2010/12/18

The shape of energy to come?

平和のエネルギー ー トリウム原子力』 亀井 敬史 著(雅粒社)  
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ガンダムだけの月刊誌『ガンダム A』に「教えてください。富野です」っていう富野由悠季監督の連載ページがあって、毎月、富野監督がゲストを招いてハナシを聞くって内容なんだけど、2009 年 1 月号でゲストに招かれていた著者の本(っていうか、冊子?)が発売されたので、早速チェックしてみた。

サブ・タイトルには「ガンダムは "トリウム" の夢を見るか?」なんて言葉があるんだけど、基本的にはトリウムという物質を使った原子力発電のハナシ。何でも、著者が原子力に興味をもって、その道を志したキッカケはガンダムだったんだとか(ちなみに著者は 1970 年生まれで、財団法人国際高等研究所の招聘研究員)。

今、使われている原子力発電はウランを使った軽水炉での発電で、ウラン + 軽水炉の問題点は、結果としてプルトニウムが生成されて、プルトニウムは毒性が消えるのに百万年程度を要し、しかも、核兵器に転用できること。一方のトリウムによる原子力発電は熔融塩炉を使い、結果としてプルトニウムを生まず、毒性も百数十年から数百年程度で消えるらしい。

ガンダムのモビルスーツのは熱核反応炉を搭載してて、それを動力として動いてるんだけど、著者はこの熱核反応炉って言葉に魅かれて勉強をし始めたんだとか。なかなか好感が持てる。しかも、実はガンダムの劇中、18 話の「灼熱のアッザム・リーダー」の中のマ・クベの「トンあたり 2 グラム。予想通り良質のソリウム鉱床だ。あと 5 つもこの程度の鉱床を掘り当てれば我が軍は安泰だ」ってセリフの 'ソリウム' こそトリウムだ、と。こんなセリフをわざわざ引っ張り出すあたり、ますます好感が持てる。ちなみに、トリウム + 熔融塩炉の場合、小型化も可能らしいし。

この冊子では、それほどガンダムについて触れられているわけでもなくて、基本的にはトリウム + 熔融塩炉の原子力発電の概要と特徴、世界各国での取り組み方や現状などがまとめられてる感じで、まぁ、特別に面白いって感じではないんだけど、でも、なかなか興味深い話題ではある。

現実にはなかなか進んでないっていうか、後々の毒性の持続期間や核兵器への転用の可能性などを事前に想定することもなく、先に実用化ができちゃったのがウラン + 軽水炉で、一旦実用化できちゃったらわざわざ莫大なコストをかけて違う方式を研究してない(後に明らかになった負の側面は見ないふりをして)みたいな、なかなかバカバカしい状況が現状らしいんだけど。まぁ、コレはコレで大きな問題なんだけど。トリウム + 熔融塩炉はまだまだこれからの技術らしい。

まぁ、原子力発電自体についても決して簡単な問題ではないし、なかなかトンチンカンで場当たり的な対応を世界中でしてきちゃったわけだけど、まぁ、このままバカみたいに今の方式を続けていったら、それこそバカ以外の何者でもないわけで、いい加減、どうにかしないといけないのは間違いない。まぁ、欲を言えば、それでモビルスーツ(っつうか、ザク)の実用化に近付くと嬉しいなって単純に思っちゃったりもするけど、普通に考えると、少なくとも今の方式なんて時代遅れ以外の何者でもないっつうか、もうとっくに耐用年数を超えてるし、単純にリスク・マネージメント的にもナシだよな、と。まぁ、個人的にはミニマリストなんで、原発って発電方法自体、トゥー・マッチ以外の何者でもないと思ってるんだけど。

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