CARLOS NIÑO & MIGUEL ATWOOD-FERGUSON "Suite For Ma Dukes"
(Mochilla) ★★★★☆ Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp
これまでにもたびたび取り上げてきたモチーラ(Mochilla)からリリースされた 4 トラック EP。しかもカルロス・ニーニョ(Carlos Nino)とミゲル・アットウッド・ファーガソン(Miguel Atwood-Ferguson)とくれば、それだけでも十分要チェックなんだけど、この EP はそれだけじゃなくて、ちょっと涙モノの 1 枚でもある。
カルロス・ニーニョっていえば、ビルド・アン・アーク(BUILD AN ARK)やアモンコンタクト(AMMONCONTACT)としても知られるプロデューサーで、最近、すごく気になってるっていうか、個人的には高打率なアーティストのひとり。一方のミゲル・アットウッド・ファーガソンは、質の高い仕事で知られる作曲家 / アレンジャー / マルチ・インストゥルメンタリスト。このふたりと言えば、個人的にはドワイト・トリブル & ザ・ライフ・ フォース・トリオ(DWIGHT TRIBLE & THE LIFE FORCE TRIO)の "Love Is the Answer"(Links: iTS / Amzn)での素晴らしい仕事の印象が強い。
収録曲は "Fall In Love"・"Antiquity"・"Nag Champa"・"Find A Way" の 4 曲。このトラックリストを見てピンとくる人はすぐにピンとくるはずなんだけど、全部、J・ディラ(J DILLA)a.k.a. ジェイ・ディー(JAY DEE)のプロデュースしたトラックのタイトルで、しかも代表曲中の代表曲だってこと。それらを 40 ピース・オーケストラで再現しちゃったのがこの 1 枚で、もちろん、ジェイ・ディーへのトリビュートとしてリリースされたモノ。さすがはモチーラだけあって、アートワークの写真も美しい。
サウンド・ディレクションとしては、映画のスコアのような感じなんだけど、何がビックリするって、元曲がヒップホップとは思えないほど音楽的で、壮大で、美しい仕上がりだってこと。仕上がりもスゴイけど、こんなことをやっちまおうってアイデアにも脱帽。ヒップ・ホップの音楽としての可能性を感じさせると同時に、ジェイ・ディーがいかに大きな影響を残したか、そして、どれだけ愛されてるかをあらためて感じさせる。
そういえば、オベイ(OBEY)の 'OBEY X DILLA' も秀逸。あと、"Dillanthology"(Link: Amzn)なんてコンピレーションも出たし。
* 6/29 追記:
『waxpoetics No.4』誌のバルーチャ・ハシムくん(懐かしい! 昔、仕事でお世話になりました。今は LA にいるのかな? 元気そうで何より)の原稿で知ったんだけど、このレコードとモチーラが主宰した 'Timeless' でのコンサート(「ライヴ」というより「コンサート」って感じ。YouTube で一部映像が観れる。超ヤバイ)も、タイトル通り 'Ma Dukes' ことジェイ・ディーの母親を経済的に支援するためのモノらしい。詳しくは『waxpoetics No.4』の記事を参照って感じだけど(英語版のウィキペディアの 'Legacy' の項とその参照先ページにも詳しく書いてある)、何でも、ジェイ・ディーの母親と家族はジェイ・ディーの作品からの収入を得られてなくて、ジェイ・ディーの母親は今も昔と同じデトロイトのゲットーに住んでて、ジェイ・ディーと同じ皮膚結核を患ってて、しかもジェイ・ディーの医療費を払い続けてるんだとか。こういうハナシって、たまに(よく?)聞くけど、どうにかならんもんかね、ホント。もちろん、この 'Timeless' の取り組みとかはいいハナシだけど。
0 comment(s)::
Post a Comment