2010/10/07

Organic psychedelia.

KOUSHIK "Out Of My Window" (Stones Throw) ★☆
Link(s): Amazon.co.jp / iTunes Store

ちょっと前に訳あって最近聴き直したら思いのほかいい出来映えで、しかも、ちょっと前にレヴューしたカルロス・ニーニョとジェシー・ピーターソンのユニット、ターン・オン・ザ・ライトと、自分の中ではなんかイメージがダブる 1 枚を。まぁ、別に直接関係があるわけでも、似てるわけでもないんだけど。でも、なんか、頭の中でイメージがダブるんで。

カナダ出身のプロデューサー、コーシックが 2008 年にリリースした実質的なファースト・アルバム(2005 年リリースの "Be With" はシングル等でリリースされた曲を集めたコンピレーション)。リリースはアメリカ西海岸のヒップ・ホップ・シーンで絶大な人気を誇る優良レーベル、ストーンズ・スロウなんだけど、あまりストーンズ・スロウらしくない 1 枚で、いい意味で意外性がある。

サウンドの特徴は 1960 ~ 1970 年代のサイケデリック・ロック~フォークを彷彿とさせる開放的でレイドバックした空気感で、アコースティックなサウンドをヒップ・ホップやエレクトロニカなどをベースにしたサウンド・プロダクションのノウハウと融合させ、オリジナリティ溢れる心地いいグルーヴを生み出している点。1990 年代のイギリスのロック・バンドがクラブ・ミュージック、特にアシッド・ハウスやレイヴ・カルチャーの影響を受けて作ったサウンドにもちょっと通じるところがある感じもするけど、もうちょっとビートに芯が通ってるような印象かな。

曲によって、よりアコースティックでフォーキーになったり、ちょっとジャジーになった、サイケデリックになったりとヴァラエティはあるけど、印象としてはアルバム全篇に一貫した世界感というかグルーヴが貫かれてて、アルバムとしての完成度の高さを感じさせる。

まぁ、ストリクトリー・ヒップ・ホップな 'ヒップ・ホップ・ピュアリスト'(原理主義者?)にはピンとこない人もいるみたいなのも解らんではないし、ストーンズ・スロウっぽくないってのも合意はできるけど、もともと 1960 ~ 1970 年代のサイケデリック・ロック~フォーク・ムーヴメントの震源地はストーンズ・スロウの拠点であるアメリカ西海岸であり、そうしたカルチャーがシーンに根付いているからこそ生まれたのかな? とも思う。こういうのも出しちゃう(出せちゃう)ところにストーンズ・スロウのレーベルとしての音楽的な懐の深さとか頭の柔らかさみたいなモノも感じられるし。まぁ、ハイブリッドでサイケデリックでドリーミーな好盤で、ヨーロッパや日本などで、ジャンルの枠を超えて幅広く人気があるのも納得できる。


KOUSHIK "Be With" (From "Out of My Window")








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