"Marvin Is 60: The Tribute Album" (Motown) ★★★☆
昨日のエントリーで「10 年前には "Marvin Is 60" なんてトリビュート・アルバムも出てた」って書いたけど、そういえば、もう 1 枚、マーヴィン・トリビュートがあったよな、と思って聴き直してみたので、マーヴィンの 70 歳の誕生日に合わせて。
リリース順に古いほうから取り上げると、まず "Inner City Blues" は 1995 年のリリース。マーヴィンの愛娘のノーナ・ゲイをはじめとして、スティーヴィー・ワンダーやボーイズ・II・メンといった R&B / ソウル勢、さらにサウンド・オブ・ブラックネスやリサ・スタンスフィールドから U2 のボノまで参加してるヴァラエティに富んだ 1 枚で、個人的なハイライトは何と言ってもマドンナとマッシヴ・アタックの "I Want You"。組み合わせだけでも十分ワクワクするんだけど(時期もいいし)、サウンドも期待通りドープ。オリジナルが強力なだけに、真っ当にカヴァーしてオリジナルに及ばないより、こういう独自なアレンジのほうが際立つ傾向があるし。トリビュートって。あと、純粋なカヴァーではないけど、日本でもヒットしたアレステッド・デヴェロップメントのスピーチの "Like Marvin Gaye Said (What's Going On)" とディガブル・プラネッツの "Marvin, You're the Man" もなかなかの出来映え。
一方の "Marvin Is 60: The Tribute Album" はちょうと 10 年前の 1999 年リリースで、ブライアン・マクナイトとかジェラルド・レヴァートとかエル・デバージとかジョーとか、王道というか真っ当というか、典型的な R&B 系のアーティストが並ぶ 1 枚。個人的な印象としては、よく言えば無難だけど悪く言えば意外性に欠ける印象かな。ただ、エリカ・バドゥとディアンジェロの "Your Precious Love" の出来映えは抜群。マーヴィン・ゲイとタミ・テレルの名曲ラヴ・ソングをコピーって言いたくなるほど真っ当にカヴァーしてるんだけど、エリカ・バドゥとディアンジェロなだけに、ラヴリーなオリジナルに勝るとも劣らないクオリティに仕上がってる。ちなみに、このアルバムの海外盤はカヴァーされた曲のオリジナル・ヴァージョンを収録したディスクとの 2 枚組なんだけど国内盤は 1 枚で、なぜか小沢健二がカヴァーした "Got To Give It Up" がボーナス・トラックとして収録されてて、ちょっぴり話題になったような気がする。
まぁ、トリビュート・アルバムが作られるようなアーティストは、当然、オリジナルが素晴らしいわけで、当然、カヴァーをしてもオリジナルを超えるのは至難の業。しかも、それを 10 曲程度揃えるなんて、まぁ、ほぼムリだと思ったほうがいい。マーヴィンみたいなアーティストであればなおさら。だから、アルバム全体の出来を期待するよりも、ある程度、キャスティング・選曲・プロダクション / アレンジの妙を個別に見た(聴いた)ほうが楽しいと思うし、そういう意味ではどっちもそこそこ楽しめるというか、傑作ではないものの及第点以上ではあるかな、と。
MADONNA with MASSIVE ATTACK "I Want You" (From "Inner City Blues: The Music of Marvin Gaye")
ERYKAH BADU & D'ANGELO "Your Precious Love" (From "Marvin Is 60: The Tribute Album")
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