2008/06/29

Minds in space.

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 17 巻 ララァ編・前
 安彦 良和 著(角川グループパブリッシング)  Link(s): Amazon.co.jp

月刊『ガンダム A』で 2001 年から連載している安彦良和先生による描き下ろしリライト版のファースト・ガンダム『THE ORIGIN』の最新刊。「ララァ編」とある通り、遂に再び舞台は宇宙、ニュータイプとしての覚醒が著しいアムロがララァと出会い、物語はいよいよクライマックスへと向かう、という辺りが描かれてます。

このオリジンは、ファースト・ガンダムのキャラクター・デザインと作画監督を務めていた安彦先生が、あらためてそのストーリーや細かい設定を見直し・再解釈・再設定しながら描いている作品で、アニメ版や映画版との変更点も多く、初めて語られるエピソードも多い。特に開戦前からガンダム登場までの時期を描いた 9 巻10 巻の「シャア・セイラ編」、11 巻12 巻「開戦編」、13 巻14 巻の「ルウム編」は読み応え十分。

今回の 17 巻では、安彦先生らしい微妙な表情や間を活かした細かい人物描写や心理演出が特に光ってて、言ってみれば安彦節が冴え渡ってる。アムロとララァのやりとりとか、ブライトとミライのやりとりとか、こういう微妙な心の揺れ動きを描かせたら、やっぱり安彦先生はピカイチ。そういう意味では、派手な部分はそれほどないものの、かなりジワジワとくる渋好みな一冊。

物語の完結までは最低でもまだ数巻はかかるはずで、まだまだこの幸せな時間を過ごせる幸せを噛み締めながら、安彦先生の健康をただただ祈りたいな、と。福井晴敏による『機動戦士 ガンダム UC』とともに、これぞまさに「オトナのガンダム」と呼ぶのが相応しい。


『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』既発巻:

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