2008/12/02

A touch of universe.

ユニバソロジの世界観』
 ー『未来創発Vol. 14Vol. 15Vol. 16Vol. 17 より

. :毛利 衛 著(
野村総合研究所★★

前のエントリーで取り上げた
果てしない宇宙のなかで思う未来のことのレビューでも触れた野村総合研究所の広報誌『未来創発』の Vol. 14Vol. 15Vol. 16Vol. 17 に掲載された毛利衛さんの全 4 回のエッセイ(それぞれリンク先に PDF で公開されてる)。『果てしない宇宙のなかで思う未来のこと』の中で毛利さんが触れてた「ユニバソロジ」の世界観に沿って書かれてて、「つながり」「携帯電話」「挑戦」「自然への気づき」をテーマにしてる。

「ユニバソロジ(universe + -logy = universology)」というのは、『果てしない宇宙のなかで思う未来のこと』の中では毛利さんが自分で考えた造語って言ってるんだけど、英英辞典や英語版のウィキペディアなんかをちょっと調べてみたところ、言葉自体は以前からあったみたいで、完全に毛利さんのオリジナルって言えるかどうかは確証はないけど、少なくとも毛利さんは英英辞典に載ってる 'The science of the universe, and the relations which it involves.' って意味よりもだいぶ拡大したイメージで捉えてるっぽい。

果てしない宇宙のなかで思う未来のこと』の中で毛利さんと対談した作家の瀬名秀明が見事に「ユニバソロジ」のイメージを要約してた(そして毛利さん自身、「使わせて欲しいほどいい表現」と言ってたほど的を得てるらしい)言葉によると、「自然現象の時間とか空間とかいろいろスケールの違 うものを、自分の心の中で比較したり組み合わせたり融合させたりすることによって、地球上で暮しているだけ では見えてこなかった違った観点を ー 無意識のうちに感じてるのかもしれないけれど気が付かないようなものを ー 気付かせるような発想」。キーになるのは時間と空間の感覚で、それはこのエッセイの根底にも流れてる。個人的には「顕微鏡の中に見える細胞と、ふと見上げた丸い窓から見えた地球がすごく似てた」というエピソードがすごくツボだった。

このエッセイは、野村総合研究所の広報誌って媒体の特質、及び見開き 2 ページ x 4 回ってスペースの都合上、それほど深いハナシにはなってなくて、わりとマジメで具体的な例を挙げながら、「触り」の部分を紹介してるって感じだけど、入り口としてはなかなか面白いし、もっといろいろ知りたくなってくる。

あと、直接関係ないけど、この『未来創発』って、最近は川崎和男先生のコラムが載ってたりして、なかなか面白い。さっき、「野村総合研究所の広報誌って媒体の特質」って書いたわりに、実はどんな媒体なのかよくわかってないんだけど。実物を見たことないし、どんな人が読んでるんだかイメージしにくい。まぁ、堅い感じは伝わってくるけど。でも、内容はけっこう興味深かったりするし、バックナンバーも含めて記事がウェブ上にアーカイブされてるのもありがたいし。更新情報を RSS 配信してくれてるともっとありがたいんだけど。

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