"足跡のない道". GANGA ZUMBA(avex) ★★★★★ Link(s): iTunes Store
ザ・ブームとしても知られる宮沢和史率いる多国籍バンド、ガンガ・ズンバが「日伯移民 100 周年音楽事業テーマソング」として、これまでの 100 年と、これからの 100 年に思いを馳せて書き下ろし、リリースしたシングル(カップリングは公文の CM ソングとして使われた『きみはみらい』)。
この曲は 100 年前に笠戸丸でブラジルに渡り、2006 年に 100 歳を目前にして亡くなった日本人移民の最後のひとり、中川トミさんと実際に会い、話を聞いた上で彼女の人生をイメージして書いたという作品で、そのことが歌詞にストレートに反映されている。
難しい言葉を使ってないシンプルな歌詞でありながら、長い時の流れと、もっと大きなモノのサイクルのような何かをイメージさせるし、聴けば聴くほどジワジワ染みてくる、そんな言葉のセンスには脱帽。PV(Link: iTS)も、本人の動画カットが 1 種類あるだけで、あとは、言ってしまえば写真のスライドショーなんだけど、写真の 1 枚 1 枚に何か感じさせるモノがあって、グッとくる。特に、何の変哲もない、決してオシャレじゃない記念写真みたいな写真がいい味を出してて。
サウンド的には、ギターを中心にしつつピアノとストリングスをポイントに使ったキレイな構成なんだけど、セカンド・ヴァースのレゲエ調の展開が湿っぽくなっちゃいかねない曲の中で効果的なアクセントになってる(このパターンは『島唄』にもちょっと似てる。手癖っていうか、得意技なのか?)。三線も使われてたりして、もはやブラジルでもレゲエでも沖縄でもない、簡単に「何風」とか言えないサウンドで、その辺はすごく「らしい」し、ある意味、すごくユニヴァーサル。『風になりたい』(Link: YouTube)とか『島唄』(Link: YouTube)もそうだけど、時代を超えるクラシックを書けちゃうところがこの人のスゴイところで、この『足跡のない道』も間違いなくクラシックと呼べる 1 曲だと思う。
ちなみに、歌詞に出てくる「秩序と進歩」って言葉は、もちろん、ブラジル国旗に書かれている言葉(Ordem e Progresso)。
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