2008/12/22

Power of design.

OBAMA '08 Campaign Logo (OBAMA FOR AMERICA) 

ずっと気になってたバラク・オバマの大統領選挙キャンペーンのロゴ。シンプルで、でも印象的で、いい意味で大統領選挙っぽくなくて、でも、必要以上に奇をてらってなくて、秀逸だなぁと思ってたんだけど、最近、デザイナーが誰だったのかがわかり、インタビューなんかも発見した(友だちが教えてくれた)んで、備忘を兼ねて。

このロゴをデザインしたのは、ソル・センダー(Sol Sender)を中心とするプロジェクト・チーム。ソル・センダーは、デジタル・ブランド・コンサルタント&デザインを手掛けるセンダー LLC(Sender LLC)の主宰者であり、最近、VSA パートナーズ(VSA Partners)にストラテジストとして加わったという人物。センダー LLC と VSA パートナーズがどういう関係なのか、ソル・センダーがそれぞれとどういうカタチで関わってるのか、その辺の事情はイマイチ見えてこないんだけど、まぁ、とにかく、ソル・センダーと、彼の同僚のアンディ・キーン(Andy Keene)とアマンダ・ジェントリー(Amanda Gentry)の 3 人でデザインしたってことらしい。

ニュー・ヨーク・タイムズのサイトにテキストで、VSA パートナーズのサイトにビデオでソル・センダーのインタビューが公開されてるんで、詳細はそちらを参照って感じなんだけど、まず、気になったのは、彼らがすぐにオバマの著作 2 冊を読んだってこと。やっぱそうだよな、と。そこをサボっちゃダメ。そこから核になるアイデアを抽出して、グラフィック・デザインに落とし込む、と。当たり前のことだけど、すごく大事。

彼らが抽出したのは、「チェンジ」や「ホープ」だけじゃなくて、「ブルー・ステイトでもレッド・ステイトでもなく、ひとつの国家(not red and blue states, but one country)」ってオバマのメッセージ。彼ら自身は、これまでに大統領選挙キャンペーンのアート・ディレクションは手掛けたことはなかったし、オバマのイメージを考えても、これまでの大統領選挙キャンペーンとは違う新しいことをしたいっていう考えはあったけど、同時に新しすぎないように気を付ける意味でも赤・青・白等のトラディショナルな要素を残しつつ、タイポグラフィなしのロゴ単体でも成立するものにしようとしたんだという。その結果として、地形線から昇る太陽と「新しい政治の夜明け」のイメージをダブらせるカタチで、最終的なデザインに落ちついたらしいんだけど、そのプレゼンテーションのひとつとして見せた、ジャケットの襟にロゴのバッジを付けた写真(ビデオの中に出てくる)が秀逸で、これを見ると、彼らが当初から抱いてたイメージが見事にカタチになってるのがわかる。

このロゴにはすごくたくさんのヴァリエーションがある('Women for Obama' とか 'Latinos for Obama' とか。オバマのオフィシャル・サイトからデータがダウンロードできる)んだけど、彼らが手掛けたのは基本ロゴだけで、ヴァリエーションはオバマ・サイドで作ってたらしい。こういうカタチで、自分の手を離れていろんなカタチで使われることに関しては、正直、ビミョーな心境だったらしい(その気持ちはすごくわかる)けど、実際にどんどんといろいろなカタチで幅広い運動(特にグラスルーツの活動)の中で使われて、「ウィルス的に」広まっていくパワーは予想を遥かに超えていて、嬉しい驚きだったとか。

やっぱり、こうして見てみると、あらためてデザインの持つ力を強く感じるし、クリエイティヴが現実的な活動、特に政治のようなもっともパブリックで社会的な部分で力を発揮してる辺りは、アメリカの底力というか、自分の国のことと比較すると羨ましい限りだし、トータルで見て、やっぱすごく秀逸だな、と。

あと、ビデオの中でボツ案も見れるんだけど、個人的には 'O' の字をマスクで抜いて、メッセージに合ったいろんな写真を使うってアイデアがすごく好き。

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