2009/03/06

Vibe 2 vibe.

"Inspiration Information, Vol. 2"

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HORACE ANDY / ASHLEY BEEDLE(Strut)

前にアンプ・フィドラーとスライ & ロビーのアルバムをレビューしたイギリスのレーベル、ストラットのコラボレーション・アルバム・シリーズの第 2 弾。今回は、X- プレス 2ブラック・サイエンス・オーケストラブラック・ジャズ・クロニクルズ等、数多くの名義を使い分けながら良質な作品を数多くリリースし、クラブ・シーンを支えてきたプロデューサー、アシュレイ・ビードルが、1970 年代から活躍し、マッシヴ・アタックとの共演でジャンルを超えた人気を誇るレゲエ・レジェンドと呼ぶに相応しいヴォーカリスト、ホレス・アンディを迎えた意欲作。期待を裏切らない 1 枚になってる。

コマーシャルな面で一番成功してるのが X- プレス 2 なせいか、フロア・オリエンテッドなハウス系のイメージが強いアシュレイだけど、ブラック・サイエンス・オーケストラブラック・ジャズ・クロニクルズではブラックネス溢れるサウンドを聴かせてたりもする生粋の UK ブラック。1 皮を剥けば中身はやっぱりブリティッシュ・ルード・ボーイなわけで、レゲエ・レジェンドのホレス・アンディとの共作というだけでテンションが上がるのは当たり前。ホレスの「声」を最大限に活かすべくベースをレゲエ / ダブに置きつつ、なかなか熟れたプロダクション・ワークを披露してる。アシュレイの作品は昔からかなり好きで、できれば一緒に仕事をしたいと思ってたくらいなんで、シングルしかリリースしてないような名義の作品まで含めて、かなり熱心に追いかけてたプロデューサーのひとりで、その中にはレゲエのトラックもあったんで、そういう意味ではある程度期待はしてたけど、やっぱり期待を裏切らないいい仕事を見せてる。そしてもちろん、ホレス・アンディのヴォーカル。もう 60 歳近いはずなのに、全然そんなことを感じさせない味わい深いヴォーカルを聴かせてくれる。この人の声は、熱く歌い上げすぎないのに、すごくソウルフルで、温かさや優しさを感じさせるから不思議。ボブ・マーリーやジミー・クリフほどのビッグ・ネームではないけど、やっぱりレゲエを語る上で欠かせないひとりであることは確かだな、とあらためて思ったり。あと、変わったところではザ・ローリング・ストーンズの "Angie" のカヴァーなんてのも入ってて、なかなか聴きどころが多い。

大西洋と世代を超えて結び付いたヴァイブが表現されてるようなピースフルな 1 枚で、聴いてると何故か、20 年近く前に体験したノッティング・ヒル・カーニヴァルの記憶が頭に浮かんできた(特に "Hypocrite Dog" とか)。ノッティング・ヒル・カーニヴァルといえば、ヨーロッパ最大のストリート・フェスティヴァルであり、カリブ海 / ジャマイカ系移民の祭典。サウンドシステムから鳴り響いてたのは、日差しがジリジリと肌を焼くような熱さを感じさせる純ジャマイカ産のレゲエとは一味違う、洗練されてて、陽気なのに、なぜかロンドンの曇り空によく似合う、ちょっとセンチメンタルな趣きを持った優しくて、でもドープなサウンド。あれ以来、一度も行ってないけど、たぶん今でも変わらずにそういうサウンドが鳴ってるはず。このアルバムを聴いてたら、なぜかそんなことを思い出した。

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