2008/12/13

Universal mic control.

COMMON "Universal Mind Control" (Geffen) 
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

「1972 年生まれのソウル好き」という共通点から勝手に親近感を抱きつつ、常にパーソナル・フェイヴァリット MC のトップ 3 に入っている 'シー・オー・ダブル・エム・オー・トゥ・ザ・エヌ' ことコモンの 8 枚目のアルバム。当初は "Invincible Summer" というタイトルで夏前にリリースされる予定だったのが、延びに延びて結局リリースされたのは 12 月に入ってから。タイトル・トラックを最初に聴いてからは、もうけっこうな時間が過ぎた段階でやっとリリースされた。

ネプチューンズ・プロデュースのタイトル・トラック "Universal Mind Control" のビデオ(監督はハイプ・ウィリアムズ)を観て(聴いて)ある程度予想できた通り、全体の方向性は「いわゆるヒップホップ」の枠からは逸脱したような、エレクトリックでデジタルでハイテックなサウンド・プロダクションで、「変化球を連投」したような印象の、ちょっと不思議な感じのアルバム。ポップであるとも言えるし、ダンサンブルでもある。サウンドとは相反して(?) メッセージは直球。この辺は好みのよってかなり賛否が分かれるところだと思われる。個人的にも、"One Day It'll All Make Sense"(Link: Amzn)とか "Be"(Links: iTS / Amzn)のようなオーガニックなトラックとの相性抜群なフロウが好きだったりするんで、ちょっと複雑な心境だし。

ただ、出来が悪いのかっていうとそんなこともなくて、"Yes We Can" に参加してることからもわかる通り、オバマ支持を表明してる彼がオバマからインスパイアされて作ったという "Changes" なんかは、これまでにありそうでなかった、いい感じにゆるくてピースフルなムードのトラックにのって、ポジティヴなメッセージを気持ちいいフロウで聴かせてて、なかなかの名曲だったり。

ただ、アルバムをトータルで見たときに、"One Day It'll All Make Sense" とか "Be" のように常に iPod に入ってるようなアルバムか、何年にも渡って何度も繰り返し聴きそうなアルバムかっていうと微妙なのも事実。でも、忘れちゃいけないのは、彼は MC であってプロデューサー / トラックメーカーではないってこと。今までも、いろいろなプロデューサーと組んで、いろいろなスタイルにトライして自分の可能性を探ってきてて、例えば "Electric Circus"(Links: iTS / Amzn)とかはそうだと思うし、チャレンジを恐れずに試行錯誤を繰り返しながらキャリアを積んできたアーティストなわけで、浮き沈みの激しいヒップホップの世界でこれだけコンスタントにアルバムをリリースし、キャリアを積み重ねられてるってことはすごく素晴らしいことだし、もっと評価されるべきだとは思う。

それにしても、okayplayer.com とかでインタビューが観れたりトラックが聴けたりするって、あらためてスゴイ時代だなぁ、と感じる。ついつい当たり前だと思っちゃうけど、こんな環境が整ったのってコモンで言えば "Be"くらいからだし。それ以前は一生懸命雑誌(特に海外の)を読んだり、インターネットでもテキスト・ベースの情報を追いかけてたし。"One Day It'll All Make Sense" とか "Like Water for Chocolate"(Links: iTS / Amzn)を聴き直すとその頃が思い出されたりして、ちょっと不思議な感じもする。

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