2010/06/17

A real good thing going.

MICHAEL JACKSON / JACKSON 5
"HIROSHI FUJIWARA & K.U.D.O. Presents
 MICHAEL JACKSON / JACKSON 5 Remixes" (Motown) 
 Link(s): Amazon.co.jp

モータウン時代のマイケル・ジャクソンの音源(もちろん、ジャクソン 5 も含む)を藤原ヒロシ+ K.U.D.O. の両氏がリミックスした、っていうだけで、もう、悔しいけど(なぜ悔しいかは不明)クオリティ的には間違いないことは予想がつくんだけど、その予想を決して裏切らない出来映えの、まさに至福の 1 枚(っつうか 2 枚)。ちょっと前にゲットしてレヴューし忘れてたんだけど、その間に何回聴いたかわかんないくらい繰り返し聴いてる、まさにヘヴィー・ローテーションの 1 枚。結論から言うと、これはヤバイ。

先に説明しておくと、「っつうか 2 枚」ってのは、初回限定盤のみダブ盤が付いた 2 枚組で、このダブ盤の出来映えが素晴らしいから。まぁ、一応、通常盤も出てるし、iTunes Storeでも売ってるけど、コレに関しては、悪いこと言わないから初回版をゲットしとくべき。間違いない。

もともとは "Soul Source Jackson 5 Remixes 2" っていう、2001 年のジャクソン 5 / マイケル・ジャクソン・リミックス盤に収録された両氏の "Ben" のリミックスがベースになってるらしくて(他にも、DJ スピナや 4 ヒーロー等のリミックスが入ってて、パート 1 にはケニー・ドープや MURO 等のリミックスが収録されてる)、9 年の時を経て、その "Ben" のリミックスを膨らませるようなカタチで実現したのがこの企画だ、と。

なんか、周りの人(特に若い子)と話してると、藤原ヒロシさんと音楽ってイマイチイメージが結び付かない人もいたりするらしい昨今だけど(実際、それほど多作ではないし、他のことをいろいろやってるし)、まぁ、もちろん日本初のヒップ・ホップ・レーベル / プロダクションであるメジャー・フォースのオリジナル・クルーなわけで(K.U.D.O. さんもその 1 人)、個人的にもけっこうツボな作品の多い人だったりする。例えば、TOKYO NO.1 SOUL SET の川辺ヒロシさんとのユニットで作った "HIROSHI II HIROSHI VOL.1" とか、"MELLOW WORKS OF HIROSHI FUJIWARA" に入ってる小泉今日子の『やつらの足音のバラード』(ムッシュかまやつクラシック! 『はじめ人間ギャートルズ』!!)とか大沢伸一さんとの共同プロデュースでクリスタル・ケイをフィーチャーした "Lost Child" とか、数えればキリがない感じ。それくらい音楽プロデューサーとしての藤原ヒロシさんはかなり好きで、けっこうマメにチェックしてきたんだけど、このアルバムもその中に間違いなく入る感じ。

作風としては、オリジナルのマルチ・テープを使って、レゲエ / ダブ的なディレクションでリミックスしてるんだけど、レゲエ / ダブにすることを前提で選曲したらしく(ソースは HMV のサイトのインタヴュー。但し、"I Want You Back" 以外とのこと)、わりと渋い曲も選ばれてるんだけど、すごく音が自然に馴染んでて、しかもキチンとヴォーカル・トラックとして成立してる。さすがに、日本にリミックスって言葉がまだ浸透してなかった時代からリミックスを手掛けていた 2 人だけのことはあるなって感じ。

特に、オリジナルの音源(どちらの意味にも取れちゃうけど、新たに足した音ではなく、モータウンのマルチの音という意味)に使い方が素晴らしい。今では「リミックス≒リプロダクション」って意味になっちゃって久しい感があるけど、本来の意味でのリミックス(+リエディット+アディショナル・プロダクション)ってモノをキチンと踏まえたプロダクションでありながら、オリジナルとは違うテイストでオリジナルの持つ魅力を損なうことなく再構成してる手腕はさすがの一言。リミックスの本当の意味をろくに知らないプロデューサーも多い昨今だからこそ、こういう作品の存在はすごく貴重だと思うし。いろんな意味で。簡単そうで、メチャメチャレベルが高いし、センスが要求されるから。あと、普通にマイケル・ジャクソンのシンガーとしての素晴らしさを再認識させられるし。チープな表現だけど、まさに天使のような歌声。それもプロダクションがいいからこそなんだけど。

それだけでも素晴らしいんだけど、初回限定盤は、それをダブ加工したスペシャル・ディスク付きで、これがまた、すばらしい出来で。初回限定とか、もったいなさすぎな感じ。ダブっていう空間音響のアート・フォームを、ジャマイカともイギリスとも違うカタチで表現することに関してはピカイチのセンスとスキルを持つ両氏の手にかかれば、まぁ、出来が悪いわけがないんだけど。まぁ、至福のサウンドであることは間違いない。

個人的にツボだったと言うか、嬉しいポイントとしては、「モータウン時代のマイケル・ジャクソンの音源」ってこともあるのかな。前にも書いた通り、個人的には「マイケル・ジャクソン=ソウル / R&B のシンガー・ソングライター」、つまり、ジャクソン 5 〜ソロ初期 "Off the Wall" 辺りまでな印象なので、そういう意味でもバッチリだった。マイケルのリミックスだのカヴァーだのミックスだのはたくさんあるけど、まとまった作品集としてはピカイチ。単独の曲だと、"Rock With You" の Q ティップ・リミックスと DJ マーキー(なのかな?)のドラムンベース・リミックスも好きだけど

まぁ、他にも、マニアックな部分としては、Logic だけで制作されたってところも興味深いけど。その辺は
Sound & Recording Magazine 2010 年 07 月号』で 2 人でインタヴューに応えてるんだけど、なかなか読み応えあり(特に K.U.D.O. さんのインタヴューってなかなか読む機会がないし)。

あと、忘れちゃいけないのがアートワーク。スゲェいい写真だし、
シンプルだけど味わい深い感じで、レゲエっぽくないような、でも、レゲエっぽいような、でも、なんか作品のないようにピッタリで。ダブ盤の潔い感じもバッチリだし、かなり秀逸なんじゃないかな、と。

このブログは、基本的にはあまりタイムリーさは気にしてなくて、ログとしてアーカイヴされてることを重要視してるつもりなんだけど、コレに関しては例外(のわりにリリースから時間が経っちゃってるけど)。初回限定盤が手に入りやすいうちにゲットしといたほうがいいんじゃないかな、と。


* THE JACKSON 5 "La La Means I Love Yous"
(From "
HIROSHI FUJIWARA & K.U.D.O. Presents MICHAEL JACKSON / JACKSON 5 Remixes")




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