2008/04/30

Radical business.

ザ・ボディショップの、みんなが幸せになるビジネス。アニータ・ロディック 著 
トランスワールドジャパン) 
 
ボディ・ショップの創業者で、昨年 10 月に亡くなったアニータ・ロディックの著書。個人的には、ボディ・ショップ自体には特別に思い入れを持ってるわけじゃない(コスメティックとか、あんまり使わないし)けど、ブランドとしてはわりと好きだし、ちょっと前に『デモクラシー・ナウ』で彼女のインタビューを観て(字幕なしの動画はここで観れる)ちょっと興味が出たので読んでみた。

デモクラシー・ナウのインタビューでも感じたんだけど、思った以上にラディカル。実際に交流もあるらしいけど、パタゴニアのイヴォン・シュイナードの『社員をサーフィンに行かせよう』にも通じる、かなりラディカルで一貫した主張はすごく好感持てる。原題は "Business As Unusual" なんだけど、まさにそのタイトル通りで、期待以上の内容。また、女性の視点から描かれている点も新鮮。つい、うっかり、見過ごしがちなことが多いので。かなり示唆に富んだ一冊。

ここ何年か、読んでいて引っかかったところに細い透明のポストイットを貼ってるんだけど、最近読んだ中だとポストイットの数はかなり多い部類に入るんで、ラディカルな広告や「行動主義は、この惑星に住むための家賃である」から「トイレは素晴らしいコミュニケーションの場だ」(グーグルの ToTT に似てる)まで、ポストイット貼りまくり。

特に引っかかったのはセルフ・エスティーム(self-esteem:自尊心)について。最近特に軽視されていて、でもすごく大事なこと。こういうことを明確に、強く打ち出すことで得られることは、きっと多い。

唯一、シックリこないのが日本語タイトルと帯のキャッチコピー。著者の写真がドーンと出てる原書に比べると、装丁デザインは頑張ってると思うけど、「ザ・ボディショップの、みんなが幸せになるビジネス」ってのはどうか、と。サブ・タイトルならまだアリだけど、タイトルにしちゃうと本の印象がだいぶ変わっちゃう。印象を柔らかくして手に取りやすくしようとしてるんだと思うけど、読者にとっても著者にとっても良い結果をもたらしてるのか、ビミョーな気がする。一瞬、相当ウサン臭い印象を与えるから。原題の "Business As
Unusual" で良かったんじゃね? それと比べると、帯のキャッチは、帯自体の特性を鑑みれば、まぁ、100 歩譲れば許容範囲かな。

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