2011/08/31

Dreamy like heaven. Heavenly like dream.

TEEBS "Ardour" (Brainfeeder)  
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

前のエントリーのサンダーキャット(Thundercat)の "The Golden Age of Apocalypse" のレヴューでも書いたけど、最近のブレインフィーダー(Brainfeeder)のリリースのクオリティの高さ(っつうか、個人的なツボへのハマりっぷり)はハンパじゃないんだけど、このアルバムもそのひとつ。

これはブレインフィーダーのニュー・カマー、ティーブス(TEEBS)が 2010 年 10 月にリリースしたデビュー・アルバムで、ブレインフィーダー一派らしくエレクトロニック / エレクトロニカ的な部分とヒップ・ホップの融合させたようなエクスペリメンタルなサウンドなんだけど、そこにメロウで幻想的な心地良さが加わってて、なかなかオシャレな仕上がり。個人的にもメチャメチャツボな感じだったりするし。リリースは去年なんだけどレヴューし忘れてて、でも、すごく愛聴してるアルバムなんで、せっかくなんで備忘も兼ねてレヴューしとこうかな、と。

下に貼ったアルバム収録曲の "Arther's Bird" を聴いてもわかる通り(あと、"Bern Rhythm" って曲にはビデオがある)、サウンドの印象は 'ドリーミー'。ひとつひとつの音はエレクトロニックで無機質なんだけど、尖っているというよりは丸まってるっていうか、柔らかさを感じさせる質感で、すごくディープで幻想的な印象かな。

Teebs - 'Arthur's Birds' by BRAINFEEDER

ただ、大事なのは、決してヌルくはないってこと。メロウでディープな心地良さがありつつも、同時に絶妙なバランスでエッジも利いてて。個人的にはこのバランスが一番の肝で、巷によくあるアンビエントとかチル・アウト系とは、一見、似ているように見られがちだけど実は大きく一線を画す部分だったりする。ヌルすぎても満足できないし、エッジが利きすぎてても、それはそれでひとつの作品としてまとめるのが難しくなったりするので(どちらが好きかといえば圧倒的に後者だけど)。

"Long Distance" って曲だけギャビー・ヘルナンデス(Gaby Hernandez)がヴォーカリストとして参加してるけど、基本的にはインストゥルメンタルがメインで、全体の BPM は遅め。必ずしもビート・オリエンテッドな作風ではなくて、どちらかというと、緻密に配されたサウンドのレイヤーが全体として醸し出す音響空間で聴かせるようなアトモスフェリックなディレクションって言えるのかな。'グルーヴ' より 'ムード' って言葉のほうがシックリくる感じというか。アルバム全体を通じて心地良く聴き通せるし、全 18 曲で聴き応えも十分だし、なかなかの力作だな、と。

正直なところ、このアルバムを聴くまで全然、ノー・チェックだったんでバイオグラフィ的なことは詳しく知らなかったんだけど、ルックスは写真を見ての通り、なかなかクールな印象。

LA 出身で、音楽だけでなくペインティングなんかもやるアーティストで(アルバムのアートワークももちろん自分で手掛けてる)、しかも、音楽やペンティングに入れ込むキッカケになったのはスケートボードでの負傷だったらしいんだけど、そんなエピソードも、なんか、イメージにピッタリな感じで印象的な佇まいだったりする。

LA 周辺のアンダーグラウンド・シーンを支えてる非営利インターネット・ラジオのダブ・ラブ(dublab)でインターンをやってたこともあるらしく、その界隈でネットワークを築きながらキャリアを重ねてきたらしい。その後、フライング・ロータス(Flying Lotus)にフック・アップされてブレインフィーダー・クルーの一員になったようなんだけど、2009 年には金沢でペインティングの展覧会をやってたり、東京で行われたロー・エンド・セオリー(Low End Theory)にも出演してたりするんだとか。他にも、コ・フィー(Co. Fee)と一緒にベアーデッド・ベイビー(Bearded Baby)ってユニットをやってたりするらしい(トラックはコ・フィーが BTS のために作った無料ダウンロード可能なミックス、"ANDREW MEZA & CO. FEE BTS Co-Op Session 09.14.10" で聴くことができる)。

サンダーキャットの "The Golden Age of Apocalypse" のレヴューで「最近のブレインフィーダーのリリー スの充実ぶりがハンパじゃない。あらためてチェックしてみたら、このブログでは全然レヴューしてなかった(ことに我ながら驚いた)んだけど、ここ数年のリリースの個人的な打率は相当高い」って書いたけど、ティーブスのこの "Ardour" はその代表格とも言える 1 枚で、リリースから 1 年近く経ってるけど、常に iPhone の中に常駐してるし、不思議と聴いてることが多い。まぁ、10 月末には来日するらしいし、ブレインフィーダーの充実っぷりからはまだまだ目を離せないって感じかな。




TEEBS "Ardour" (Brainfeeder) ★★★★☆ 
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp




* Related Item(s):

THUNDERCAT 'The Golden Age of Apocalypse
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フライング・ロータスやエリカ・バドゥ等の作品で知られるベーシスト、サンダーキャットのアルバム。

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