"Of All The Things" JAZZANOVA (Verve) ★★★★☆
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オリジナル・アルバムとしては 2002 年の "In Between" 以来と、キャリアや知名度のわりに実はアルバムが少ない(コンピレーションやリミックス等は異常に多い)ジャザノヴァのセカンド・アルバムで、ジャズの名門・ヴァーヴからの 2008 年・秋のリリース。
ジャザノヴァはベルリンの 6 人組プロデューサー / DJ コレクティヴ。キャリアは長くて、90 年代半ば頃から(今となっては懐かしい)アシッド・ジャズ界隈で名前を見るようになって(名前自体がメチャメチャキャッチーだし!)、コンポスト / JCR での活動を通じて人気を博し、その後も自身のレーベル、ソナー・コレクティヴを拠点に、自身の作品だけでなく、リミックスやミックス CD、新しいアーティストの発掘・紹介など、コンスタントに活躍してきたアーティストで、個人的にも、90 年代半ばのデビューの頃からフォローしてきたアーティストなんで思い入れも強かったりする。
今作を一聴した印象は、いい意味ですごくフツーというか、オーソドックスというか、奇を衒ったようなインパクトはあまりないイメージ。悪く言うと地味というか、一聴して「ジャザノヴァだ」ってわかるような感じはあまりないのかな、と。特徴としてはフル・ヴォーカル・アルバムと呼んでも差し支えないくらいのヴォーカルトラックの多さで、前に最新アルバムをレビューしたドゥウェレやポール・ランドルフ、ベン・ウェストビーチ、ベンベ・セグエといった親密なアーティストからリトル・ブラザーの MC のフォンテ、さらにはソウル・レジェンドのレオン・ウェアまでフィーチャー、さらにアジムスまで参加しててゲストもすごく豪華。
サウンド的にはジャズ〜ソウル〜ブラジルなディレクションで、これまでの路線から大きくズレてるわけではないけど、ひとつひとつのプロダクション・クオリティは高くて、聴いてるとジワジワくるし、アーティストとしての成熟みたいなものを感じさせる。それがいい意味でのオーソドックスさにもなってるし、逆にパッとわかりやすく耳を魅くキャッチーさに欠ける感じに繋がってるのかも。だから、もともと顔の見えにくいジャザノヴァの存在感がよけいにつかみにくくなってるのかもしれないけど、派手さよりもクオリティを優先してる感じで、それもある意味、すごくジャザノヴァっぽいのかな、と。裏方っぽいというか、渋好みっていうか。ユニット名はメチャメチャキャッチーなのに。
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