2009/10/13

Designs of hope.

"Design For Obama"
 Edited by AARON PERRY-ZUCKER / SPIKE LEE (Taschen) 

タイトル通り、第 44 代アメリカ大統領バラク・フセイン・オバマモチーフにしたグラフィック・デザイン / ポスターを集めた洋書。発行元はアート / デザイン系ではお馴染みのタッシェンなんで、それだけでもそれなりに信頼できるだけど、まぁ、それを抜きにしてもなかなか見応えのある内容になってる。

編者に映画監督のスパイク・リーの名前があったりするんだけど、それは
スパイクの代表作『ドゥ・ザ・ライト・シング』のポスターをモチーフにした、その名も "Did The Right Thing" って作品があるからで、本の中に掲載されてるスパイクよるエッセイによると、インターネットでこれを見つけたスパイクは大喜びして、自ら作者に連絡を取って、そこからこの本の企画につながったんだとか。

この "Did The Right Thing" はすごくよくできてて、最初は「なんで 'did' なんだろう?」って思ったんだけど、よく見たら上のところに 'It was a biggest election of our lives. The voters could choose the same. The voters could choose change. And the voters ...' って書いてあって。しかも、ちゃんとバイデン副大統領もいるし、'A BARACK OBAMA JOINT' になってるし、ピザの箱までちゃんとオバマのロゴになってるし。なかなか秀逸だし、個人的にもメチャメチャツボだったりする

まぁ、中身というか、個々のデザインについては、出来のいいモノもあれば、そうでもないモノもある(オフィシャル・サイトで見れる)んで、手放しに最高ってわけではないけど、全体的なクオリティは高いし、細かい言葉遣いまでキチンと作り込まれてる感じとかは、すごく参考になるし、見習いたい感じ。ちょっと、ウィル・アイ・アムの "Yes We Can" を思い出す感じ。

あと、フツーに、ひとりの政治家の存在がこれだけ多くのアーティストにインスピレーションと創作意欲を与えて、これだけの作品を生み出してるってこと自体、スゲェなぁって思ったりもするし。まぁ、昔は、それこそチェとか、毛沢東とか、例がないわけじゃないけど、意味合いがちょっと違う気がするし、ヴァリエーションの多さが圧倒的だし、個人的にはリアルタイムでこういう現象を見るのは初めてだったりもするし。こういう本が成り立ってること自体、十分スゴイことだし、面白いことだし、見習うべきところが多い。もちろん、自分の作品がモチーフにされてるのを見つけて目くじら立てるどころか、むしろ楽しんじゃって、自ら連絡を取ってこんな本を作っちゃうスパイクの姿勢も含めて(こういうことって、日本ではなかなかないから)。


will.i.am "Yes We Can"

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