Q-TIP "The Renaissance" (Universal Motown) ★★★★★
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ソロになってからはなかなかコンスタントにリリースがなかったものの、ブートレグが出回ったためにお蔵入りになった 2002 年の(文字通り)隠れた名盤 "Kamaal the Abstract" や、本作の前哨戦とも言われたインディ盤 "Abstract Innovations"、さらには多くの客演などで、ア・トライブ・コールド・クエスト(ATCQ)時代から変わらぬ存在感をシーンに放っている Q ティップが満を持してリリースしたニュー・アルバム。リリース日は大統領選挙が行われた 11 月 4 日だし、タイトルも含めてちょっと意味深な感じ。
MPC2000XL を顔の前に掲げたアートワーク・カバーからも推察できるように、ソロ以降、積極的に推し進めてきたライヴ・サウンドに加えて、ATCQ 時代に冴え渡ってたサンプリングも復活。これはファンとしては嬉しいニュース。とは言え、本質はそんなことじゃなくて、まず何より、というか、もう、理屈抜きでサウンドが素晴らしい。とても心地いいグルーヴとソウルフルなサウンド。生演奏なのかサンプリングなのかなんて方法論はどうでも良くて、そういった方法で作られたサウンドがオーガニックに融合してること、そして結果として鳴ってるサウンドが素晴らしいことこそが一番大事。ラファエル・サディークやディアンジェロといったゲストとの相性も間違いないし、ちょっと意外なところではノラ・ジョーンズとの共演もいい感じ。もちろん、ジェイ・ディー(a.k.a. J・ディラ)の死の直前に制作されたトラックも抜群。MC としての彼の魅力ももちろん健在で、心地いい声質とフロウも含めて、これぞヒップホップであり、これぞソウル・ミュージックと呼ぶに相応しい仕上がり。"Abstract Innovations" のレビューで「まだまだ先がありそうなので」と書いたけど、その期待をまったく裏切らない、文句なしで ★ x 5 の出来映え。
ちなみに、アルバムのファイナル・トラック "Shaka" は当初、バラク・オバマの "Hope is not blind optimism ..." って演説の一部をフィーチャーしたヴァージョンでリリースする予定だったとか(結局、このヴァージョンはアルバムには収録されてないけどここで聴けたりする)。オバマの演説の素晴らしさは前のエントリーで書いたけど、ひとりのアフロ・アメリカンとして、Q ティップもオバマに強くシンパシーを感じてるとインタビューで語ったりもしてる。
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