『ゲバラを脱神話化する』
. :太田 昌国 著(現代企画室) ★★★☆☆
ゲバラ関連の著作や監修作で知られる著者が、「英雄」というアイコンで単一のイメージの中に括られがちなゲバラ像を問い直す一冊。
こういう試みは、特に若死にしてしまったヒーローの価値をキチンと理解する上で避けられない(必要不可欠な)もので、そういう意味ではけっこう期待していたんだけど、読後の感想としては満足度と物足りなさが半々という印象。
満足したのは、ゲリラと(革命後の)軍事の在り方についての言及が思いのほか面白いこと。(ちょっと理想主義的過ぎな感じはあるにせよ)とても合点がいくし、すっかり忘れられてる潜在的な矛盾をダイレクトに指摘してて、ちょっとハッとさせられた。「戦争がない状態」という言葉でしか「平和」を定義できない現代では、当たり前のように無視されてる、とても大事なハナシ。
物足りなかった部分は、ヴォリューム。全 171 ページなんだけど、少なくとも倍、できれば 3 倍くらいのヴォリュームであって然るべきだし、そのほうが(適度に脱線を加えながら)読み応えのあるものになった気がする。着眼が面白いだけに残念。
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