2009/11/23

Business as usual.

『IT 帝国の興亡 スティーブ・ジョブズ革命』
 村山 恵一 著日本経済新聞出版社
 Link(s): Amazon.co.jp

さすがに最近はアップル / スティーブ・ジョブズ関連の本だからって片っ端から読んだりはしてないけど(数が多過ぎるし、胡散臭いモノも多いんで)、久しぶりに読んでみたジョブズ関連の本。日本経済新聞社のシリコン・ヴァレー支局長である著者が現地で取材を基にまとめたモノで、今年の 7 月に出版されたモノなので、記憶に新しいハナシが多い。

アップル / スティーブ・ジョブズ関連の本は、主に iPod・iPhone 以降にフォーカスしてるモノと、必ずしもそうではないモノがあって、最近は、当然のように前者のモノが圧倒的に多いんだけど、まぁ、本書も前者のひとつと言っていいのかな。ただ、そう言っちゃうとちょっと誤解があるというか、「(多分に胡散臭いことが多い)最近のアップル / スティーブ・ジョブズ関連本」のひとつに思えちゃうかもしれないけど、本書はちょっと印象が違ってる。というのは、タイトルに「IT 帝国の興亡」ってある通り、アップルだけじゃなく、わりと広く IT / コンピュータ業界の動向をカヴァーしてるから。

具体的には、例えば、マイクロソフトがヤフーを買収しようとしたときの攻防とか、デルの衰退とか、グーグルとかフェイスブックとかについても、わりと詳しく触れられてて、あくまでも「iPod・iPhone 以降のアップル / スティーブ・ジョブズ」を中心にしつつも、それだけではない感じになってはいる。それを良しとするかどうかは、ビミョーなところというか、本書に何を求めてるか、読み手次第なところな気がする。アップル / スティーブ・ジョブズと直接関係ないハナシがけっこう多かったりするんで。個人的には、ヤフー買収とかデルとか、ブッチャけたところ、それほど真剣にフォローしてなかったから、そういう意味ではナシではないと思いつつも、「アップル / スティーブ・ジョブズ関連本」としては中途半端な感は否めないなぁ、と思ったり。

まぁ、内容はすごく簡潔にまとまってるし、読みにくいわけでもないんだけど、そういう部分で、なんか、ちょっとズレを感じるというか、イマイチピンとこないような、そんな不思議な読後感だったりして。新聞記者だから(仕方がない)かもしれないけど、なんか、対象に対する「愛情」みたいなモノが感じられないような気もするし、単純に文章・文体が好みじゃないからかもしれないけど。ただ、直接取材とか、幅広いソースとか、細かい数字の部分なんかは、いい意味で新聞記者らしい感じもするけど(何でも、アップルは世界第 3 位の携帯電話メーカーなんだとか。売上高で 1 位のノキアの 127 億ドル、2 位のサムスンの 59 億ドルに次いでアップルは 46 億ドルで 3 位らしい)。決して感動したりとかしないし、人生や生き方が変わったり、目から鱗が落ちまくるような類いの本ではないけど、シリコン・ヴァレー / IT 業界の比較的最近の動向をなんとなく俯瞰しとくって意味では、まぁ、ナシではないかな。
 

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