰以降のアップルを象徴してるセリフだと思うけど、このようなジョブズならではのセリフを全編に散りばめながら、ジョブズの足跡を「クリエイティヴ・ディレクター」としてという視点で、象徴的な写真を大きく挟みながら簡潔にまとめてる。

プロローグに紹介されてるスタンフォード大学の卒業生に向けて行った 2005 年 6 月のスピーチ、通称 "Stay hungry, stay foolish."(伝説の雑誌 "Whole Earth Catalog" 最終号の中の言葉の引用)や、2007 年の D5 でのビル・ゲイツとの共同インタビューなどについて取り上げてるあたりはさすがって印象だけど、全体的にはちょっと物足りない印象。書籍として読み応えがあるような文量でもないし、わざわざ大型版にしているわりにヴィジュアルを上手く活かしてるとも思えない(もちろん、使われてる写真は見やすいけど)。ヴィジュアル・ブックにするならもっと写真やデザインを使ったほうがよかったし、そうじゃないなら、ジョブズの足跡がスッキリと読みやすい文量にまとまってるんで、それこそ、「ジョブズ入門書」として新書にでもしたほうが需要があったんじゃないないかな、なんて思っちゃう。読み物としては持ち運びにくいし、写真集やグラフィック本みたいに何度も眺めちゃうような感じでもないし、中途半端な印象が拭えない。どういう意図なのか、ちょっとナゾ。

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