iPhone OS 3.0 Software Sneak Peak (Apple Inc.) ★★★☆☆
2009 年 3 月 19 日にアップル・キャンパスで開催された iPhone ソフトウェアのメジャー・アップデートに関するスニーク・ピーク・イベント。全然チェックし忘れてたんだけど、フツーに iTunes にポッドキャストとしてダウンロードされてた。いい時代だ。これは主にデヴェロッパー向けの発表で、合わせて SDK のアップデートも発表された。内容としては、すでにエンガジェットとか各種ニュース系サイトとかで紹介されてるからいちいち細かくは触れないけど、これまでもたびたび取り上げてるようにアップルのキーノート・アドレス(今回はキーノート・アドレスってことにはなってないっぽいけど)は、それ自体、ライヴ・エンターテインメントだと思ってるんで、あくまでもライヴとしてレビューを。
1 月のマックワールドに続いて、今回も静養中のスティーヴ・ジョブズはお休み。最初と最後にグレッグ・ジョスウィアックっていう iPod と iPhone のプロダクト・マーケティング担当ヴァイス・プレジデントが登場したんだけど、コイツがなかなか胡散臭い感じ。B 級俳優っぽいっていうか、なかなかビミョーな感じ。まぁ、シリコン・ヴァレーっぽくなくていいけど。でも、今回の主役は iPod と iPhone のソフトウェア担当ヴァイス・プレジデントのスコット・フォーストール。iPhone 発表時からソフトウェア関連のプレゼンテーションはやってた黒シャツ野郎なんだけど、コイツがなかなか喰えない感じで。iPhone 発表のプレゼンテーションでも思ってたんだけど、ジョブズを除くとコイツが一番いい感じなんじゃないかな、って思ってて。プレゼンテーションに関して(っていうか、人前に出てくるキャラクターとして)は。アップルのこれからを考えると、当然、ジョブズの健康のこともあるけど、ポスト・ジョブズのことを考えなきゃなわけで、個人的には、去年の 10 月のキーノート・アドレスでユニボディの MacBook をプレゼンテーションしてたジョナサン・アイヴがジョブズの後継者の最有力だと思ってるけど、プレゼンテーションに関してはスコットのほうが上手かな、と。ジョブズはゆっくりと、ちょっとずつ負担を減らしながらフェード・アウトしていきつつ、ジョナサンがメインで、スコットがサポート+スポークスマンみたいな体制になっていくのがいいんじゃないかな、なんて思ったり。
まずは、グレッグがいつも通りツルッと iPhone アプリのこれまでの状況を説明した後に、スコットがバトン(というか、プレゼンテーションのコントローラー)を受け取って、メインのパートに入ったんだけど、スコットは何がいいって、いい意味で芝居掛かってて、でも過剰な演技はしなくて、しかも全然媚び諂ってなくて、なんか、微妙且つ絶妙な感じで。さすがにジョブズと比べ ると見劣りするけど。ここ! ってキメの時にビミョーに反笑いしてたり。コピペとかシェイクとか。でも、なかなかの喰えないヤツだな、と。なんか、ジム・ジャームッシュの映画とかにビミョーな役で出てきそうな、ちょっとアヤシイヤサオトコ系な感じもシリコン・ヴァレーっぽくなくていいし。
まぁ、内容的には、前に SDK を発表したときと同様に、いくつかのソフトウェア・デヴェロッパーに事前に SDK を渡して「2 週間で」作ってもらったアプリケーションをデモしてもらいつつ(固いモノから緩いモノまで)、1000 の新たな API・100 の新たな機能の主要なモノをデモも交えて紹介してくっていうモノ。スコットはデモもなかなかソツなくこなしてた。まぁ、ハイライトのひとつは待望の(!?)「カット & コピー & ペースト」だったと思うんで、デモでペーストしたときは "Boom!" とか言ったほうがよかったと思うけど。
「カット & コピー & ペースト」に関しては、やっぱり、機能的には全然可能だったけど、ただのコピペじゃなくて「iPhone らしいステキなコピペ」じゃないと納得いかなかったんだろうな、煩雑な操作不要で「ステキに」ってのがポイントだったんだろうな、って感じた。シェイクでアンドゥ / リドゥできちゃうところも含めて。そういう意味では、待った甲斐があったというか、さすがというか。
コピペもそうだし、ランドスケープ・モードのいろんなアプリケーションへの採用とか、Spotlight とかもそうだけど、やっぱり iPhone って、ハードウェアでありながら、ハードウェアを作って売って終わりじゃなくて、(自分たちも含めた)フィードバックを反映させながらひとつのハードウェアを育てていく感じの製品開発がすごく新しいし、正しい。
アプリケーションの開発のこととかを考えると、個人的には In App Purchase なんかが興味あるけど、ユーザーとして考えると、アクセサリーの API が楽しいかな、と。いろんなアクセサリーが出てきそうで。パームのときにあった折り畳み型のポータブル・キーボードとか出してもらえれば、簡単な原稿とかも書けちゃうなぁ、とか。このキーボード、すごく出来が良かったから。開く所作も良かったし、キータッチも素晴らしかった。今だったら Bluetooth とかでもいいのかな。エクストラ・バッテリー内蔵だとなお良し。Visor + 折り畳みキーボードで飛行機の中(しかもアメリカとかヨーロッパとかへの長距離便)で原稿を書いたことがあるけど、何が良かったかって、コンピュータと違ってバッテリーの持ち時間が圧倒的に長い(しかも、Visor は乾電池で稼働した)ってことだったから。これってなんか、iPhone をよりコンピュータ的に使うためのパワーアップ・キットみたいな、逆転の発想な感じで、バカっぽくていいかも。
まぁ、機能的には、今回の目玉は Bluetooth とプッシュかな、とは思うけど。活かし方次第でいろんなことができそう。特に Bluetooth はこれまで、規格先行で全然活かされてなかったし。まぁ、渋いところだと Voice Memos の標準搭載も嬉しいかも。
まだまだ足りない点、例えば YouTube ログ・インよりも Google Maps のログ・インのほうが欲しい(マイ・マップを使いたい)とか、未だに未対応の Flash の問題とか、使ってて不満に感じる点もないことはないけど、そういう部分も今後、こういう感じで徐々に解決・追加されてくんだろうな、って思わせてくれるところが iPhone のすごくいいところ。今回は搭載されてないけど、NetShare 的なモノも検討はされてるみたいだし、今回のプレゼンテーションで触れられなかった機能もこれからどんどんわかってくるだろうし。因みに、SDK の β 版の配付はこのイベント直後に始まってて、iPhone OS 3.0 の正式リリースは夏の予定。
スティーブ・ジョブズ抜きでどうなんだろ? って心配したりもしたけど、思いの外、楽しめたっつうか、いいライヴ・エンターテインメントだったんじゃないかな。いわゆるエンターテインメント色は濃くなかたっとは思うけど。あと、個人的に好感を持ったのが、スコットがデモの時に iPhone を片手で(親指で)操作してたこと。おぉ、一緒だ、やっぱそうだよな、って。ますます好感を持ったりして。
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