2009/02/05

The sound of good, old days in Tokyo.

はっぴいえんど "街風ろまん"(URC Records)
Link(s): iTunes Store 

最近、ちょっと訳あって久しぶりに聴き直してみたら、やっぱり、あまりにも素晴らしかったんで、あらためてレビューを。

はっぴいえんどといえば、細野晴臣・大瀧詠一・鈴木茂・松本隆という、後の日本のポップ・ミュージック史に大きな功績を残すことになる 4 人のアーティストが組んでた、まぁ、控えめに言っても奇跡のようなバンドなわけで、一応、歴史的には「日本語ロック論争」(「日本語でロックはできるのか?」的な試行錯誤と論争があったらしい)に決着をつけたのがこのアルバムってことになってるらしくて、ことあるごとに名盤として紹介されてる。アートワークも相当インパクトが強い。諸手を挙げてカッコイイって言えるかっつうと、ちょっとビミョーだけど。

そうは言っても、リリースは 1971 年だから、もちろん、リアルタイムじゃない(まだ生まれてないし)。初めて聴いたのは大学の頃だったかな? 個人的には大瀧派だった。一連のナイアガラ関連の作品はすごく好きだったんで。YMO ももちろん聴いてたけど、当時はあまりテクノっぽいサウンドが得意じゃなくて、人並み以上に YMO に入れ込んでたわけじゃなかったんで、細野さんには過剰に反応はしなかった。ただ、だからこそ、はっぴえんどのサウンドには、逆の意味でビックリしたけど。松本さんは歌謡曲の作詞家の人って印象だったし。むしろ、かせきさいだぁのサンプリング・ネタって認識のほうが強かったり。

サウンドは 60s・70s フォーク〜アメリカン・ロックをベースにしつつも、単なるモノマネでもないし、張り切りすぎたり頑張りすぎてもなくて、キチンと体内に取り込んで、自分の血肉にしてるような、とてもシックリくる仕上がり。あと、やっぱり、歌詞の世界観が抜群。最近、TV CM でも使われてた『風をあつめて』とか、ソフィア・コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』の挿入歌として使われた(かせきさいだぁネタでもある)こともあって、海外のジャパニーズ・ポップ・マニアのブログとかでも取り上げられてるのを見たことがあるけど、こういうリリックの味わいまでは伝わってないんだろうなぁとか思うと、日本人でよかったと思ったりもする(まぁ、逆の立場のことのほうが多いんだろうけど。キンクスの歌詞とか、絶対にイギリス人のようには感じられてないと思うし。英語がわかっても。たぶん、アメリカ人にもわからないと思うし)。『夏なんです』なんかも味わい深いし、ピチカート・ファイヴが後にカバーした『愛餓を(あいうえを)』なんて、もう、センスが抜群すぎだし。

やっぱり、名盤の評価に相応しいアルバムだし、メンバーの後の活躍も納得できる。あと、(流通する形態は変わっても)こういう風に時代を超えて愛される作品ってすごく大事だし、キチンと評価したり語り継いだりする適切な仕組みが必要だなぁ、なんてことも思ったりする。とかく不勉強というか、線ではなく点でしか捉えない傾向が強くなってる(そして、上手く伝える仕組みも不足してる)ような気のする昨今なだけに。ちょっと聴けば、どれだけ多くのアーティストに、どれだけ多くの影響を与えてるか、すぐにわかっちゃう。

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