『クラウドの衝撃』
. :城田 真琴 著(東洋経済新報社) ★☆☆☆☆
こないだレヴューした『クラウド化する世界』に続いて、クラウドモノをもうひとつ。別にそれほど興味があったわけじゃないんだけど、『クラウド化する世界』は外人が書いた本だったんで、日本人が書いたモノも読んでみたほうがいいかな、と。いろいろ、ニュアンスとか捉え方が違ってて面白いんで。いい意味でも、悪い意味でも。この本を選んだ理由は装丁の印象だったりするんだけど。
アマゾンを見ると著者名が「野村総合研究所 城田 真琴」ってなっててちょっと(っつうか、かなり)ビックリしたんだけど、まぁ、その通り、著者は野村総合研究所の技術調査部の主任研究員の城田真琴氏。そうは言っても、別に知ってるわけじゃないんで、特に何ってわけじゃないけど。ただ、そこをそんなに強調したいのか?! って思っただけで。まぁ、読んでみたら、なんで今まで知らなかったのか、わかったような気もしたけど。
どういうことかっていうと、個人的にはあまり面白くなかったから。あぁ、こういう感じだったら、これまでに接点がなくても不思議じゃないな、って。わりと著名な人らしいんだけど。アマゾンのカスタマーレヴューを見ると、けっこう評判がいいっぽくてビックリしたんだけど、個人的には全然グッとこなくて、前半はともかく、中盤くらいからは読んでてドンドンテンションが下がってくのが自分で感じたくらい。一応、せっかくだから最後まで読もうと思って読んだけど、最後のほうは「早く読み終わっちゃわねぇかなぁ」って思いながら読んでた気がする。そこまでして読まなくてもよくね? って思ったりもするけど。我ながら。
「IT 史上最大の創造的破壊が始まった」って表紙には(サブ・タイトルとして?)書いてあるんだけど、読み終わった後にそんな印象は全然、受けなかったし。内容的には、主にアメリカのエンタープライズ市場での動きについて、グーグル、アマゾン、セールスフォース・ドット・コム等、いくつかの「クラウド・ネイティヴ」な事例を挙げながら、クラウド・コンピューティングの概要と主立った動きを説明してるんだけど、図が多かったり文章量が少なめだったり、なんかあんまり面白くない新書を読んでるような印象で。実際、すぐに読み終わっちゃったし。可もなく不可もなくっていうか、なんか、そういう印象しか残ってない。
なんだろう? ハナシ的に、わりとエンタープライズ的な視点のハナシに終始してるからなのかな。ちょっと狭いところを見て「スゴイスゴイ」って言ってるんだけど、つまんないロジックとデータを駆使するだけで、全然スゴイことを話してるようなエキサイティングな部分が伝わってこない感じ?『クラウド化する世界』のレビューでも書いた通り、個人的にはクラウドって、もちろん大きな動きではあるとは思うけど、多様性と可能性が広がって選択肢が増える以上のことではないと思ってるんで。「IT 史上最大の創造的破壊」って言われて納得できるような説得力は全然感じられなくて。
逆に、どんな人がこれを読んで満足するんだろう? って考えてみても、やっぱり新書的なモノを求めてる人なのかな、と。概要だけツルっと一通り押さえたい(わかったような気になりたい)人っていうか。別にビックリするようなことが書いてあるわけではないし、実際に運用するにしても、技術的な面でも、先のヴィジョンを描くって面でも、特にインスピレーションに富んでる感じはしないし。なんか、個人的には薄っぺらな印象は否めないかな。
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