Barack Obama's disarmament speech in Prague on April 5th, 2009
(THE WHITE HOUSE) ★★★★☆
ちょっと前のモノだけど、かなり重要なものだと思うので、忘れないようにレビューを。4 月 5 日にチェコのプラハでバラク・オバマが行った約 25 分の演説。これまでにもオバマについて、特に演説については何度か取り上げてるけど、今回のこの演説も 2008 年 1 月のニュー・ハンプシャー("Yes We Can" のベースになった演説)、11 月の勝利演説、2009 年 1 月の大統領就任演説に並ぶクラシックじゃないかな、と。リンク先の映像は YouTube のホワイト・ハウスのオフィシャル映像。YouTube にホワイト・ハウスのオフィシャル・チャンネルがあるって、なかなかスゴイことだな、ってあらためて思ったりもするし。テキストは『TIME』誌のサイト等で公開されてる。
いろんなところですでに語られてることだけど、やっぱりデカイのは「唯一の核兵器使用国」である(厳密には、核実験をしてるすべての国は何らかのカタチで核兵器を使って人々の生活や環境を脅かしたって意味で、「核兵器使用国」の誹りを免れないと思うけど)アメリカの大統領が、その道義的な責任について触れた上で、核兵器の削減だけじゃなく、廃絶に関して明確に言及した点。
(THE WHITE HOUSE) ★★★★☆
ちょっと前のモノだけど、かなり重要なものだと思うので、忘れないようにレビューを。4 月 5 日にチェコのプラハでバラク・オバマが行った約 25 分の演説。これまでにもオバマについて、特に演説については何度か取り上げてるけど、今回のこの演説も 2008 年 1 月のニュー・ハンプシャー("Yes We Can" のベースになった演説)、11 月の勝利演説、2009 年 1 月の大統領就任演説に並ぶクラシックじゃないかな、と。リンク先の映像は YouTube のホワイト・ハウスのオフィシャル映像。YouTube にホワイト・ハウスのオフィシャル・チャンネルがあるって、なかなかスゴイことだな、ってあらためて思ったりもするし。テキストは『TIME』誌のサイト等で公開されてる。
いろんなところですでに語られてることだけど、やっぱりデカイのは「唯一の核兵器使用国」である(厳密には、核実験をしてるすべての国は何らかのカタチで核兵器を使って人々の生活や環境を脅かしたって意味で、「核兵器使用国」の誹りを免れないと思うけど)アメリカの大統領が、その道義的な責任について触れた上で、核兵器の削減だけじゃなく、廃絶に関して明確に言及した点。
So today, I state clearly and with conviction America's commitment to seek the peace and security of a world without nuclear weapons. I'm not naive. This goal will not be reached quickly – perhaps not in my lifetime. It will take patience and persistence. But now we, too, must ignore the voices who tell us that the world cannot change. We have to insist, "Yes, we can."
以上が該当部分の引用なんだけど、最初の一文、'I state clearly and with conviction America's commitment to seek the peace and security of a world without nuclear weapons.' って部分は、やっぱすごくインパクトが強い。'state'、'clearly'、'with conviction' 辺りに強い信念を感じるし、'a world without nuclear weapons' って表現も、シンプルでストレートで、やっぱりそれなりの覚悟がなきゃ使えない表現だと思うんで。
もちろん、青臭い理想主義だって言っちゃえばそれまでだし、案の定、核保有国が拒否反応を示してるらしいけど、そんなもんは、まぁ、特権的な既得権益を保持しようと躍起になってるヤツっつうか、連邦のオールド・タイプみたいなもんで。まぁ、オバマは本人も "I'm not naive. This goal will not be reached quickly – perhaps not in my lifetime." って言ってる通り、長期的な問題として考えてるみたいだし、やっぱ、これまでも見られた通り、オバマってロマンティストではあるけど、同時にわりとタフで強かでもあるんで、その辺も含めて期待したい感じ。"We believe in dialogue." って言ってるし、シャアみたいに早急且つ独善的にニュー・タイプのためだけの世作りに向かったりはしなそうだな、と。
まぁ、大量の核兵器なんて、オバマも "The existence of thousands of nuclear weapons is the most dangerous legacy of the Cold War." って言ってるように、お互いに銃を向け合ってる状態を「平和」って呼んでたような、かなりいい加減なロジックの産物なわけで。前にレビューした『ランド 世界を支配した研究所』でもその辺りのことは克明に描かれてたけど、そんな馬鹿げたロジックでこれだけの核兵器を作っちゃったわけで。オバマだって、単に理想主義・平和主義だけでこんなこと言ったわけじゃなくて、使いもしない(使えもしない)タチの悪いモノを大量に押し付けられて困ってるのが現状なんだろうし。これまでにアメリカがどんなことをしてきたかを考えれば、なおさら。テクノロジーの進化によって、メジャーのスケール感だけが絶対じゃない時代になってるのは、他の分野と同様なはずなので。そういう時代に相応しい在り方を模索しなきゃ、って考えるのはごく自然なことだろ、と。
ただ、それが見えてるヤツと見えない(見ようとしない)ヤツがいるわけで、そんな中でそれをどうやって進めてくかってときに、その考えをどうプレゼンテーションして、どうやって巻き込んでいくかってことがポイントだし、そこがオバマの腕の見せどころ。そういう意味でも、この演説はすごく効果的だし、重要なモノなんじゃないかな、と。現実的な問題をキチンと鑑みつつ、ただそれだけじゃなくて、もっと根源的な部分にエモーショナルにも訴える感じが。
そう考えると、あまりニュースとかでは触れられてないけど、この演説が行われたのがプラハだってのも意味深というか、感慨深い。プラハといえば、プラハの春だったりビロード革命だったりするわけで、演説の中でもキチンとその辺のことにも言及してて。過去に目を向けずに目の前のことに場当たり的に対処しがちなことが多い中、先のことを考えるときに、そこまでのプロセスを忘れないって姿勢もとてもいいな、と。すごく、キチンと考えられてるし、世界の多くの人にはすごくリアルに響くと思うし。
まぁ、核廃絶っていえば思い出すのは『沈黙の艦隊』だったりするんだけど、これがなかなか核心を突いてて。特に「核兵器の存在、それ自体が狂ってる」って辺りとか。そして、やっぱり、行きつくところは個々人の意識だったりすると思うし、要するに、「独立せよ」ってことだろ、"I hate nuclear weapons. Therefore I'm a member of the Silent Service." ってことだろ、と。あと、この演説を観てて(聞いてて)思い出したのは、やっぱり "Imagine" だったりもする。ジョンのヴァージョンはもちろんだけど、キヨシローさんのヴァージョンも。そう考えると、オバマって、まるでロック・スターのようなことを言えちゃう希有な政治家なんだな、なんて思ったり。
KIYOSHIRO IMAWANO "Imagine [Live Version]"
2 comment(s)::
はじめまして。いわしです。自分のブログよりも内容が濃く正直圧倒されております。この記事を読んでからオバマ大統領がただ者でないのでは!?という(変な言い方ですが)可能性(希望)を感じます。またお邪魔します。
おぉ、これはこれは。どっから辿り着いたの?
っつうか、オバマは間違いなくタダモノじゃないでしょ。それほど能天気に楽観視はできないけど、やっぱワクワクしちゃう。
Post a Comment