『earth code』 Generation Times 編・著 (ダイヤモンド社) ★★★★☆
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何の予備知識もなく、書店の店頭でたまたま目にして手に取って、そのままの勢いで読み切っちゃった一冊。結論から言うと、かなりツボな一冊だった。まぁ、一言で印象を言っちゃうと「オトナの絵本」って感じかな。
まぁ、何に魅かれたって、まずはタイトル。'earth code' って語感が抜群。こういうのには、たぶん、人より敏感(過敏?)だと思うので、こういうのにはめっぽう弱い。まぁ、多分に主観的且つ感覚的な部分だからどこがどういいとかってハナシじゃないんだけど。文字通り、「語感」なので。次に装丁・デザイン。やっぱり、モノとしての魅力があるし、つい手が伸びる。最近(ここ 1 年くらいかな?)、なるべく本屋に行くようにしてる(っつうか、かなり無闇に行ってる気がする)んだけど、やっぱり、こういう出会いは現場でしか起こらない。通販でも起こらないし、イマイチ違和感のある「電子書籍」でも起こりにくいだろうことは容易に想像がつく。そして、すごく大事なことな気がする。だって、今、あらためてアマゾンとセブンネットショッピング(スゲェネーミングだな、しかし)の製品ページを見てみたけど、全然魅かれないし(っていうか、アマゾンにメールでオススメされてたけど、魅かれてなかったし)。
ハナシがちょっと逸れちゃったけど、構成的には、フル・カラーで写真やイラストレーションを全面的にフィーチャーしたすごくグラフィカルな作りで、でも、読む部分もそれなりにあるって感じの作り。イメージ的にはアル・ゴアの『不都合な真実』に似た印象かな。書籍とも写真集とも呼びにくい感じなんだけど、このサジ加減がすごくツボで。つまり、タイトルとか内容が良くて、グラフィック / エディトリアル・デザインも良い。まぁ、当たり前っていえば当たり前なんだけど、その当たり前をキチンとクリアしてるモノってそれほど多くないんで。
内容は、「まえがき」の「時代は 21 世紀に入って、ぼくは大人になって、宇宙の映像にも慣れてしまった頃、気がつけば「地球にやさしく」「地球が泣いている」、こんなフレーズが世の中に溢れていた。 (中略)もうそろそろ、気がついてもいい頃だと思う。地球は泣いてもいないし、笑ってもいない」って言葉に象徴される通り、昨今の胡散臭くてバブリーなモノが蔓延している「エコ」的な動き(もちろん、すべてではないけど)とは確実に一線は画してて、まぁ、警告っていうほど強い口調ではないけど、それよりも「もうちょっとマトモに、真っ当に考えよう」ってスタンスでまとめられてる(ように思える)地球のハナシ(=環境や人間のハナシ)。まぁ、サブ・タイトルに「46億年のプロローグ」なんて付いてるくらいで、かなり壮大なスケールで、多岐に渡ってる。内容については、このインタヴュー記事がわかりやすいんで、興味があれば参照してもらえればって感じだけど、個人的には「地球にやさしく」的な論調にメチャメチャ違和感(と胡散臭さと危機感)を感じてるんで、そういう意味ではかなりシックリくる感じ。
グラフィック(写真やイラストレーションやエディトリアル・デザイン)でシッカリ見せる感覚は、これって何だろう? って思ってたんだけど、たぶん、一番近いのは絵本かな。いい意味で。文章だけだとけっこう難しいし、絵だけだと言葉足らずなんだけど、お互いがお互いをいい感じで補い合ってる。まぁ、細かい部分では、個人的にはちょっとビミョーなところもないことはないけど(例えば、こどもを視野に入れてるにしては難しいし、オトナ向けならもうちょっと詳しくてもいいかな? とか)、全体としては、内容的にもかなり好みだし、何のストレスもなく一気に読めちゃった。特に写真のセレクトとか、バッチリだし(そういうところも『不都合な真実』に似てるかな)。
編者は「新しい時代のカタチを考えるジャーナル・タブロイド誌」の『GENERATION TIMES』が手掛けてるんだけど、この『GENERATION TIMES』は知らなかったし、見たこともなかったんで、何の先入観も予備知識もなしで読んだんだけど、サイトを見る限りわりと面白そうなんで今度チェックしてみようかな、と(かなり扱いにくいフラッシュ・サイトなのは、正直、どうかと思うけど)。まぁ、監修を務めてるのが Think The Earth Project の本なんかも手掛けてる山本良一氏だって知って、「あぁ、なるほど」って思ったんだけど。
まぁ、文章量は多くないんで、すぐに読み終わっちゃうんだけど、内容自体は結構ディープなんで、なんだかんだいって、今後もことあるごとにちょこちょこ見ちゃう感じはしてたりして。ちなみにこれは 3 部作の第 1 弾で、「心・技・体」の「体」にフォーカスしてるんだとか。残り 2 冊もフツーに楽しみ。いつ出るんだろ?
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