2010/10/01

For deeper understandings.

環境思想 歴史と体系』
海上 知明 著NTT 出版
Link(s): Amazon.co.jp

何がキッカケだったか、全然覚えてないけど、書店の店頭でふと手に取って、つい読んじゃった一冊。たぶん、昨今、いろいろなところで語られまくってる「エコ」(「エコロジー」とはかなり違う意味で使われてることもしばしば)的なことから感じるモヤモヤを何とかしたい感じだと思うんだけど。

内容としては、古代ギリシャ哲学の時代から現代に至るまでの「環境」を巡る思想や、様々な思想・哲学の「環境」の捉え方みたいなものを体系的にまとめたモノで、もともとは論文として発表されたモノをらしいので、決して読み物として面白いモノではないけど、まぁ、全体像を把握したり、ここからさらに掘るためのガイドとしてはアリなのかな、と。

ジョン・ミューアレイチェル・カーソンジョン・ミューアといった基本はもちろん、古典的エコセントリズムから社会派エコロジー、自然の権利派、ディープ・エコロジー、スピリチュアル系まで、一通り網羅されてて、日頃、自分の好みだけでチェックしてると見逃しがちなモノもカバーできるのはありがたいな、と。「現代環境思想以前の思想をめぐる論争」って部分では、「アダム・スミスが『国富論』で言っている農業はあくまでも一種のエコ・システム」だったなんて、ちょっと興味深い指摘もあったりして。

とりあえず、これからチェックしとくべき本として、リーン・ホワイト・ジュニアの『機械と神』、エドワード・ゴールドスミスの『生存のための青写真』、オルダス・ハックスリー『』辺りは読んどいたほうがいいっぽい。あと、『成長の限界と『スモール・イズ・ビューティフル』も読み直した方がいいらしい。やっぱり、クラシックは侮れないんで。

最後に気になったフレーズを引用しときつつ。


人間の自然への優位と人間と自然との分離を本格化させたのは「キリスト教のいかなる教義でもなく、デカルトの二元論であった」。ー ディヴィッド・ペパー

英国からの植民地人は、先住民族から土地を取り上げただけでなく、土地そのものを酷使した。先住民族は自然として扱われたが、英国人が先住民族に対して行ったことこそが、自然に対して行ったことでもあるのだ。「フロンティア農民は樹木を惜しみなく切り倒した。彼らは土壌の養分を枯渇させると新しい土地に移動した。同様に林業や鉱山業に従事した人々も短時間で収益を得ることのみを考え、資源の無駄を防ぐことは考えなかった。フロンティア・マンは自然の生態系を破壊して多くの野生生物を全滅させた。資源は無限だという信念がフロンティアの経験を通じて養われ、資源の浪費はアメリカ人の性癖として 20 世紀に伝えられ」、そして今日に至る。自然浪費がアメリカ文化の根幹にあった。
やらせはせん! やらせはせん!! 貴様ごときにやらせはせん! やらせはせんぞぉぉ!!

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