2008/12/14

Natural music classics.



"3 Years, 5 Months & 2 Days in the Life Of ..." / "Unplugged" / "Zingalamaduni"

. ARRESTED DEVELOPMENT(Chrysalis)

1992 年にデビューして、そのオリジナルなサウンドとスタンスで一世を風靡したヒップホップ・ユニット、アレステッド・デヴェロップメント。別に今、再評価の気運が高まってるわけでも何でもない(と思う)し、ヒップホップの歴史の中でどう評価されてるのか全然知らない(興味もない)んだけど、個人的にすごくシックリきてるというか、あらためてグッときてたりするんで、あらためてレビューを(ただ、1992 年の衝撃のデビュー・アルバム "3 Years, 5 Months & 2 Days in the Life Of ..." と 1993 年のライヴ盤 "Unplugged"、1994 年のセカンド・アルバム "Zingalamaduni" の 3 枚に関してってことで、スピーチのソロ以降の再結成作品は対象外。キチンと聴いてないので。日本ではやけに大ヒットしたスピーチのソロ作はキライじゃなかったけど)。

ギャングスタ・ラップ全盛で、LA と NYC を中心に回ってた 90 年代初頭のヒップホップ・シーンに、ヒップホップ不毛の地と思われてたアトランタから突然変異的に現れたインパクトも相当なもんだったし、アフロセントリックなルックスとリリックやオーガニックでブルージーなサウンド・プロダクションもフレッシュだったし。特にスライ & ザ・ファミリー・ストーンの "Everyday People" を大胆にリメイクした "People Everyday" や衝撃的だったデビュー・シングル "Tennessee" 等は時代を代表するトラックだと思うし、この 2 曲が収録された
"3 Years, 5 Months & 2 Days in the Life Of ..." でグラミー賞のベスト・ニュー・アーティストも穫ったりしてた。"Unplugged" もヒップホップ・ユニットととしては異例の出演だったし、"Zingalamaduni"からはスパイク・リー監督の映画マルコム X』のサウンドトラックに "Revolution" を提供したりと大活躍だった。

ただ、今、個人的にすごくシックリきてるのは、別にノスタルジーでもなんでもなくて、オーガニックな(でも、ヒップホップな)サウンドだったり、コンシャスなメッセージだったり、メンバーに「スピリチュアル・アドバイザー」としてババ・オジェイって老人がいたりするユニットとしての在り方だったり、そういうモノを全部ひっくるめて、今、すごく、シックリくるってこと。しかも "Zingalamaduni" に収録されてる "In the Sunshine" とか "Praisin' U" とか、どっちかっていうと地味な曲が。特に "Praisin' U" がすごくグッとくる。それは、上手くイメージが伝わるかわかんないけど、ヒップホップとしてっていうより、ベン・ハーパーやジャック・ジョンソンとかに近い感じで。ゆるくてナチュラルでオーガニックでアーシーな気持ちいいグルーヴというか、なんか、そういうサウンドとしてすごくシックリくるし、今聴いてもすごくフレッシュに感じる。

キッカケは、例えばジェリー・ロペスの『サーフリアライゼーション』みたいな本を読むときにどんな音楽を聴こうかなって思ったことだったり、こないだレビューしたコーネル・ウェストの『人種の問題』の原書が発売された時期について考えたことだったり、一件無関係ないろんなことが、偶然か必然か、似たような時期に気になりだしたからなんだけど、もっと言うと、都市型なライフスタイルから脱却したいと思うようになるにつれて、そこで鳴っているべき音楽も変わってきてるってことなんだろうな、と。

あと、自分がリアルタイムで聴いてきたモノの中で、しばらく聴いてなかったモノが、あらためて新鮮に聴こえてくるって、なんか不思議な感覚だったりもする。

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