『ビジョナリー・ピープル』
ジェリー・ポラス / スチュワート・エメリー / マーク・トンプソン 著
宮本 喜一 訳(工作舎) ★☆☆☆☆
「2007 年ベストセラー経営書」「世界 20 カ国で翻訳!」といった言葉が帯に踊る一冊。面白そうな感じもしなくはないけど、ウサン臭さも感じる。そんなビミョーな印象を持ってたんだけど、実際に読んでみて抱いた印象は残念ながら後者だった。しかも、かなり。帯には「名著『ビジョナリー・カンパニー』の著者が、10 余念をかけて、200 人以上の偉業を成し遂げている人々をインタビュー。彼らには、共通する 3 つの要素があった!」とも書いてあるんだけど、ここでウサン臭さを感じ取るべきだった感じかな。
名著とされてる『ビジョナリー・カンパニー』は未読なんで何とも言えないけど、せっかく 200 人以上にインタビューしてるのに、それを全然活かせてない印象かな。正直なところ。
せっかく、リチャード・ブランソン、ネルソン・マンデラ、ダライ・ラマ 14 世、ランス・アームストロング、ビル・ゲイツ、ジミー・カーター、U2 のボノ、クインシー・ジョーンズ、スティーブ・ジョブズ、エスター・ダイソン、エリック・シュミット、イヴォン・シュイナード等、すごいメンツに話を聞いてるんだけど、「これだけの人に話を聞いておいて内容はこれかよ」っていうのが正直な印象。まぁ、ちょっと穿った見方をすると、著者の考えに合うような、有名人の発言を抜粋・引用して説得力を持たせようとしてるだけにも読めちゃう。どういう文脈でそういう発言をしたかに触れずに一部だけを取り出して使うようなやり方は信用しにくいし、それを「共通する 3 つの要素」みたいなカタチで単純化することはすごく危険だと思うし。アメリカの(及びアメリカナイズされた)ビジネス書にありがちな感じだけど、物事を必要以上に単純化してわかったような気になってるだけにしか見えない。そんな単純な話じゃないだろ、と。
ちなみに、原題は "Success Built to Last: Creating a Life that Matters"。ちなみに、『ビジョナリー・カンパニー』の原題は "Built to Last"。これを「ビジョナリー」と訳すのはかなり意訳だし、多分にマーケティング臭もするけど、『ビジョナリー・カンパニー』は続編やら特別編やらまで出てる(つまり、人気がある)らしい。気持ち悪い世の中だ。
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