2009/09/06

A shape of jazz to come.

"This World" RIMA (Jazzanova / Compost) 
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

一昨日のエントリーでレヴューしたイアン・シモンズ、昨日のエントリーでレヴューしたイアン・オブライエンと、音のタイプはちょっと違うけど、なんか似たイメージがあって、しかもイアン・オブライエンつながりでもある愛聴盤を思い出したんで、これまたいい機会なんで。

この "This World" は、ジャザノヴァコンポスト内に設立したレーベル内レーベル、その名もジャザノヴァ/コンポスト・レコーズ(JCR)っていう何のヒネリもない名前のレーベルから 2003 年にリリースされたリマのアルバム。

リマは、前に "One Offs, Remixes and B-Sides" をレヴューしたドムと、イタリアでアーカイヴ / ネローリってレーベルを主宰してて、自らも DJ / プロデューサーとして活動してるヴォルコフのふたりによるユニットで、ふたりとも、どっちかっつうと地味なキャラクターなんで、イマイチ派手さには欠けるんだけど、クラブ・ジャズ / クロスオーヴァー / ブロークン・ビーツ(どれもヒドイ呼び名だけど、まぁ、便宜上、使っときます)系のサウンドをそこそこ熱心に聴いてる人なら、決してスルーできない(っつうか、大騒ぎしちゃうくらいの)強力タッグ。しかも、アルバムのアートワークを手掛けてるのがオランダ人グラフィティ・アーティストのデルタとくれば、まぁ、期待はついつい高まっちゃうんだけど、その期待を全然裏切らない、かなり強力な 1 枚で。

なんで「イアン・オブライエンつながり」かっていうと、イアンがゲストとして参加してる曲があって、その "Modern Times" って曲が素晴らしいから。ディープでスペーシーでトランシーなハイテク・ジャズ / フュージョンで。っつうか、他の曲もすごく出来がいいんだけど。例えば、同じくフュージョン色が濃いインストの "Bonkers" とか、ザ・コレクティヴ・アンコンシャスをフィーチャーした "Vidigal" もいい感じだし。あと、イアン・シモンズイアン・オブライエンと比べると、ヴォーカルをフィーチャーしたソウルフルなトラックも多いのが特徴かな。例えば、ジュリー・デクスターをフィーチャーした、ちょいアップリフティングでソウルフルで、ヴォーカルのメロディも印象的な "Let It Go" とか、ニコラ・クレーマーの神秘的なヴォーカルをフィーチャーした "This World" と "So Sweet" とか、ヴォーカル・トラックとしての完成度も高い。しかも、それぞれの曲の出来映えの良さもさることながら、アルバム全体を通しても、メリハリが利いていつつも統一感は保たれてて、流れもすごく気持ちいい。

まぁ、事前情報だけで、個人的には十分期待は大きかったんだけど、正直、こんなにいいアルバムになるとは思ってなくて、ちょっとふたりを見直したりしつつビックリしたのを覚えてるし、もうリリースから 5 年以上経ってるけど、今でも全然聴けるし、実際、頻繁に聴いてたりもする。思い返せば、もう 15 年くらい前、コンポストが世に名前を知られるようになったキッカケは "Future Sounds of Jazz" ってコンピレーションだったけど、この "This World" を聴いてると、まさに 'future sounds of jazz' なサウンドというか、'shapes of jazz to come' なサウンドだなぁ、なんて思ったりする。「これがこれからのジャズだ」とは言わないけど、少なくとも「これからのジャズのカタチのひとつ」ではあるな、と。


* RIMA "Modern Times (Featuring IAN O'BRIEN)" (From "This World")









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