2009/08/21

Universal sounds of America.

SLY & THE FAMILY STONE "The Essential Sly & The Family Stone"
(Epic)  Link(s): Amazon.co.jp

スライ & ザ・ファミリー・ストーンって言えば、60 〜 70 年代のアメリカを代表するグループなわけで、まぁ、今さら説明するまでもないし、1970 年前後にはまさにキレキレで、1967 年の "A Whole New Thing"(Link: Amzn)を皮切りに、1968 年の "Dance to the Music"(Link: Amzn)と"Life"(Link: Amzn)、1969 年の "Stand!"(Link: Amzn)、1971 年の "There's a Riot Goin' On"(Link: Amzn)、1973 年の "Fresh"(Link: Amzn)等、素晴らしいアルバムを連発してたんだけど、じゃあ、どれか 1 枚選べって言われると難しくて(あえて選ぶと、個人的には "Stand!" かなって気がするけど)、しかも、何種類かリリースされてるベスト盤の出来がわりといい気がするんで、ちょっと反則技ではあるけどベスト盤がいいかな、と。

1 枚でまとまってる "Anthology"(Link: Amzn)もいいけど、ここはあえて、代表曲以外の地味な佳曲もピックアップされてる CD x 2 枚組・全 35 曲の "The Essential Sly & The Family Stone" を。

なんで唐突にスライかというと、"Woodstock"(Link: Amzn)から 40 周年だからってわけじゃなくて(スライを語るときに "Woodstock" は忘れちゃいけないけど)、"Higher: The Story of Sly Stone" ってドキュメンタリーが作られてるらしいってことを知ったから。しかも 'in his own words' で、キャッチ・コピーが 'A film about how it all went down' って! 観たいような観たくないような、複雑な感じだったりするけど。ここでトレーラーが観れるんだけど、スゲェ顔してるし。まぁ、トレーラーを観る限り、最近の映像が多いっぽいから、個人的にはあんまり期待してないんだけど(昔の映像を中心に、音楽だけじゃない部分まで広くカヴァーしたドキュメンタリーを観たい)。でも、まぁ、確かにスライはもっとキチンと評価されたほうがいいと思うし、もっと聴かれたほうがいいと思うんで。

まぁ、アーティスト・プロフィールとしては、スライ・ストーンを中心にした黒人 / 白人・男女混成バンドで、ソウル / ファンクを基調にしつつも、ロック / サイケデリアなテイストも感じさせつつ、どこかチャーミングで憎めないポップさも併せ持ってたバンドで、ポジティヴでパワフルなエネルギーに満ち溢れてた 60 年代末から、エネルギッシュな側面はキープしつつもよりダークで攻撃的になっていった 70 年代初頭って時代のアメリカを象徴するサウンドで、ブラック・ミュージック・シーンだけでなく、ロック・シーンまで巻き込んで人気を集めた、って感じかな。ロック・フェスティヴァルである "Woodstock" に出演していたのもそういう背景があってのことだし。あと、ルックスのインパクトというか、カッコよさも際立ってた。

個人的には、スライ & ザ・ファミリー・ストーンってブラック・ミュージックのアーティストの中でも相当好きなアーティストで、いろんな意味ですごくレアな、奇跡のようなアーティスト / グループだと思ってて(壊れやすかったって面も含めて)。まぁ、その魅力を突き詰めるとパワフルでハイブリッドってことになるんだと思うけど。まぁ、バンド自体も黒人 / 白人・男女混成って、やっぱり当時の社会情勢的にはかなり革新的且つ画期的だったし、ソウルでファンクでサイケデリックでロックでポップなサウンドとソングライティングもすごくオリジナリティがあるし。しかも、それが、狙ってないというか、器用貧乏な感じじゃなくて、すごくナチュラルで、パワフルで。メッセージもポジティヴでパワフルだし。音楽として、すごくオープンで、でも同時にすごくディープで、なおかつユニヴァーサル。それが、自然に、高次元で共存してるアーティストって、いそうでなかなかいないから。それが、ある意味、アーティストとして理想的だな、とすら思う。ブラック・ミュージックで好きなアーティストなんて死ぬほどいるし、どっちが好きかなんて比較も出来ないけど、でも、実は、JB よりもカーティスよりもマーヴィンよりもスティーヴィーよりもよく聴いてたりするかも。単純に回数だけで比較すると。

あと、曲が見事にその時代を感じさせるというか、時代を生きたアーティストってのも大きいかも。例えば、なんで "Everyday People" が 1969 年で "There's a Riot Goin' On" が 1971 年なのかとか、なんで "Everyday People" と "Don't Call Me Nigger, Whitey" が同じアルバムに入ってるかとか、いろいろと考えさせられるし、そんな中から当時のアメリカのリアルな状況が透けて見えてくる。

後のスティーヴィー・ワンダーとかプリンスとかマイケル・ジャクソンとかに与えた影響の大きさが指摘されることが多くて、それはそれでもちろん正しいんだけど、そういったアーティストに比べると、スライって、セールス的には十分ポップではあった反面、決してポップ・スターって感じじゃなくて、もっと生々しくてリアルな印象が強いかな。あと、演ってることがシンプルというか、小難しくなくて、洗練されてないところも特徴かも。ラフで、荒っぽい感じ。スティーヴィーもプリンスもマイケル・ジャクソンも、わりと洗練されてるからね。それに比べて、スライはシンプルでラフでストレート。そのサジ加減も絶妙で、すごくツボだったりするのかも。

まぁ、個人的にはけっこうドライというか、どれだけ好きなアルバムを作ったアーティストでも、無条件に追いかけて賞賛したりはしないタチなので、正直言うと、最近の活動とか(そういえば、来日もしてたね)、けっこうビミョーな印象だったりして(「もう終わってる」とまでは言わないけど)。何年か前のトリビュート盤(Link: Amzn)も期待外れだったりしたし(いい曲もあったけけど、全体としては散漫な印象だった)。だから、少なくとも現段階では、やっぱり 1970 年前後の作品ってことにはなっちゃうけど、まぁ、その時代の作品に関しては、曲がその時代を感じさせつつも、同時に時代を超えてるクラシックだらけなんで。常に iPod / iPhone に入ってるし、たぶん、今後もずっと聴き続けるはず。



SLY & THE FAMILY STONE "Everyday People" (From "The Essential Sly & The Family Stone")



2 comment(s)::

Ras Taro said...

Sly&the family stoneのレビューを読んで、ついついこのアルバムを手に入れちゃいました。(レンタルですが)
凄く良いです!昔から知ってるのに、あまり馴染みも無くて、何故か敬遠してましたが、はまりそうです。
良い出会いになりそうです。ありがとうございます。

TR2HG: FCRS: v(^_-) said...

コメント、ありがとうございます。
良い出会いになったなら嬉しいです。
スライはカッコイイですよね。
オリジナル・アルバムもオススメです。