2008/12/30

Escape from the bottom of the gravity-well.

『機動戦士ガンダム UC 7 黒いユニコーン』
 矢立 肇 / 福井 晴敏 / 富野 由悠季 著 角川グループパブリッシング)  
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

前にレビューした 4 巻5 巻6 巻に続いてテンポよく発売された福井晴敏による小説版ガンダム、「機動戦士ガンダム UC 」の最新刊。タイトルになっている「黒いユニコーン」とは、6 巻の最後で登場した重力下仕様の 2 号機である黒いボディの機体、バンシィのこと。

舞台はブライトが艦長を務めるラー・カイラムで、バナージ、オードリー、リディ、マーサ、アルベルトといった主要メンバーが顔を揃えるという意外な展開を見せる。

約 100 年に渡る宇宙世紀の歴史を要所要所に散りばめながら、今後の展開と、宇宙世紀最大の秘匿事項と言われる「ラプラスの箱」に関わる謎が少しずつ明かされていくスリリングなストーリーでグイグイと引き込んでいくスキルはさすがに福井晴敏といったところ。

文量は決して少なくないのに、読み出したら止まらない。前にも同じことを書いたけど、「ある程度の原稿量をガッツリ読ん だ」っていう一定の満足感(=脳内を心地いい情報量で埋め尽くされたような感覚)はありつつも、先のストーリーが気になって仕方がない。そんな読後感が心地よくて、日頃、いわゆる「連載モノ」の小説ってほとんど読むことはないけど、こういう感覚は連載小説ならではのものだろうし、やっぱりエンターテインメントととして完成度はとても高い。

次巻以降、予想通りというか、ガンダムの王道というか、舞台は再び、宇宙へと移る。 


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