2009/01/21

The dawn of the new era.

44th US President BARACK H. OBAMA: Inaugural Address on January 20th, 2009 (US Presidential Inauguration 2009) 



第 44 代アメリカ大統領、バラク・フセイン・オバマが 2009 年 1 月 20 日(現地時間)の大統領就任式で行った就任演説。もちろん、初のアフロ・アメリカンの大統領でもあるし、これまでに 11 月 4 日の勝利演説 "Yes We Can" のベースになったニュー・ハンプシャーでの演説など、名演説の多いオバマなだけに過去にないほどの注目を集め、日本でも地上波 TV で生放送してたり(しかも、NHK だけじゃなかった)してたけど、ウェブで生放送してたのが今回の大統領就任を象徴してるような気がしたので、あえて Joost で観てみた(回線の混雑が心配だったけど、思ったより普通に観れた)。

全文は早速、就任式のオフィシャル・サイトとか各ニュース系サイト(例えば、CNN とか)に掲載されてるんで、内容はそこで確認できるんだけど、勝利演説のレビューでも書いた通り、この人の演説は聞いてナンボというか、聞いてこそその魅力が最大限に伝わる。言ってる内容だけじゃなくて、声のトーンやリズム、間の取り方、聴衆の雰囲気や反応等、そういうものを全部ひっくるめたモノだと思うので。

約 20 分に及んだ演説自体は、ちょっと時間が空いたからってこともあるんだろうし、党大会とかと比べてとても厳粛な場だってのもあったんだろうけど、勝利直後の盛り上がりの中でやった勝利演説とかニュー・ハンプシャーでの演説に比べると印象は正直、ちょっと地味だったかな。ただ、それがマイナスだったわけじゃなく、逆に強いパワーを感じた。必要以上に盛り上げないというか、わざと地味にしてるっていうか、あえてわかりやすい演出を極力抑えてたような感じで。もっとわかりやすいキャッチーなフレーズ(それこそ、'Yes We Can' のような)を連呼して、能天気に盛り上げることも簡単にできただろうけど、そうはせずに、あえて厳しい現実を突きつけるような、ちょっと耳が痛い(でも、決して避けられない)こともキチンと伝えて、そういう状況ではあるけど、目の前の数々の難題に真正面から真摯に、地に足をつけて取り組んでいこうって('we' という主語で)呼びかける、そんなイメージ。まぁ、もう、無闇に盛り上げる必要もないし、もう「祭り」じゃなくて「現実」だ、ってことなんだろう。大統領候補の演説じゃなくて大統領の演説って感じ。たぶん、後からジワジワ効いてくるんじゃないかな。

副大統領にヒラリー・クリントンじゃなくて地味で堅実なジョー・バイデンを選んだこととか、大統領選勝利後のスタッフの選び方とかからも感じるけど、話題性があるからわりと派手なイメージを持たれがちだし、派手に盛り上げることは簡単だったと思う。でも、あえて過剰演出を排して実直でリアリズムに徹した姿勢からは、逆に「本気で世界を変えてられる」っていう強い信念を感じさせる効果を生んでるような気がする。やっぱり、相当タフで、思った以上にクレバーで強かなヤツに違いないな、ってあらためて感じた。

日本でも『オバマ演説集』がバカ売れ中らしい(出版した朝日出版社では宮沢りえの『Santa Fe』以来の売れ行きなんだとか。オバマ、恐るべし)けど、これから数日間はニュースとかで何度も取り上げられるだろうし、その後もことあるごとに取り上げられる、新しい時代の幕開けを象徴する歴史的な演説だと思う。だからこそ、やっぱり、できれば全文をキチンと、なるべくリアルタイムで観て(聞いて)おいたほうがいいな、と。YouTube にも就任式のオフィシャル・サイトがあるし、(change.gov 改め)ホワイトハウスのサイトとかオバマのオフィシャル・サイトに近いうちに動画がアップされるんじゃないかと思うんで。

関係ない+どうでもいいハナシだけど、ちょっと気になるのが、ナゼか日本のメディア(主にテレビ?)がやたらと、申し合わせたように「オバマ氏」と呼ぶこと。「ブッシュ氏」とか「クリントン氏」とは呼ばないのに。まるで「オバマシ」って名前みたいに感じるのは気のせい? やっぱり「小浜市」効果なのか?

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