2009/07/22

Traveling miles.

STUDIO VOICE 2009 年 08 月号 本と旅する

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インファスパブリケーションズ)

そういえば『STUDIO VOICE』を買ったのはいつ以来のことだろう? そんなことを思いつつ買った最新号。10 代の終わり 〜 20 代の始め頃にはかなり熱心に読んでて、かなり好きな雑誌のひとつだった。まぁ、毎号必ず買うってわけではなかったし、内容を見つつって感じだったけど、いつの頃からか、内容を確認することもしたりしなかったりになってたんだなぁ、とサイトで最近のバックナンバーを見て思ったり。

そんなこんなですごく久しぶりに買った
STUDIO VOICE』の特集は「本と旅する」。個人的には、「本」と「旅」って組み合わせにはめっぽう弱いというか、ついついガードが下がっちゃいがちだったりする。実際には「本」と「旅」の組み合わせにはいろんなパターンがあって、例えば、「旅の本」とか「旅に関する本」だと、実はガイドブックだったみたいなこともあるし、もちろん「旅の様子を綴った本」、つまり紀行文みたいなのもあるし。個人的には、「本を持って旅に出る / 旅先で本を読む / 旅先で読む本」みたいな感じが一番好みで、家とか電車の中とか、日常生活の中ではなく、移動中(もちろん、毎日の通勤・通学とかではなく)だったり非日常的な空間でこそ読むのに相応しい本、つまり「旅に持っていくべき本」っていうジャンルがある気がしてて、でも、そのセレクトって、案外難しかったりして(しかも、それは必ずしも旅に関連する内容でも、実用的な内容である必要もない気がする。むしろ、一見、無関係なくらいのほうがいいかも?)。だから、「本と旅する」ってタイトルだけでグッと魅かれちゃって。

まぁ、実際に読んでみたら、どっちかっつうと、「本の中を旅する」みたいな、実際の旅ってよりは内面への旅的な視点で、いろいろな土地への旅を綴った本がいろんな視点でセレクトされてる感じで、必ずしも
「旅に持っていくべき本」って感じではなかった。ただ、視点にしてもセレクトにしても一癖も二癖もあって、すごく『STUDIO VOICE』らしいというか、古今東西のクラシックはもちろん、写真集やコミックまで、やっぱり他ではあまりお目にかかれない感じの(ある意味、偏った)内容にはなってて、なかなか興味深い。

あと、特集以外でも、モス・デフの "Ecstatic" を原雅明さんが 1 ページ使ってレヴューしてたり、良くも悪くも日本の洋楽界独自のカルチャーである「ライナーノーツ」って存在を逆手に取って、佐々木敦さんがアルバムに勝手にライナーノーツを書いちゃうっていう連載(今号で取り上げられてるのはエミネムの "Relapse"。因みにオリジナルのライナーノーツは ZALIG こと高橋芳朗 a.k.a. ヨシクォン!)が始まってたりして、なかなか侮れないな、と。

まぁ、
久しぶりにちゃんと読んで、あらためて、良くも悪くもSTUDIO VOICE』というか、読みにくくてラディカルなエディトリアル・デザインとか、多用される小難しいレトリックも含めて、サブ・カルチャー的なスタンスを明確にした感じにちょっと懐かしさを感じつつも、やっぱりこういう雑誌もあっていいよなぁ、なんて思ってたら来月発売の号で休刊なんだとかこれは、正直、けっこうショックだったりして。ちょっと前に『Esquire 日本版』が休刊になったのもけっこうショックだったけど、STUDIO VOICE』も若い頃にわりと熱心に読んでた雑誌だから(400 号記念号でバックナンバーの表紙をみたら、鮮明に覚えてるのがかなり多かったし)、やっぱり、ちょっと物悲しい感は否めない。奇しくも昨日のエントリーでも言った通り、雑誌には「波」みたいなモノがあって、その「波」の大きさとか方向とかがピッタリ合うこともあれば、微妙に合わなくなったり「凪いじゃう」ことがあったりするモノだと思うんだけど、ベタ凪ぎになっちゃったってことなのかな。今、思うと、400 号記念号「スタジオ・ボイスの時代」なんて言ってたことが前兆だったのかな、なんて思ったりもするけど。まぁ、とりあえず、来月号はキチンとチェックしないと。

ちなみに、このニュースは『+81』を立ち上げ、現在は『QUOTATION』の編集長を務める蜂賀亨氏コラムで知った。まぁ、
ここで述べてることは個人的にはイマイチピンとこなかったけど。特に最後のブロック。「楽しく、自由に、雑誌や書籍を楽しめばいいのではないだろうか。雑誌や書籍の未来は、きっとなるようにしかならないのだから。」って!? って思わず突っ込みたくなっちゃったそんなこと言っちゃあ身も蓋もなくね? って。まぁ、言わんとすることはわかるけど。

とりあえず、「有名・無名問わずクリエイターのサポートをする」というコンセプトで、様々な活動を通じてクリエイターを支援するっていうウェブ・サイト、STUDIO VOICE ONLINE は継続していくとのこと。このサイト自体、どんなモノだかキチンと認識してなかったんだけど。後でチェックしてみよう。でも、「クリエイター」って言葉を多用する人とかメディアとかは、なんかイマイチ信用できないっつうか、ちょっと警戒心を抱いちゃうんだけど。


CASSANDRA WILSON
"Traveling Miles" (From "Traveling Miles")











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