2010/10/09

Nutopian minds. Nutopian people.

JOHN LENNON "Mind Games" (Apple / EMI)
Link(s): Amazon.co.jp / iTunes Store

今日、10 月 9 日はジョン・レノンの誕生日。1940 年生まれなので生誕 70 年ってことになる。なので、"Happy birthday, John" ってことで、ジョン・レノンのアルバムを。

この "Mind Games" は 1973 年リリースで、ザ・ビートルズ解散後にリリースした 4 枚目のソロ・アルバム。たぶん、一般的には、ジョンのアルバムの中でそれほど人気があるアルバムではないと思うんだけど、個人的には一番好きな 1 枚だったりする。

サウンド的には、わりと落ちついた印象というか、わりと穏やかなサウンドが特徴で(ロック的な激しさがあるのは "Tight A$" と "Meat City" くらいかな)、詳しくは知らないけど腕利きのセッション・ミュージシャンたちとレコーディングしたらしく、演奏の洗練されてるというか、安定感が感じられて、緩い曲はいい意味で AOR っぽかったりもする。いわゆる 'ロックっぽいモノ' を求めてるファンには、ある意味、一番扱いに困るアルバムなのかも。

では、なんで個人的に一番好きかっていうと、単純にいい曲が多くて、アルバム全体としてすごくいいバランスでタイトにまとまってる感じがするから。'いい曲' ってのは、当然、メロディ・リリック・演奏のトータルでってことなんだけど、タイトル・トラックの "Mind Games" を筆頭に、"One Day (At a Time)" とか "Out of the Blue" とか "I Know (I Know)" とか "You Are Here" は、あまり語られることはないけど、すごくジョンらしい美しいラヴ・ソングだし、"Bring on the Lucie (Freda Peeple)" もジョンならではのストレートなメッセージ・ソングだし。リリックもストレートでありながら、随所にトンチが効いててユーモラスだし。

まぁ、タイミング的にも、ザ・ビートルズ解散〜ソロ初期の一連のラディカルな活動が一段落して落ちついた時期だったってことも言えるのかもしれないけど、いい意味ですごくリラックスした感じが、今、あらためて聴くと心地良かったり。

ちなみに、リリース当初、日本で付けられた邦題は『ヌートピア宣言』で、アートワークには以下のような 'ヌートピア' という架空の国家の設立宣言が載ってたりした("Nutopian International Anthem" っていう 6 秒間の無音の曲が収録されてて、その間に想像した曲が国歌なんだとか)。

We announce the birth of a conceptual country, NUTOPIA. Citizenship of the country can be obtained by declaration of your awareness of NUTOPIA. NUTOPIA has no land, no boundaries, no passports, only people. NUTOPIA has no laws other than cosmic. All people of NUTOPIA are ambassadors of the country. As two ambassadors of NUTOPIA, we ask for diplomatic immunity and recognition in the United Nations of our country and its people.


もちろん、ジョン・レノンのディスコグラフィは名盤揃いだし、あえて「このアルバムが最高だ!」って声高に主張する気は全然ないんだけど、まぁ、あまり注目されることが多くないこのアルバムをあえて取り上げてみるのもいいかな、と。特に "Mind Games" のリリックとか、今、聴くとちょっとドキッとしたりするし。パンチライン満載というか。

JOHN LENNON (Oct 9, 1940 - Dec 8, 1980) - Happy birthday and rest in peace.
あと、ジョン・レノンって人自体も、もちろん、昔からすごく好きなんだけど、今、あらためて考えてみるとメチャメチャ興味深かったりもするし。だって、誰よりもラディカルでピースフルなメッセージをユーモラスに表現して伝えることを得意としていたアーティストのひとりだから。インターネットやメール、ブログ、ツイッター、SNS なんかがある今の時代に生きてたらどんな使い方をしてるんだろう? って想像するだけで楽しいし、時代やツールの特性を超えた何かが見つかるような気もしたりして。


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