2009/04/25

A smaller choice.

ESBIT Foldable Cooker (Small) (ESBIT)
Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten

ドイツ軍が採用していることで知られるドイツのエスビット(ESBIT: Erich Schumm's Fuel in Tablets)の固形燃料を使った折り畳みバーナー、ポケット・ストーヴ(エスビットのサイトでは 'Foldable Cooker' って名前なんだけど、国内では「ポケット・ストーヴ」と呼ばれてるらしい)。その起源は 1936 年まで遡るらしく、まぁ、アウトドアの世界ではクラシックのひとつ。前にレビューしたシェルパ斉藤のワンバーナー簡単クッキング』 にはなぜか紹介されてなかったけど。これまではガス・カートリッジのバーナーを使ってたんだけど、ちょっと思うところがあって使ってみようかな、と。ちょうど奥多摩の御岳山に行く機会があったので。結論としては、わりと使えるな、と。

エスビットのポケット・ストーヴとは、鉄の箱を写真のようにパカッと開いて、白い固形燃料(Link: Amzn)を置いて燃やして、上にコッヘル等を置いて使うモノで、このスモール・サイズは 9.9 x 7.6 x 2.2 cm という大きさ。固形燃料は 20 個が一箱に入ってて、その箱がちょうどストーヴの中に収まるようになってるので、燃料込みで 9.9 x 7.6 x 2.2 cm サイズに収まる。質実剛健な感じが良くも悪くもすごくドイツっぽい。

メリットは、何と言ってもサイズがコンパクトなことと値段が安いこと。固形燃料 20 個付きで ¥1000- ちょっとで買えるし、追加の固形燃料は 20 個で ¥500- 程度。カップ 2 杯分くらいの水なら固形燃料 1 〜 2 個で沸かせるので、なかなかのサイズ / コスト・パフォーマンス。

ただ、火力はそれほど強くないし、安定してない。あと、着火に馴れが必要で、着火にしても火力にしても、風の影響を受けやすい。当然、ガス・カートリッジと比べると沸かす時間もかかるし、標高が高いところとか寒いところにも弱そうだし、使い勝手は劣る。まぁ、この辺がデメリットになるのかな。

「これまではガス・カートリッジのバーナーを使ってたんだけど、ちょっと思うところがあって」って書いたのは、ガス・カートリッジを使ってて引っかかる点があるから。まず、実務的な面のハナシとして、カートリッジの扱いについて。残量が少なくなると、当然、足りないと困るからもう 1 個用意するんだけど、中途半端な量が残ってるカートリッジを置いて新しいのだけ持って行くと、中途半端な残量のカートリッジがどんどん増える。中途半端な残量のカートリッジと新しいカートリッジを両方持って行くと、当然、荷物になる。しかも、ガス・カートリッジは空になっても当然持ち帰ることになるからガサばるし。あと、別の大事な問題として、家で捨てるときになんか罪悪感を感じるゴミだったりもするし。できれば、なるべく出したくない種類のゴミだな、と。しかも、コスト・パフォーマンスも決して良くない。あと、個人的には今のところ困ったことはないけど、飛行機に持ち込めなかったりするらしいんで、現地での調達方法についても考えなきゃいけないらしい。

もちろん、ガス・カートリッジのバーナーは着火も楽だし、火力も強いし、便利なのは間違いない。それこそ、ジェットボイル PCS とか、アイデア的にもテクノロジー的にもすごく魅かれるし。これはこれで、すごく正しい進化というか、トレッキングのハイテクでクリエティヴな側面を象徴する部分だし、楽しさでもある。

ただ、「便利だから」って理由で何でもかんでもそれで OK なのか、っていうとちょっと疑問を感じるのも事実。もちろん、大は小を兼ねるってのも真理だけど、だからって小でいいケースなのに大を使うことが正しいかっていうと、それは別の問題で、必ずしもそうではない思うので(もちろん、すべてそうだとは思わないけど。例えば、コンピュータの処理・通信速度とかは、値段のことを考えなければ、速いことはいいことだし、用件に合わせて遅くする必要はないって意味で、例外だと思う)。ついつい気付かずに盲信してしまいがちな部分のような気がするんで、気を付けないとなって自戒の意味も込めて。こういうことって他にもいろいろある(ホントにいろいろある!)から。

もちろんエスビットのポケット・ストーヴだけで万能とは思えないけど、これで済むときはこれでいいとか、そういう判断をすること、少なくともそういうことを考えることは大事だな、と。便利じゃない反面、ちょっとスローな感じもいいし、枯れ葉とか枯れ枝とかも使えるから、ちょっと焚き火気分っていうか、火を燃やすって行為自体もプリミティヴで楽しいし(もちろん、安全への配慮は必要だけど)。同じ意味で、ユニフレームネイチャー・ストーブにも魅かれてるんだけど、楽しさも含めて、これはこれで十分アリだな、と。

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