.(マガジンハウス) ★★★★☆
別にメチャメチャ好きって感じではないつもりなんだけど、気が付けばわりと買ってることが多い雑誌のひとつが『BRUTUS』。雑誌には「波」みたいなモノがあって、その「波」の大きさとか方向とかがピッタリ合うこともあれば、微妙に合わなくなったり「凪いじゃう」ことがあったりするモノだと思うんだけど、最近はわりと個人的なツボにハマることが多いっていうか、けっこうコンスタントに面白い感じがしてたりする。
そんな『BRUTUS』の最新号の特集は「ニッポン鉄道の旅。」ってことで、新幹線からローカル列車まで、いろんな路線が取り上げられてるんだけど、なかなか興味深い内容で、思いの外、楽しめた。まぁ、世の中は明らかにポスト・モータリゼーションの時代になってるわけで、そういう流れもあってか、わりと見直されてる感がある鉄道だけど(もちろん、だから特集してるんだろうけど)、個人的にもまんまとその流れに乗ってるというか、すごく興味があって面白いなって思ってたりするもんで。
個人的には、国内線の飛行機って、なんか荷物として運ばれてる感じがして好きじゃなくて、断然鉄道派(同じ理由で船もいいなと思ってる)。新幹線みたいに現代的な移動手段として洗練されてる面もありつつ、同時に、なんか、バカっぽくてチャーミングな面も同時に持ってて、すごくいいな、と。そうは言っても、全然詳しいわけじゃないんだけど。「好き」なんても言うのもおこがましいくらい。ホンモノの人たちに対して。鉄道オタクっていうのは、オタクの中でもかなり王道でオールド・スクールなジャンルだと思うけど、個人的には、アイドルとかゲームとか、他のオールド・スクールなジャンルの人とは比べ物にならないほどリスペクトの念を抱いてたりする。だって、彼らはメチャメチャ勉強熱心且つ博識で、計画力も行動力あるし、努力とか労を厭わないし。カルチャーとかルックスとかは確かにビミョーな側面もあるけど、でも、やっぱ、ちょっと、リスペクトの念は抱かざるを得ないな、と。
まぁ、最近の流れとしては、そういうオールド・スクール鉄道オタクにも一定のリスペクトの念を抱きつつも、新しい面にも目を向けてって感じで、わりといい感じに思える。今回の『BRUTUS』も基本的にはそういう流れを踏襲しつつ、でも『BRUTUS』らしく上手い感じでまとまってる。
個人的には、写真がすごくいいのがすごく印象的で、表紙ももちろんだけど、鉄道写真家の写真を集めたページが秀逸(まぁ、「撮り鉄」なんてサブ・ジャンルがあるくらいだから、当然って言えば当然なのかもしれないけど)。他にも、「ニッポンの名駅弁 47」とか、北斗星乗車紀行とか、なかなか面白くて。あと、ブルートレインのヘッドマークのステッカーが付いてて個人的には嬉しかったんだけど、あらためてヘッドマークを見てみると、デザインとしてもすごく面白いなって再確認したり。あと、写真がいいからかもしれないけど、誌面のデザインがいつも以上にいい感じがした。スッキリとシンプルで、でも、なんか、すごくカッコよくて。個人的にはけっこうツボだったりした。ただ、「ニッポン鉄道の旅。」ってタイトルはちょっと違和感を感じるけど。字の並びというか、「ニッポン」と「鉄道」の部分の並びというか、つながりに。「ニッポン、鉄道の旅。」のほうがいいんじゃね? とか。もしくは「ニッポン 鉄道の旅」か。まぁ、細かいことだけど、職業柄、ちょっと気になる。
まぁ、「わりと見直されてる感のある」と言いつつも、実際には、同時に古いモノがドンドンと失われてて(廃線とかってこと)寂しい面もあったりするし、それ以上に大きな問題として、この国の為政者や財界はポスト・モータリゼーションの流れをまるで感じてない気がするけど(もしくは感じてるから抗ってるのか?)。愛知在住のマリノス・サポーター仲間によると、例の愚策施行の前と後で、愛知〜新横浜間の週末の車での移動の所要時間は 3 倍くらいになってるんだとか。意味不明なエコ・カー減税とかも含めて、どうもこの国は未だにモータリゼーション時代の思想にしがみついてるらしい。
そういうことへのカウンターって意味も含めて、鉄道を見直す動きはすごく面白いと思うし、わりと大事なことが含まれてるなって思ったりもする。なんかバカっぽくていいし。そんなわけで、鉄道モノの内容を取り上げることが多い『旅の手帖』とか『男の隠れ家』とか『一個人』とかまでついつい立ち読みしちゃいがちなんだけど、『BRUTUS』は中身もデザインも一味違っててさすがだなって思ったり。『BRUTUS』はちょっと前に山の特集もやってたけど、こういう動きって、ちょっとトレッキングにも似てる感じがするし。今度はぜひ、船旅もやって欲しいもんだ。鉄道とともに、なんか、すごくいい気がしてるので。船旅って。日本は島国なんだし。
まぁ、「電車」についても、別の意味で大きな見直しが必要だと思うけど。あの混み具合とか、どう考えてもマトモじゃないし。違憲状態だと思うくらい。「最低限の文化的生活」じゃないから、あんなの。なんで、みんな、あんなのに乗ってるんだろう? ボイコットしたり、暴動を起こしたり、訴えたりとかしたほうがいい。それにしても、「鉄道」と「電車」って、受ける印象がかなり違ってて、不思議。もちろん、定義自体も違うんだけど、それ以上に、受ける印象というか、ニュアンスが違ってて。「鉄道」って言葉の持つ何とも言えない趣きっていうか、味わい深さが、なんか、すごくいいな、と。
BEN HARPER & THE INNOCENT CRIMINALS "Fool For A Lonesome Train" (From "Lifeline")
2 comment(s)::
久しぶりにお邪魔します。僕が今でも鉄道に魅かれる理由の一つはやはり景色いわゆる車窓がいい時ですね♪
鉄道が道路よりよく写真になっている程景色がいい一つは沿道に景観を損なうようなお店や派手なネオンや看板などが少ないからでしょうかね。
今年春鹿児島に行った時車窓特にディーゼルエンジン音をBGMに見た桜島や開聞岳や火山性土地の薩摩らしい畑や海などの景色が本当にヤバかったです♪
線路と車輪の摩擦音をBGMに程よいスピードで流れるバラエティに富んだ自然な感じの景色はやはり飽きませんね♪
確かに「車窓」っつうのはちょっと独特の趣きがあるね。
まぁ、こういうのを見ると、行ってみたいところはまだまだたくさんあるなぁ、って実感するね。
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